ことばと詩 24 中山七里『贖罪の奏鳴曲』講談社文庫、2103年、p276~277 20191222
原書2011年、「第三章 贖いの資格」より
中山七里『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』は、ボクの好きな推理小説・警察小説です。しゃべっているのは主人公級のベテラン刑事・渡瀬さん。
いつも渡瀬さんの行動とセリフには痺れます。
「前にも言ったことがあるよな。後悔なんかするな。悔いたところで過去は修復できない。謝罪もするな。いくら謝っても失われた命が戻る訳じゃない。その代わり、犯した罪の埋め合わせをしろ。いいか。理由はどうあれ、人1人殺したらそいつはもう償い続けるしかないんだ。死んだ人間の分まで懸命に生きろ。決して楽な道を選ぶな。傷だらけになって汚泥の中を這いずり回り、悩んで。迷って、苦しめ。自分の中にいる獣から目を背けずに絶えず闘え」
口調はおだやかでゆっくりだったが、しかしその一言一言が胸の奥に下りてくる。これはいつか味わった感覚だ。そうだ。島津さゆりのピアノ ー あの激烈で鋭敏な旋律と同じように、稲美の言葉が突き刺さっている。
「自分以外の弱い者のために闘え。奈落から手を伸ばしている者を救い上げろ。それを繰り返して、やっとお前は罪を償ったことになるんだ」
「そんなもの‥‥いつ終わるってんだよ」
「お前が死んだ時さ」」
それにしても、浜松市西区の元保育園副園長、いましたよね。土下座して「謝って」いました。
まだ謝るべき主要な相手がいると思いますが。