新・本と映像の森 265 中脇初枝『神に守られた島』講談社、2018年
7月10日、231ページ、定価本体1400円
ジュブナイルかとも思ったが、読んでみて十分「おとなの小説」として読めると思った。
『赤旗 日曜版』で紹介されていて、読む気になって書店へ注文したら、ぴたりでした。ようするに、ボクが買うべき本、ボクが読むべき本でした。
今年前半期の大きな収穫。沖縄について興味のある人は、みんな読むべき本です。
舞台は1945年の大戦末期の沖永良部島。沖縄に近く特攻機が上空を飛んでいくこの島で生きる子どもたちが主人公。
語り手の「ぼく」はマチジョーと呼ばれる10才の少年。
方言が美しいとボクは感じる。労働やおどりで歌われる民謡も。
ウム 薯
ヤラブケー 蘇鉄の実の粥
シマ 集落
トーグラ 台所
ヒャーギ ざる
ガーク 蛙
イョー 洞窟
登場人物
カミ 「瓶」から命名された少女
ナーク カミの妹
トラグァー 友だちの少年
ヤンバル 友だちの少年。山原?
あま お母さん
あちゃ お父さん
ハナみー 兄
ユニみー 兄
あや 姉
小説を読むと「奄美は沖縄なんだ」と感じるけど、奄美の人がどう思っているか。
戦前のは電気はきていない島だった。島とこどもたちを戦争が翻弄する。
言葉には二重の意味があるようです。島は集落の意味があります。
そしてタイトルの「神に守られた島」だが、「神」はたんなる「神さま」でなく、「をない(姉妹)神」のこと、広く言えば島の女性たちのことだと思う。
狭くいえば主人公マチジョーにとっての姉やとくに少女カミのことだと思う。名前も同じ「カミ」だし(微細な発音などが同じか違うかは不勉強で知りません。)
次の『神の国のこどもたち』を読んだら、また紹介します。