ことばと詩 22 京極夏彦『姑獲鳥(うぶめ)の夏 上』講談社文庫、2005年、p23~24 20191210
講談社、2005年4月5日第1刷~2009年9月11日第13刷、339ページ、定価本体571円。
登場人物と関係用語≪ 京極堂、古本屋、中禅寺秋彦、中禅寺千鶴子、藤野牧朗(まきお)、関口、関口雪絵、雑司ヶ谷、久遠寺医院、久遠寺涼子、久遠寺梗子、内藤、医師、稀譚舎、中村まこと、編集長、中禅寺敦子、薔薇十字探偵社、榎木津(えのきづ)礼二郎、寅吉、木塲修太郎、刑事 ≫
あまり気にいった小説ではないけど、冒頭で主人公たちの会話だけはいいなと思ったので。
「「この世には不思議なこよなど何もないのだよ、関口君」
京極堂はそういった。
この言葉は京極堂の口癖である。
いや、座右の銘といっても良い。
・・・・・・
「だいたいこの世の中には、あるべくしてあるものしかないし、起こるべくして起こることしか起こらないのだ。自分たちの知っている、ほんの僅かな常識だの経験だの範疇で宇宙の凡てを解ったような勘違いをしてるから、一寸常識に外れたことや経験したことがない事件に出会すと、皆口を揃えてヤレ不思議だの、ソレ奇態だのと騒ぐことになる。だいたい自分達の素性も成り立ちも考えたことのないような者に、世の中のことなんかが解ってたまるかい」」(p23~24)