Il film del sogno

現実逃避の夢日記

人生は小説よりも奇なり

2024-04-15 20:48:07 | 映画
4/15(月)晴れ
暖かくなったと云うより暑い。早くも初夏か。有休消化日。8:00起床。いつもの週明け。いつもの日常。散歩、朝食、掃除、少し仕事(休出か?)、昼食、散歩。夕方、リバーサイドのカフェで一服。一般紙が休刊日なので久し振りにタブロイド判の夕刊紙を買う。180円なり。驚いたことにネットで垂れ流されるニュースや読みものより遥かに面白い。やはり情報や知識は身銭を切らないといけませんな。夜はアマゾンプライムで2016年公開の米仏合作を視聴。舞台はニューヨークのマンハッタン。40年近く連れ添って結婚したカップルの艱難辛苦のお話。マイノリティの生き辛さを描いた作品は多いが、主人公がゲイの老人と云うのがミソである。ふたりは画家と音楽家。知性はあるが老醜と思われるエゴもある。彼らを取り巻く親族・友人との関係も繊細に描かれる。監督は自身もゲイを公言しているアイラ・サックス。主演ふたりをジョン・リスゴーとアルフレッド・モリナが渋く好演している。太ったふたりの抱擁や同衾シーンなどは愛らしい。そのセリフに刺さるとは自身も枯れてきたと云うことか。


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アイアンクロー

2024-04-14 21:20:16 | 映画
4/14(日)晴れ
好天が続き、昨日同様初夏の陽気。寝坊して7:30起床。午前と午後、2度の散歩。公園ではあちらこちらでシートを敷いて家族連れがピクニック。散歩の合間にトイレ掃除。夕方、隣町の中華屋で早めの晩飯。店内のレイアウトが変りお、オーダーもQRコードから入力。食後、シネコンで18:15上映開始の洋画を鑑賞。中高年層中心に30名程度と程よい空き加減。日本にも度々来ていたヒール・プロレスラー、フリッツ・フォン・エリックとその一族の栄枯盛衰を次男の視線で描いた伝記モノ。小学生の頃は、毎週プロレス中継をシロクロテレビで観ていた。プロレスごっこは、学校の昼休み・放課後の定番。≪アイアンクロウ≫はノッポな友人の得意技でありました。当時はエリックのナチ・ギミックや本国での興行師としての顔など露知らず。6人の息子は5人までも不慮の事故や自殺で亡くなっており、映画の主眼(ストーリー)は、父の期待を担った子供の悲劇(葛藤と苦悩)に尺が割かれる。次男役のザック・エフロンの肉体改造の成果とリング上の迫真のパフォーマンスには驚嘆した。プロレスなど単なる八百長だろう、と揶揄・蔑視する輩もいるが、鍛え上げられた肉体美やショーマンシップやサービス精神などは中途半端な努力では到底成し遂げられない。家族(兄弟)愛とリングの死闘をリンクさせた作劇にも感心。ラストも泣かせますな。大満足で劇場をあとにする。
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ソウルフル・ワールド

2024-04-13 20:38:02 | 映画
4/13(土)晴れ
好天、気温も急上昇で初夏の陽気。寝坊して8:00起床。散歩のあとスーパーで食材を調達してじっくり調理してゆっくりブランチを摂る。12:00愛車で近所のショッピングモールへ。10年以上、机の抽斗で死蔵していた勤続25周年に貰った金時計の電池とベルトの交換をして7千円の出費。古き良きモノはキチンと手入れをして長く愛用しましょう運動の一環。隣接するシネコンで15:50上映開始のディズニー&ピクサーのアニメを鑑賞。昨日初日。場内30名程度と閑散。2020年公開予定がコロナ禍で配信先行していた作品。ファンはディズニープラスで観ているか。監督・脚本はピクサー・アニメーションのエース、ピート・ドクター。ここ数年、両者のタッグ作品には『ん?』という感想がないでもなかったが、本作は久々に琴線が震えて感銘を受けた。プロを目指すジャズ・ピアニストが不慮の死であの世行きになる顛末を描いたファンタジーであるが、中高年層ほど響くことのあるエピソードが満載されている。世界観良し、キャラも立って、サウンド・トラックも申し分なし。深い余韻を噛み締めて劇場をあとにする。帰宅して葉桜が目立つ公園をゆっくり散策。夜はひたすら読書。
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世界の終わりから

2024-04-12 20:48:48 | 映画
4/12(金)曇り時々晴れ一時にわか雨
春らしい不順な天候。有休消化日。7:30起床。散歩、朝食、ゴミネット巻取り。10:00兄貴分を動物病院に連れて行き≪狂犬病≫の予防接種を受ける。1956年以来、国内での発病がないにも拘わらず、毎年摂取案内が来る。国と製薬会社と業界(獣医)団体の陰謀・癒着が疑われる。注射一本のほかに耳穴を診てもらい、歯磨きシートなど買わされて約6千円の出費。そんな飼い主の散財を知らぬ兄貴は尻尾を振って帰宅。昼食後も散歩を2回。合間に清掃や雑用など。夕方、パークサイドのカフェで一服。夜はネットフリックスで昨年公開の邦画を視聴。まったくノーチエックだった作品。監督・脚本(原作)は紀里谷和明。色々と毀誉褒貶の激しい人物のようだが、宇多田ヒカルの元旦那と云った方が通りがいいか。但し2015年公開の≪ラスト・ナイツ≫は西洋中世忠臣蔵として大いに感心した記憶あり。さて本作。開巻から10分でその壮大な世界観と制作陣の熱量が伝わってくる力作である。そのメッセージ性やテーマには異論はなし。但し映画作品としての語り口や完成度で云うと疑問符が付く。これはシナリオは自身で書かない方が良かったのではないか。科白が生々しく、そのテンションに少し閉口してしまった。役者の熱演(特にヒロインの伊東蒼)や凝った美術・セットなどが勿体ない。惜しいなぁ。
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ある閉ざされた雪の山荘で

2024-04-11 21:21:08 | 映画
4/11(木)晴れ
快晴続く。7:30起床。散歩、朝食、清掃、雑用。近所のスーパーで昼食用の蕎麦を調達。そば粉の等級は10段階ほどあり高級品と廉価版では3倍ほど値段が違う。あんなもの茹でれば同じだろ、と云う輩もいるが、歯応えや香りにはコダワリたい。おろし大根とおろし人参、納豆に胡麻、生卵とニラ、長ネギとシメジ。これらを特製の麺つゆとあわせて頂く。もみ海苔と味変に一味とラー油。魅惑の一杯である。午後も散歩でスタート。戻ると緊急ミーティングが招集されていた。10分ほど遅刻して遠隔参加。我が作業のチエックミスで支払い遅延となるところをベテラン社員の機転で回避。肝が冷えました。関係各位に謝罪と再発防止のメールを打つ。夜はアマゾンプライムで今年1月公開されたばかりの邦画を視聴。東野圭吾の原作小説は未読。劇団所属の男女 7 人の役者が山荘に集められ最終オーディションを行うと云う劇中劇。東野作品であるから当然殺人事件が起こる。それなりのキャスティングで、それなりの意外性もあるが、どうにも舞台設定がチンマリして広がりがない。鮮やかに騙されたと感心させられるのが、この手のミステリーものの王道だと思うが、その醍醐味がない。役者の熱演が勿体ない凡作。
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恐怖の報酬

2024-04-10 21:22:53 | 映画
4/10(水)晴れ
明け方の冷え込みはあったが文句のない晴天。7:30起床。強風にふかれても健気に残っている桜並木を横目に長い散歩。消化の為の有給取得。午前中は衣替え。10年着ていない箪笥の肥やしを捨てるに捨てられないこの貧乏性はどうにかならんか。昼前に桜餅をつくる。12:30兄貴分をトリマーに預け、出来立ての和菓子を贈答。3時間後に子犬のようにサッパリして戻ってきた。夕方、2度目の散歩。夜はネットフリックスで仏国製作のアクション映画を視聴。1953年、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督、イヴ・モンタン主演を知る者も少なくなったか。1977年、ウィリアム・フリードキン監督、ロイ・シャイダー主演のリメイク版はリアルタイムに大劇場で観て大いに感心した記憶あり。正直、クルーゾー版は、いまの観客には前半が冗長に感じられるだろう。フリードキン版も尺の違う(90分と120分)ソフトがあるが、お話はシンプルなので短縮版の方が出来が良いと思ふ。肝心な再リメイク版だが、どうしてこういう改悪をするかなぁ、という残念な出来栄え。無骨な良いお話を変に複雑にしてはイケナイ好例である。
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季節のない町

2024-04-09 21:24:23 | 映画
4/9(火)雨のち曇り
未明から降雨。7:30起床。午後には止んで曇天で肌寒い。散歩途中でダウン姿の老人と半袖の小学生を見かける。満開の桜も強風で落ちて道路には濡れた花弁が散乱する。午後、居間で配信ドラマを観ていたら登場人物のひとりが電車ごっこをやっていた。黒澤明の≪どですかでん≫のパロディーかと思ってタイトルと解説を見直すと山本周五郎の同じ原作を脚色していたのですな。企画・監督・シナリオは宮藤官九郎。小説は黒澤作品公開時(1970年)に前後して読んだ記憶あり。これを現代の震災地・仮設住宅に舞台を移したところにクドカンの才気を感じる。現在テレビ東京で放映されているようだが、昨年ディズニーで独占配信されていたようで、セット・美術・配役にしっかりお金がかかっている。全10話。深夜枠での放映は体力的に観ることが出来ないので無料配信サービスは大助かりである。

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交換ウソ日記

2024-04-08 20:14:47 | 映画
4/8(月)曇り時々小雨
有休消化の月曜日。今週はゴミ収集所のネット管理の当番である。月・火・金の不燃・可燃の収集時間9:30前後にカラス対策のネットを巻き取るという実に面倒な仕事をせねばならない。その前に散歩と朝食を済ませておく。午前中は洗濯と庭とベランダの掃除。昼食に鮭丼と具沢山豚汁。キッチリ1人前など作れないので明日の昼食も同じメニュー。それも侘しいので凝った副菜でも作るか。午後も散歩に出る。昨日の宴の喧騒が嘘のように公園はひっそりしている。夕方、リバーサイドのカフェで一服。夜はネットフリックスで昨年公開の邦画を視聴。ライトノベルの原作あるようだが未読。星の数ほど類似ある学園恋愛モノである。主演のふたりは若手の成長株なのでありましょう。偶然と誤解の結果、日記を交換する17歳の男女。王道の設定、想定内の展開、安心できるエンディング。正直観ているこちらがコッパズカシイ。ただ気の遠くなるほど昔むかし、グループで、その後には、付き合い始めの相方と日記を交換した経験がある。若い時分に、手紙を書いたり日記をつけたりすることは、その後の学業や仕事などに大いに役立った。いまはメールやラインでサラサラ・ビュンビュンやれば良いのだが、自筆で悶々としながらカリカリと書く文章と云うのも大切である。わが胸中にほんの僅かに残っているミドルティーンの記憶が澎湃と蘇るのであった。
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湯道

2024-04-07 20:08:09 | 映画
4/7(日)晴れ
昨夜に続いて未明に一雨あったのか路面が濡れている。7:30起床。散歩で向かった公園にはシートを敷いて場所取りをしている人が複数いた。曜日と週間天気予報などから本日が最良の花見日和だろう。朝昼夕と三度の散歩に出てトータル10キロほど歩く。普段は何処に潜んでるのかと思うほどの人出である。特に小さな子供たちの遊ぶ姿に頬が緩む。合間にカフェで一服、写真撮影など。夜はアマゾンプライムで昨年公開の邦画を視聴。監督はCX出身の鈴木雅之、シナリオが小山薫堂、生田斗真ほか豪華キャスト。廃業寸前の銭湯を舞台にした群像劇。まぁ個々のエピソードに新味はないが、セットだと思われるが、美しいシンメトリーな銭湯の内部には感心した。自分もスポーツジムの会員になっている理由の一つに広い浴槽とサウナに入れるから、というのがある。
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オーメン:ザ・ファースト

2024-04-06 21:36:20 | 映画
4/6(土)曇り
未明に一雨あったのか道路が濡れている。寝坊して8:00起床。散歩を終えて愛車に乗って近所のファミレスへ。朝食と新聞精読。更に隣接するシネコンで昨日から公開の洋画を鑑賞。11:30上映回には中高年層中心に2割程度の入り。1976年公開の古典的ホラー映画の前日譚。もう半世紀近く経つんですなぁ。3部作はTVや名画座で何度も観ましたな。特に第1作はシナリオが実に良く出来ていた。ラストにもニンマリ。さて今作。悪魔の子、ダミアンが如何に生まれたかがネチッこく描かれる。なるほどねぇ。キリスト教にも過激で異端な教義があるのですな。神も仏も要らない世の中というのは宗教界にとっては危険な状況なのでありますね。前半は少々辛抱の時間帯があるが、後半の畳みこむ展開には肝が冷えた。1970年代の欧州・イタリアが舞台と云うのがよろしい。面白うございました。帰宅して花見のグループが小宴を張る公園を巡って長い散歩。夜はひたすら読書。
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花咲舞が黙ってない

2024-04-05 20:58:23 | ドラマ
4/5(金)曇り一時小雨
春曇りが続き寒も戻って肌寒い一日。今月から毎週、月・金が有休消化日となる。7:30起床。フリースにジャンパーを羽織って朝の散歩へ行く。霧雨に濡れた桜並木を眺めながら川沿い歩く。昼前に家を出て池袋へ出張る。12:30旧同僚と待ち合わせして中華ランチを共にする。2歳年下の奴はサンデー毎日、趣味(ピアノ・将棋・旅行)の日々らしい。なにやら似たような境遇であるから共通知人の噂や消長など話題には事欠かない。場所をクラシカルな喫茶店に移して計2時間強、談笑して別れる。池袋から徒歩帰宅して兄貴分と2度目の散歩。夜はTVerで10年前に放映されたテレビドラマを数話視聴。原作・池井戸潤。ヒロイン・杏が臨店班所属の熱血行員を演じ、行内不正の数々を暴いて爽快である。一度でも宮使いをした者なら組織の軋轢や理不尽さを経験したことはあろう。最後はお決まりの啖呵を切って見る者は溜飲が下がるだろう。この春からは今田美桜主演で新シリーズが始まるそうな。毎週リアルタイムで見ようかしらん。

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コンビニエンス・ストーリー

2024-04-04 20:59:18 | 映画
4/4(木)曇り一時小雨
春曇りの一日。満開近くの作並木を眺めながら朝・昼・夕と三回の散歩。午前中に都銀担当者から電話。次いでネット会議。その対応と応酬で自己嫌悪に陥る。この性悪な性格は生涯治らないのか。新聞の小さなコラムを読み眼前に陽炎が立った。やはり人々を感動させるのは善意だと思ふ。組織や政治のシステムが人を悪くする。昼食に久々に作った特製ナポリタン。遠方に住む旧友より吞み会のお誘い。調整しますと返答。夜はアマゾンプライムで見逃していた2022年製作の邦画を視聴。放送作家出身の奇才・三木聡監督、脚本。この人はTVドラマ≪時効警察≫のような脱力系コメディーを得意とするが、映画では≪転々≫のような佳作も撮っている。本作も売れないシナリオライターの異世界迷宮譚と云ったところか。良く云えばフェリーニの81/2のオマージュ的でビジュアル面で幾つか印象的なシークエンスあり。大衆受けしないアート作品と云って良いだろう。または筋立ては措いて前田敦子のファムファタルものとして割り切って観ても面白いと思ふ。
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ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル

2024-04-03 21:43:54 | 映画
4/3(水)曇り後雨
春らしい天候。せっかく咲き始めた桜も雨に濡れる。出勤日。5:30起床。7:00奉公先到着。昼まで月次の処理。午後は封緘作業を手伝う。15:50定刻退社。夕方から1週間の食事の仕込み。夜はネットフリックスで2016年製作のニュージーランド映画を視聴。同国出身の才人タイカ・ワイティティの出世作。
バリー・クランプの『ワイルド・ポークとクレソン』が原作らしいが未読。ひねた孤児の少年と偏屈な老人が大自然のなか奇妙な逃避行を描いたコメディ。監督の身上であるリズミカルな語り口が気持ち良く、シリアスだが暗くなることはない。内包する重いテーマをさりげなく映像で語っているところも良し。これは佳作である。

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クインシーのすべて

2024-04-02 21:16:57 | 映画
4/2(火)晴れ
快晴の一日。桜も蕾を開き3分咲き。7:30起床。散歩、朝食、清掃、仕事。午後も散歩でスタート。親類・友人・知人からメール多数。意外とこのブログが閲覧されていることに驚く。夕方、リバーサイドのカフェで一服。夜はネットフリックスで2018年製作のドキュメンタリーを視聴。今年で91歳になる米国音楽界の巨星。ジャズのみならずブラックミュージック、映画音楽、ポピュラー音楽全般にこれほど大きな足音を残した人物はいないだろう。演者、作曲、編曲、プロデュースだけでなく社会貢献もしている。私生活でも4度の結婚で最後の妻はナスターシャ・キンスキーというのも凄い。時系列でその偉業を紹介しては、直近の大イベントと暗い幼少時代や闘病・離婚なども挿入される。実に良く出来た構成でありました。YouTubeで【Big Band BossaNova】を聴きながら本稿を記す。


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エイプリール・フール

2024-04-01 21:11:06 | 日記
4/1(月)曇り時々小雨
生涯で最もドラマチックな一日だったのだが、自分で日記に記すのも芸がないので、以下、ひっかけた相手(メガバンクの古参女子行員)の立場になって私小説風に記しておきたい。
************************

今年の卯月朔日(ついたち)は月曜日だからキリが良い。
年ごとに早まっている気がする桜の開花情報は寒の戻りが通せんぼをして停滞していたが、駅前の桜並木はようやく咲き始めた。
週末が見頃か。春爛漫とはこの時期にしか使われない言葉だろう。

新任支店長の朝礼(訓示)も、前期の不振を吹き飛ばして心機一転、頑張ろう、とリセットを強調する。前任者はパワハラをホットラインでチクられて四国の僻地へ飛ばされたと聞く。昭和時代の指導や教育は通用しない。時代である。もともと銀行のローテーションは早いので違和感はないが・・。

1月から新NISAが始まり、3月には日銀がゼロ金利政策を解除。
個人を顧客とするわが部隊も大いなる期待をかけられている。
国内の個人預貯金は2千兆円を超えていると云われている。
何とかその一部を各種金融商品(国債・保険・投信など)に誘導せねばならない。
目標予算は仰ぎ見る富士山のように高い。

4月1日・月曜日・午前10:00。
先月中旬に電話で事前予約した本日最初の顧客は時間通りに受付にやって来た。ここ3年以上定期預金の残高が動いていない個人客である。
データセンターから情報を入手して、上長からは早急なアプローチをしろと指示をされてようやく来店アポを取り付けたのが先月15日の金曜日だった。

現れたのは特段特徴らしきものもない還暦前後の小柄な初老の男性である。
銀行員になって30年以上。人を見る目には多少の自信がある。
服装はグレーのフリースにインディゴブルーのジーンズ。
足元は履き古したナイキのスニーカー。
正直、富裕層には程遠い雰囲気と風袋である。
勧誘の際に受話器から聞いた明るい声音と違い、眉間に皺を寄せて気難しい顔をしているのが少し気になった。

個室に案内してテーブル越しに対面。
名刺を差し出して『先日はお電話で失礼致しました』と、挨拶。
相手も手慣れた手つきで名刺を出しながら『実は・・・』と仰天すべき事柄を語りだした。
渡された名刺を見ると大手総合電機メーカー勤務らしい。
但し苗字は同じだが名前が違う。
『わたくしは****の弟です。兄は先月20日(春分の日)の朝、自宅の風呂場で倒れているのを兄嫁が発見しました。救急車で富士見台の順天堂病院へ搬送されましたが手遅れでした。心筋梗塞です。こどもふたりは海外と九州におり、独立しておりますので唯一の兄弟であるわたくしが、先週末から兄嫁と遺品の整理などをしておりました。卓上のカレンダー、スケジュール帳にも本日の予定が書き入れてあり、さらには〇〇さん充ての封書が挟んでありましたので、本日持参した次第です』
『お兄様とは、お電話で今後のライフプランを踏まえて定期預金の運用など、当行として何か御提案させて頂きたいと本日の面談予約を頂戴しておりました。電話口では本当にお元気そうだったのに・・・お悔やみ申し上げます』
『元々オツムほどではないにしろ体は丈夫な方ではなく、精神面でも職場の人間関係で鬱病を発症して休職していた時期もありました。身内の恥を晒すようで気が引けるのですが、甲斐性もないのに呑む・打つ・買う、と三拍子揃ったお調子者で金銭にもルーズなところもありました。まぁ死ねばみな仏ですがねぇ・・。』と、薄く笑っている。                                                                                                                                                                                                                             

渡された大き目のクラフト紙の封書には筆ペンと思われる癖のある筆跡で【▽▽銀行XXX支店 〇〇さま】と書かれていた。
中身は短冊状のメモ用紙が一枚。
【目の前にわたしの親族を名乗る男がいると思うが要注意 本人確認をすべし】
との文言が、明朝体の大き目のポイントで印刷されていた。

向かいの男はどれどれと無遠慮にメモを覗き込んで
『本人確認が必要ですか? これで良いかな』
と云って財布から免許証らしきカードを抜いて提示してきた。
ひげ面の写真は紛れもなく本人であるが、氏名欄にはポストイットと思われる付箋紙が張ってあり、氏名・四月 馬鹿 と手書きされている。

一瞬で事態を把握して相手を睨もうと顔をあげると、死んだはずの当人が、テーブルに両手をついて平蜘蛛のようにひれ伏している。
5秒ほどで顔をあげると『今日はエイプリルフールですよね』とシレっと云って悪戯小僧のように破顔した。
『その名刺、息子のです。返して頂けます?』
もうお互い笑うしかない。
これはお詫びのしるしです、と差し出したのは手作りらしき桜餅だった。
これからしばらく昼休みの話題は自分の頓馬な話になるだろう。
和菓子などクソくらえ。早退してビールを飲みたい!

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