ことばと詩 8 小林多喜二「闇があるから光がある」 20190519
友人から有料で譲ってもらった『小林多喜二全集(全7巻)』の「第7巻」p335に
恋人田口瀧子さん宛ての手紙がある。
1925年3月2日付けの冒頭で小林多喜二さんは、こう語りかける。
「「闇があるから光がある」
そして闇から出てきた人こそ、一番ほんとうに光の有難さが分るんだ。世の中は幸福ばかりで満ちているものではないんだ。不幸というのが片方にあるから、幸福ってものがある。そこを忘れないでくれ。
だから、俺たちが本当にいい生活をしようと思うなら、うんと苦89しいことを味ってみなければならない。」(p334)
「闇があるから光がある」と「」で引用しているので、何かの引用文だとは思うが、全集の編集者は非常に寡黙な方なので、何も書いていない。
小林多喜二さんは、当時22才で小樽在住、『クラルテ』という同人雑紙を出している。「クラルテ」はフランス語で「光 ひかり」という意味でアンリ・バルビュスの小説『クラルテ』は有名なので、その引用の可能性もありそうだ。
何か確かなことが判ったら書きます。
もちろん闇と光は物理学的な光と闇、昼と夜のことではありません。「世の中」の闇と光、心の闇と光のことです。
闇と光について、いくつか書けることを書こうと思います。