日本古代史の本 武澤(たけざわ)秀一さん著『法隆寺の謎を解く』ちくま新書、2006年、新書版、280ページ、定価820円+消費税
この本の冒頭に書かれているように、法隆寺といえば「柿食えば 金が鳴るなり 法隆寺」(正岡子規さん作)で、これが「柿食えば 金が鳴るなり 鴨江寺」でもダメですし、「柿食えば 金が鳴るなり 飛鳥寺」でもダメですね。
法隆寺について「日本古代史の本」で、これまで、以下2つを書きました。3つめの紹介です。
日本古代史の本 雑誌『サライ 2013年1月号』「法隆寺」特集 2012年12月14日 05時12分41秒 | 雨宮日誌
日本古代史の本 谷沢永一『聖徳太子はいなかった』新潮新書、2004年 2012年12月15日 05時16分04秒 | 日本と世界の古代史
著者の武澤さんは工学博士で一級建築士なので、法隆寺の謎を、科学的に、歴史的に、論理的にしつこく追求しています。こういう本は、大好きです。おすすめです。
暗記物ではなく、一級の推理小説のような、推理物です。
ー法隆寺は「全焼」したのか?
ー法隆寺が全焼したなら「本尊」は焼けたのか?
ーなぜ「本尊」が2つもあるのか?
ーなぜ現在の法隆寺は左右対称でないのか?
ーなぜ門の真ん中に柱が立っているのか?
ー法隆寺の柱のエンタシスはギリシャ起源か?
ー法隆寺と同じように塔と金堂が横に並ぶ百済大寺との関係は?
ー同じ聖徳太子が作ったという四天王寺のタテ配置との違いはなぜ?
ー法隆寺は「怨霊」の寺なのか?
武澤さんは、法隆寺を追求するなかで、日本文化の原点、東西と南北、そして柱を巡る文化、時計回りと反時計回りなどを浮かび上がらせています。
武澤さんなどのこういう古代文化・古代民俗の追求を、ぼくも考えて、このブログで、これから紹介していきたいと思います。
☆
写真は法隆寺とは無関係ですが、ある日の雨宮家の夕食です。日本文化の模範のような、何でもありの、混合物です。あー、則子さんに作ってもらっていて、評論していてはいけませんね。ごめんなさい。ぼく、一生懸命、食べましたから、許してください。おいしかったです。
歴史科学の本も、自然科学の本も、良質の本は、良質の推理小説のように謎解きがおもしろくて、おいしいですね。おいしい日本古代史の本、おいしい古代遺跡、おいしい古墳、おいしい遺物を紹介していきたいと思います。