信州スロウライフ12ヵ月

野菜や草花と暮らす生活

安堵・安堵

2017年10月29日 13時15分34秒 | Weblog
昨日はみるきぃの術後2週間目の通院日であった。
何故か、動物病院の通院日は雨降り的中100%。

病院の周囲は散歩に適している場所なので待ち時間が長いので散歩をして時間稼ぎしたと思っても
待合室から出られず、ひたすら順番待ちだ。

動物病院へ通院始めて毎回感心するのは、最近は患蓄は猫と犬の数が逆転したのと
飼い主は超込み合いでも黙ってひたすら文句も言わずじっと待ち続けることだ。
人間の病院はこうはいかない。
怒っていつまで待たせるのだとか、あとどのくらい待つのかと看護師や事務に怒鳴る場面も良く見られる。
動物病院の待合室は険悪さがない。

2週間ごとにこの1年半は通院しているが四季を通じての動物病院周囲の景色は
雨のために望めない。

2週間前に胃婁のチューブを入れる手術と、同時にしっぽに出来た腫瘍の摘出術を受けた。
良性らしいから細胞診は行わず、抜糸する。

人間の胃婁のチューブは1年くらいで再手術をして交換するが動物の場合はお腹の中で癒着し
手術自体が難しいから入れっぱなし。
その間、自力で食べられるようになり抜き取るか、あるいは途中で旅立ってしまうかという。

高栄養の流動食をチューブから注入する技も慣れてきた。
術後は相当痛かったのであろうと麻酔の影響もあったので体重はすぐには増えなかった。
1週間くらいして4.4kまで減っていたのが5kになった。

同時に気が付いたのが毛艶が良くなってきたこと。
朝夕2回、パウダーを溶いて流動食を作り100㏄流す。

その中にはたんぱく質40%以上、脂質、炭水化物、繊維分、カルシウム、無機質、
その他通常ドッグフードでは不可能な
栄養素が入っている。

1年半前から開始した抗がん剤服用の副作用でこの半年くらいは食欲不振で食べたいモノが無く
ドッグフードからは長いことおさらばし、
夏はキュウリやスイカやトマト、サツマイモなどほんの少し気が向けば食べた。
水分は取れるが栄養失調だろう。
体重が減るのは当たり前。

飼い主の気持ちはどんどんすさみ、死を現実として向かい合わねばならないかとばかり考える。
散歩だけが命の犬と毎日歩きいつも、この時間は今年いっぱいかと考える。

おっかなびっくり受けた胃婁の治療はこの2週間で犬は勿論、飼い主のどれだけ心の負担を軽くしてくれたことか。
人間の場合、家族が余命を宣告された場合、出来るだけ生きて欲しいと願い、
治療をする場合と自然に天に召されるのを待つのと全部その家族に選択肢がある。
長く一緒に暮らしてきた動物も飼い主は後悔ばかりを引きずって思い出しながら暮らしていく
のを選ぶかは非常に難しい選択だ。
世の中、何らかの理由で捨てられた沢山の保護犬がいるのだから。



りんごの仕事

2017年10月25日 17時21分52秒 | Weblog
犬の治療で元気を取り戻しつつあるが、7月に一緒にブドウの袋かけをした友人から
秋になったらリンゴの仕事をしないかと誘われた。
都会で長らく医療の仕事を続け定年後信州へ移住してから、地域の特性か、花、野菜作りのバイトに声が
かかった。
経験がないが、異業種の経験をする機会は全くないので引き受けてきた。
そして伊那に最終の移住をしてからキャベツやトマト、稲の種もみの苗床作り、トルコ桔梗の定植
ブドウの袋かけと声をかけられる。
なるほど、不定期な季節作業は若いものは定職を求めるから無理で人手不足だ。
元気そうな老人に声がかかる。

限界集落に住んでみると様々な厄介な問題に直面して都会で暮らしていたら、知ることはできないであろう。
野菜や花卉、果実など地方ならでの特産物も自然災害には手も出ない。

今年は夏暑い最中、1週間かかり袋かけしたブドウが先日の台風でわずか数時間で落下した。
オーナー夫婦は泣きながら掃除していた。
同時にリンゴ農家も大被害で収穫時期にその年の収入をかっさらわれた。

僅かな立地での違いで被害の翌日からリンゴ農家からのバイトが始まる。
こちらはリンゴ農家の2代目、父親が病死し、母親は長年の労働で腰痛で仕事が出来なくなり一人息子が
後を継いでいるが母親の通院をし、手広いリンゴ園と梨園の作業が不可能で経験のない自分に仕事が回って来た。

何しろ、限界集落、人手がない。
老人は自分の田畑を守る力もなく、子供たちは家を出てサラリーマン生活だ。

全く経験がないが、まずはリンゴ園に行き作業を説明され一日働いた。
これからの季節は品種はふじ。

パリパリとした触感で甘酸っぱく冬の間長持ちする。
知らなかったが、リンゴのヘタの周りは葉っぱが茂り、それを摘み取りお日様が万遍なく当たり
赤くなるように葉の摘み取り作業があるのだ。出荷まではまだまだある。
たった1日しかリンゴに向き合っていないが、枝への実のつき方は全部違い、若木か老木によっても差があり
葉っぱをむしり取りながら、なるほどね、知らなかった…
ということばかり。
高い枝は脚立に登り作業をするが少々怖い。

地方へ移住して、都会で便利にスーパーできれいな商品を選んで買い物していた自分が知らなかった陰の世界に
入って手伝い、逆にお金を払ってでもいいから勉強させてもらっているという経験が続いている。

食べ物に感謝する気持ちはこの年になってもらった。




りんごのなりくちは葉っぱが茂っている


出荷するにはきれいに摘み取り日に当てて赤くする




高い脚立に初めは足が震えた

難関突破

2017年10月25日 16時26分58秒 | Weblog
10歳以上になった飼い犬の病気は予想していないから、この1年半がんの宣告を受けて治療に入った
愛犬みるきいとの暮らしは過酷だ。

丁度1年半前にもう1頭の年子のロゼが具合が悪いので動物病院へ運び、その夕方には亡くなってしまった。
痛恨はその2週間後に運命というか、発見に及んだ残された1頭のがんに思いは繋がり何が何でもと治療を始めた。

動物のがんの治療の効果は後程聞くと3か月くらいで命を失う様だ。
1日おきに抗がん剤を飲ませ、定期的に転移の検査をして、人間と同じく抗がん剤の副作用の
食欲不振を気にかけハラハラしながら1年が経った。
まあまあ効いて居るかなと思っていたが、今年に入って食事をしなくなった。

痩せてきた。7キロ近くあった体重は4.4キロまで減った。
飼い主も一緒に食欲不振だがそうは言っていられない。
泊りの旅行は不可能になり、近くの娘にも預けられなくなった。

13歳7か月まで何とか毎日口に入るものを選び、ドキドキしながら願うように食べさせたがいよいよ限界。
主治医に相談したところ、抗がん剤が効いているので栄養を確保する方法があり、胃婁を勧められた。

えっ、胃婁?
思わず亡くなった母親の胃婁の治療を思い出し、それまでして痛い思いもさせたくないと抵抗した。
医師曰く、飼っている動物が死期迫ると飼い主は家でゆっくり死なせて上げたい、治療はかわいそうだと断る。
しかしいよいよ危なくなると、見ているのが辛くなり、センセイ何でもいいから生かして下さいと
泣きついて駆け込んで来る。
もうその時は手立てもなく、まだ出来る治療があるときにすべきなのですが、皆さんの考えはそれぞれですから
選択してくださいと言われた。

約1週間痩せていく姿を見てもう我慢の限界で胃婁の手術日を決めた。
10月13日、1泊で全身麻酔でみるきいの胃にはチューブが入った。
翌日、から丸2日間寝たりで動かない犬の姿に慌てた。

術後1日目から高カロリーの流動食をチューブから1日2回、抗生剤と一緒に流し込む。
元医療職で扱いは怖くないはずなのに、身近なものには弱い。
手術前に考えた胃婁の姿は、帰宅して毎日一緒にいると心配し過ぎたようだった。

1か月に1回チューブは取り換えるが、体重が回復し、体力も取り戻せばチューブは
抜けると言われたのが人間と違う点だ。
今術後12日目。
体重が増えてきた。
死んだように思った動かない姿は元気が出てチューブを付けて散歩もするし、やかましく吠えるし
普通の生活に戻って来た。
有り難い。
もうすぐ13歳8か月、せめて突然亡くなった兄弟犬の2年分は多く生きて欲しいと家族とともに願う日々となった。
動物を飼うとかわいい思い出は富士山の山の頂上くらいまで積み上がるが、病気になると悲しみは同じくらいの
高さに及ぶものだ。


わき腹から胃に入ったチューブ<


チューブは3方活栓で注入が便利


高カロリーのパウダーを溶いて注射器で注入する