本と映像の森「298」です。記念すべき「300」番目は何にしようかな。やっぱり、あれですうね。「あなたが無人島に本を1冊だけ持っていっていいとしたら、どの本を選びますか」。
回答は「本と映像の森 300」で
本と映像の森 298 ゆうきまさみ『白暮のクロニクル』小学館、2014年5月
ゆうきまさみさんの『白暮(はくぼ)のクロニクル』の第2巻「霧の中の輪舞(ロンド)」です。第1巻で登場した不老不死の「息長(おきなが)」。
不老不死で心臓を直撃されない限り、死なない。しかし、太陽の光には弱く、長く日射を浴びると死んでしまう。人の血を呑みたがる‥‥って、パンパイア・パンパネラ・ポーの一族ですよね。
少年の姿のまま生きて88年、みかけは少年の殺人事件マニア・雪村魁(かい)の過去が明らかになります。
もうひとりの主人公、厚生労働省に入りたての伏木あかり、その上司久保園さん、さらにその上司・竹ノ内との3人のやりとりも面白い。
竹ノ内「久保園さんのその楽観性には救われてますよ」
久保園「私の悲観性は髪の毛1本1本に宿って昇天していくんです」
竹ノ内「久保園さん酔いましたか?」
久保園「いいえ。まったく」シャキッ
竹ノ内「くっくっくっくっくっ」
久保園「おや、笑ってますね。あなたの方が酔ってらっしゃる」
もう1つの3人組、等々力(とどろき)に住む雪村魁と、屋敷の女主人「按察使」・妖艶な薫子さんと執事の実藤(さねとう)さんのやりとりも絶妙で、楽しい。
薫子「だから雪村く~~ん。君はあたしの使用人みたいなものよ。
うふふ、きれいな肌。」
雪村「ちょっとやめてくんないかなぁ、そーゆー変な誘いは」
薫子「堅苦しいのは生まれ付き?それとも‥‥」
雪村「さ、実藤さん 呼ぶぞ」
薫子「堅苦しいのは ズボンの中だけになさいな」
舞台は現代と1945年とが交互に展開し、1945年、神戸から沖縄へ舞台は移る。そこで日本軍隊に(じぶんからか)組み入れられていたた竹ノ内は、普通の少年だった雪村に戦場で合うのだった。
戦場で瀕死の重傷で倒れていた雪村に。
☆
そういえば、2巻の最初であかりが魁の頬をひっぱたいた夢が出て来ますが、2巻の後の方で、神戸で一書に逃げた幼なじみの棗(なつめ)にも、同じようにほおを引っぱたかれますね。
これは、魁があかりに魅きつけられる宿命ですかね。「棗ちゃんに叩かれたみたいに、あかりにも叩かれた!」
魁、お前は「マゾの宅急便」か・・・・。