新・本と映像の森 321 恩田陸『祝祭と予感』幻冬舎、2019年
10月1日、186ページ、定価本体1200円。
恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』の前後(はるかもまぢかも)を描くスピンオフ短編小説集。
みんな出てくるんで、すこく楽しいですね。
マサル。
亜夜。綿貫先生のお墓参りとヨーロッパ留学。
奏(かなで)。古いヴィオラとの新しい遭遇。
塵(じん)。6編のうち3編も登場。
ナサニエル。若き日のコンテスタントとマサルの指導者になる機会。
三枝子。同じく若き日のコンテスタント。
菱沼。「春と修羅」の作曲秘話。
そして、ホフマン、塵と出会う。。
ボクが一番好きなのは、古いヴィオラとの奏(かなで)の新しい遭遇を描く「鈴蘭と階段」
塵と亜夜はチェコフィルのヴィオラ奏者パヴェル氏の家に行き、朝そこでパヴェル氏の予備のヴィオラの音を聞く。
亜夜「あ、演奏ちゃんがヴィオラ弾いてる」
塵「ね、あれ、カナデだよね。カナデが弾いてるよね」
もちろん、この時、奏は日本にいる。それからこのヴィオラを奏が買い取るまで続くのだが、不思議なのは、いったい塵は、いつ奏の演奏を聞いたのか?
奏の演奏を外でわざわざするわけはないい。すると奏の自宅で亜夜・塵など少人数でいったか、もしくは亜夜の入賞祝いのときか。
ボクだったら奏と塵の恋物語というのを妄想するけど。ピアニスト同士ではうまくいくはずもないけど、ピアニストとヴィオラ奏者ならコンサートも一緒にできる。
1読者のあほな妄想でした。
雨宮日記 8月30日(木) 『遠雷と蜜蜂』を読む
2018年08月30日 22時07分08秒 | 雨宮日誌
マンガ『ピアノの森?~?』に触発されて、恩田陸『遠雷と蜜蜂』を読み返す。音楽を会場の外へ持ち出す、など共通点を確認できた。
コピーなどとは言わない。2つともとてもいい作品。塵と海は似ているし、マサルはパン・ウェイに、亜夜と貴子は似ている。
以下、再録。
「新・本と映像の森 3 恩田陸『蜜蜂と遠雷』
2017年02月23日 15時42分38秒 | 本と映像の森
恩田陸/著『蜜蜂と遠雷』幻冬舎、2016年9月20日第1刷発行、507ページ、定価1800円+税
3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクールを舞台に、4人の16才から28才までの新進ピアニスト・コンテスタントたちの演奏と挑戦を描く。
「芳ヶ江国際ピアノコンクール」というのは、実在します。というより「浜松国際ピアノコンクール」のことで、当然、会場は浜松のアクトシテイです。
まあ、会場は、どこでもいいんですけど。
この小説の主人公たち、ピアニスト・コンテスタントたちだけはなく、その周囲の撮影者、審査員、調律師などを含めて、音楽とは何か、音楽は人間とどのような関係を結ぶのか、演奏面での探求・切磋琢磨を描いています。
それがメロデイまで聞こえそうなリアルさで描かれています。クラシックは大好きで、いつも聞いているので、それだけで最高です。
第一次予選から第二次予選、第三次予選と本選、4回の審査を描いてゆきます。
☆
題名の「蜜蜂と遠雷」、「蜜蜂」は養蜂家の父についてフランスの自然のなかで育った日本人の少年・風間塵(じん)のことですよね。
では「遠雷」は?
物語のなかで明示されていないように思いますが、 ボクは、たぶん主人公のひとり,13才で母の死に直面しピアノを絶った、いま20才の女性・栄伝亜夜のような気がします。この物語のなかで、いちばん好きな主人公です。」