新・本と映像の森 297 海部宣男『宇宙史の中の人間』岩波書店、1993年
この本は天文学者海部宣男さんが書いた。海部宣男さんは名著『銀河から宇宙へ』がいい本だが、これもいいです。
初期宇宙の素粒子のはなしがおもしろかったので文章を筆記しておいた。
「クオークとそれを結びつける粒子であるグルーオンとがとびまわる宇宙が冷えて、クオーク同士が結びつき、小さな空間にとじこめられてハドロンになりました。
これが、クオーク・ハドロン相転移です。」
「宇宙膨張開始から10万分の1秒~1万分の1秒という初期に、クオークは早くも陽子や中性子の中にしっかりと閉じこめられてしまいました。」
「1969年にスタンフォード大学の粒子加速器で陽子をこわす実験がおこなわれてはじめて、人類はクオークを「見た」のでした。
陽子の内部は、クオークがいつも生まれたり消滅したりしている、ゆがんだ超高エネルギーの空間です。
陽子の中には、クオーク・ハドロン相転移以前の宇宙がとじこめられ、残されているともいえます。」
≪ 海部宣男『宇宙史の中の人間』岩波書店、1993年、p142 ≫