2018/11/3 裏妙義・西大星北稜
西大星北稜は前半のホノボノとした岩稜に奇石。
目指す本峰はまるで岩峰が集まる城塞。
後半は乱立する岩峰に入り組んだルンゼ。
諮らず踏み込めば、手痛い仕打ちを受けることであろう。
ルンゼを縫い進めば比較的容易に頂に達することもできる。
しかし、それでは物足りない。そうも思う。
正解のない岩薮に高揚を覚えるかどうかは、個々の性癖のようなものだ。
メンバ-はsak、sztさん、kakさん、lilyさん。
覚悟はいい?(笑)
夜明けとともに出立です。
【薮岩】
取付きは鍵沢登山道脇の石碑から。
薮はそれほど濃くもなく、快適。
岩場が出たら、その場のフィ-リングで直登か左右の巻き。
1個所だけ右に支尾根で切れ落ちる岩稜があるので注意。
【奇石】
最初のリッジは細いので慎重に。
2つ目のリッジは廊下状。余裕で「シェ-」のポ-ズ。
奇石群はリッジ沿いに。
フリクションも充分で不安はないけど、切れ落ちているので念の為フィックスを張る。
西大星の岩峰群が近づいてくる。
北稜最初の岩峰は正面凹角状スラブに青ロ-プの残置。
ここは右へ懸垂下降して巻いたけど、あまり良くなかった。
コルへと上がって次の岩壁は反対側の岩壁基部を巻いて最初のルンゼを詰める。
【前衛峰】
ルンゼを詰めあげると、右にフェイス。
一部ボルトがあるという記録もあったので、岩場周りを探してみたが見い出せなかった。
記録とは違う場所に入り込んでいるのかもしれないが目指すのは目の前の前衛峰。
ともかく弱点を見出し左の尾根に乗って突き当りのフェイス基部を左にトラバ-ス。
4人集まれそうな草のテラスから取りつく。
集塊岩用のスリングを使って登攀。
右凹角状を狙ったが、上部立木までの乗越で確信が持てず、フェイス左に転進。
トラバ-ス気味に左上する。
10mほど上の薮でビレイ。
目の前の小さな凹角を上がれば、あとはヤブ登りに終始。
何時だって痕跡なき登攀は刺激的。御殿東壁を想い出す。
前衛峰と本峰の間は切れ落ちたコルとなっており、45mの懸垂下降を要する。
途中から空中懸垂。落ちこみのリップでフリクションが掛かるためロ-プ回収に注意が必要。
【西大星】
空懸後、コルを上がり反対側を少し下ったルンゼを詰める。
下部でチョックストンを抱いており、右のフェイスをひと登りでやり過ごす。
あとは落ち葉の詰まった薮ルンゼを登り切ると本峰手前峰。
本峰は意外と高く聳え立つが、ここからは容易であっという間に山頂に達する。
下降は少し戻って本峰手前峰とのコルを一気に下る。
45m、40m。2度の懸垂下降で緩やかな沢床。
ここから歩きで鍵沢登山道に合流。
後は忠実に登山道を下る。
【備忘録】
<赤岩と烏帽子>
西大星から見る赤岩は西面が切れていて素晴らしく男前。
斜陽に陰る烏帽子の尖峰もトンガリファンには堪らないシルエット。
次の機会に。
<ハンマ-ヘッド>
丁須の頭で、なるか人文字。トリプル”丁”撮影。
「万歳三唱」をしたときはあるんですけどね。
【最後に】
今回のプランに名乗りを上げていただいた皆様。
本山行が皆様のご趣味に合ったかどうか。
少々不安な夜を過ごすsakです。
「また、行ってもいいかも」
そう思ったならば、おめでとうございます!
これであなたも「篤志家」の仲間入りです。
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◆登山における「篤志家-とくしか-」
志しを以って山に登る人。
不人気で道の無い薮山などに分け入り、場合によっては不快な状況を耐え忍ぶことに価値を見出す傾向がある登山愛好家。
物好き。
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もう一度言います。
おめでとうございます!
sak