本と映像の森 210 北森鴻さん『虚栄の肖像』文春文庫、文藝春秋社、2010年(平成22年)9月10日第1刷、274ページ、定価552円+消費税、単行本2008年9月文藝春秋社刊
北森鴻さんの別シリーズ、花屋で絵画修復者、佐月(さつき)恭壱(きょういち)が主人公です。副主人公として、あの「狐」が出てきますが、あくまでも依頼者としてで、佐月恭壱さんが、絵画の修復に絡んで美術品の謎に挑みます。
「虚栄の肖像」「葡萄と乳房」「秘画師異聞」の3作です。
北森鴻さんの古美術小説の見所は、修復のディテールでしょうね。
絵が問題なのではなく、人間の思い、人間の欲望がからまって、時には事件を引き起こします…。