千島湖旅行の最後に湖をぐるっと一周してから蘇州へ帰ることにして、
千島湖から少し離れた山の中にある芹川古村にも行ってみました。
観光案内で見つけた場所だったので、あまり期待していなかったのですが、
結果的にこの考えは正解で、今回の旅行の中で最も景色が楽しめることになりました。
芹川古村は、浙江省の淳安県浪川郷芹川村の中にあります。
芹川村は千島湖に沈まずに残った場所なので、そもそも人が訪れることも少ないのでしょう。
千島湖の観光地からまっすぐ行けるような公共交通はありません。
ナビが案内した道(たぶんショートカット)も湖岸から離れると集落の中を通る細い道でした。
車で芹川古村の中へ入って行けるような道幅の道路はありません。
古村の近くに駐車場(無料でした)があるので、そこから歩いて村に入ります。
村の入り口にある大きな楠は、800年以上の樹齢だそうです。
駐車場には車がたくさん駐まっていたので、観光客が多いのかと思いながら村の中へ。
芹川古村も700年以上の歴史があります。
明清代と民国時代の建物が60棟以上残っており、村の中を澄んだ川が流れています。
川を挟んだ両側の道が村のメインストリートになっています。
川には魚が群れていて、あちこちにアヒルが放し飼いされています。
一応観光地なのですが、蘇州近郊の水郷古鎮のように土産物屋や飲食店が立ち並んでいるわけでもありません。
観光客向けっぽくなっている感じの商店は1軒だけ。
観光客向けに他にあるのは数軒の農家料理のお店と村の入り口近くの酒屋さんぐらい。
それ以外は、村人が普段買い物するような小さな雑貨店や食料品店で、
お菓子や土産物も扱っているぐらいです。
村の中は人々が普通に暮らしているだけで、休日でしたが観光客の姿はほとんどありません。
駐車していた車の多くはきっと村人のものなのでしょう。
川沿いの家には、それぞれ自分の橋があるのかと思えるほど、とにかく橋の数が多いです。
明清代の石橋や板橋、新しいセメント造りの橋など、様々な橋があります。
小さな村の中には38の橋があるそうです。
橋の下をよく見てみると、洗い物をしている人の姿があちらこちらに。
橋は各家の炊事場にもなっているように見えます。
村を散策していると、一匹の黒い犬が道案内をしてくれました。
後ろからずっとついてくるわけではなく、先に立って歩いていきます。
写真を撮ったりして立ち止まると、自分で遊びながら終わるのを待っています。
仕草がとても可愛くて撫でてあげたくなるのですが、海外でやっちゃいけないことのひとつなので我慢。
そんなに目立つ行動はしていないつもりでしたが、
犬と一緒に村の奥まで散歩していたせいなのか、村人に声をかけられてちょっと緊張。。
たぶん、標準語が話せない奥地から出てきた人だと思われたに違いありません。
芹川古村は一応観光地にはなっていて、千島湖の観光マップに載ってはいるものの、
今のところは交通の便が悪すぎて、観光客で賑わうことはなさそうです。
車がないと行きにくい場所なのですが、こんな素朴で長閑な風景を楽しみたいと思われる方にはお勧めです。
村の中には若い人や子供の姿も見かけましたし、過疎化が進んで人がいないという雰囲気ではありません。
また、裕福ではないかもしれませんが、貧しい村という感じもありません。
蘇州の平江路もそうでしたが、観光地となって人気が出ると元の雰囲気はすっかり消えてしまうので、
景色や雰囲気が良くて普段の生活も見られる古村の姿は、なかなか見ることはできません。
私のような中国語が達者でもない外国人には、観光地になっていなければその場所を知ることはできませんし、
逆にそうでなければ、中まで入って行く勇気もありませんので。
まだ人気がない観光地の芹川古村を見つけられたのは運が良かったのかと思います。