日本古代史 12 水谷慶一さん著『続 知られざる古代 龍王の来た道』日本放送出版協会、1981年(昭和56年)8月1日第1刷、299ページ、定価1300円
前著『知られざる古代 太陽の道』の続編です。「本と映像の森87 水谷慶一さん『知られざる古代』NHK。2010年09月28日」で紹介しました。 http://blog.goo.ne.jp/amamiyatomohiko/e/b2610b6dee001d62665e0b6b99ca7a62
2冊目は、ニホン列島から朝鮮へ飛んで、古代新羅の文武王を中心に、新羅での太陽信仰を追います。
中心人物は、新羅の第30代の文武王です。在位は西暦661年から681年、つまり7世紀末の新羅による朝鮮統一直前の王です。
この文武王の墓が新羅の首都・慶州から30度東南の①にあって、しかもその途中の同じ線上に、有名な吐窟庵(とくつあん)が載り、その阿弥陀像が海中の文武王の墓の方向を向いているのだ。
これを水谷さんは、現地ルポで懇切丁寧に、解明していきます。
しかもこの太陽信仰は、同時代の日本では、新羅系と言われる天武天皇(在位673年から683年で新羅文武王と重なります)の太陽信仰(アマテラス信仰)とも響き合っています。
新羅・文武王と、日本・天武天皇との関係は、すごく興味深いです。
さらに新羅「文武王」と日本「文武(もんむ)天皇(在位697年~707年」との名前の関係も、新羅「聖武王(在位702年~737年)」と日本「聖武天皇(在位724年~749年)」の名前の関係も、どうでしょうか。
まったく無関係と言い切れるのでしょうか。新羅「聖武王」と日本「聖武天皇」とは、在位が一部重なっているのです。もちろん、死後の「贈り名」とか、そういう問題があるので、実際に、生前に、同じ「聖武」と呼んでいたとは限らないのですが。