音楽作品に関わるアートワークを詰めていったりする際に
「コンセプトを明確化する」
ということが必要な時があります。
特に、年単位で継続的に進めていくアーティストや
プロジェクトなどに関しては、
最初にソノ中心となる「軸」をある程度定めておかないと、
毎回、何やらバラバラな印象を与えるモノとなってしまったり、
表現者の個性が茫洋としたものとなってしまったり、
本来リアクションされるはずの無いユーザー層に
商品が向かっていってしまったり......と。
そんな部分をしっかりと、
行きたい軌道に乗せるためにやる作業とでも言いましょうか。
音楽そのものを作るのは勿論、
パッケージ全盛のいにしえの時代においては、
この辺の作業もとても大事なものであったりしました。
このブログのタイトルの元となった13歳の少女詩人
「螢(ほたる)」
に関しても、
メジャーデビュー前に同様の作業を行っていたことがあるのですが、
その時に、僕は彼女に
「君の好きなものは何?」
という質問を徹底して聞いていました。
ある晴れた日の午後。
東京、恵比寿にあるオフィスビルの会議室。
アートワークに関する作業なので、当然、
敏腕アートディレクターであり、
デザイナーでもある「ちーさん♀」も一緒。
床から天井まである大きな窓から差し込んでくる太陽の光の元で、
三人でのそんな会話は進んでいきます......
「......ふんふん。
なるほろぉぉーーー。
絵画だとその辺が好きなのね。ほたるわ。ふーーん。。
......他に何かある?
螢の好きなモノって」
「くすもとさん」
「???
なに?
なんて?ほたる?」
「楠本まき」
「????(o゜ー゜o) チンプンカンプン」
怪訝そうな顔をしている僕の横で、
「あーーーー。
そこね。
わかる。
螢っぽいわ。うん」
と答えるデザイナーのちーさん。
「ちーさん知ってるの?
なによ?
楠本まきって?
知らん」
「漫画家よ。
少女漫画系だからUZMETは知らないと思うけど、
最近人気なのよ。
ね。螢」
「うん。
私好きなの」
「へーーー。。。」
「黒が好き。
あと、死の匂いがするとこ」
「ほーーーー。。。
どの辺のものが良いの?
今から買いに行ってくるよ。読んでみる」
「えーーーと、、、、
絶対読んで欲しいのは
“ KISS×××× ”
と
“ 致死量ドーリス ”
他も、読めたら全部」
「りょーかい!」
「でも、私はマンマではないよ。
好きなだけ」
「うん。うん。
わかった。とにかくまずは読んでみるわ。
じゃないと話にならんからな。
ちーさん、この後、
本買うの付き合ってもらってよい?」
「いいわよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/ad/5db4848063d0631f2b7c5dfa5fe8dd20.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/9f/dfb828603d937239a8573fb800c4acb1.jpg)
1990年代の後半頃だったでしょうか。
「ゴスロリ」
という言葉が世間にチラホラと出だしていました。
「ゴスロリ」とは
「ゴシック・アンド・ロリータ(Gothic and Lolita)」
の略称で、ファッションやポップロック音楽世界を中心に、
一部のカルチャーシーンに強烈な影響を与えていました。
一般的にわかりやすいロックバンドさんだと
MALICE MIZER(マリスミゼル)
L'Arc〜en 〜Ciel(ラルク アン シエル)
PENICILLIN(ペニシリン)
GLAY(グレイ)
LUNA SEA(ルナシー)
Plastic Tree(プラスティック トゥリー)
......などなど。
今は「ビジュアル系」などとも言われている方々でしょうか。
そして、その辺の人達に話を聞くと、
勿論、全部では無いですが、かなりの確率で、
必ずと言ってよいほど出て来ていた方の名前が
「楠本まき」
シーンでは教祖とも仰がれる?ような漫画家さんでした。
蜷川実花(にながわみか)さんや、
萩尾望都(はぎおもと)さんも賛辞を送っているような方。
僕は、最初は螢に言われて読むこととなったのですが、
その世界観や美意識にはとても感じ入り、
シビレルものがあったことを記憶しています。
ジャンルというか、哲学的には
「耽美主義(たんびしゅぎ)」
と言われるものの中にあるものでしょうか。
そんなモノが、
「マンマではない」
と話してくれた螢の言う通り、
僕とちーさんが彼女のアートワークの裏に
認識できないスパイスの様に振り込んでいたもの。
「この絵の意味は美そのものだ。
存在することだけが、この絵の存在理由なのだ」
耽美主義を語る際に必ず出て来る
アルジャーノン・チャールズ・スウィンバーン
(Algernon Charles Swinburne)さんの有名な言葉。
とても潔い(いさぎよい)、良い言葉だなぁ、と。
そんなふうに覚えています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/00/66879b5a6727c8578ca3d0da167c2b6f.jpg)
実質、螢のメジャー唯一のアルバムとなる「わにがらヘビ」
片目が違う仕様。
下は、関係者のみに配られた貴重な!?
プロモーション専用ディスク。非売品。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/67/b1436c11a279abd09d364c66cf09f5da.jpg)
このブログは2012年の7月14日から記し始めました。
最初はこのブログのタイトルの由来の話であって、
少女詩人「螢」にまつわるお話。
今回の記事は、それ以来、
9年を超えて10年目へと向かうものとなります。
よくもまぁ、続いているものだ、と。
思えば遠くにきたもんだ、と。
なぜか、とても他人事の様な気持ちなのですが、
スタートの時から見てくれている皆さんとの約束ですので。
1年毎のマイルストーン記事として、
今回も螢と過ごした時間の四方山話をそっと置かせてもらいました。
この後、10年!?続けられるかどうかはわかりませんし、
世知辛い世に出て働いている以上、立場上!?
書けることと書けないこととが半々ぐらいであったりもしますが。
これからも、ぬるく、軽く。
ぽよぽよとイイカゲンに頑張ってみます。
いつもクダラナイ記事を見続けてくれている皆さん、
本当にありがとうございます。
心から感謝しております。(^^)
☆「初めに、タイトルの話」カテゴリー記事リンク☆
「雲と螢」
「雲と螢 2」
「雲と螢 3」
「おちあがるように」
「平原の丘」
「少女の手」
「Klimt,Schiele,Hotaru」
「厳しいトコロだった」
「無駄な人数」
「みんな...」
「マイルストーン」
「ギザギザ」
「コンセプトを明確化する」
ということが必要な時があります。
特に、年単位で継続的に進めていくアーティストや
プロジェクトなどに関しては、
最初にソノ中心となる「軸」をある程度定めておかないと、
毎回、何やらバラバラな印象を与えるモノとなってしまったり、
表現者の個性が茫洋としたものとなってしまったり、
本来リアクションされるはずの無いユーザー層に
商品が向かっていってしまったり......と。
そんな部分をしっかりと、
行きたい軌道に乗せるためにやる作業とでも言いましょうか。
音楽そのものを作るのは勿論、
パッケージ全盛のいにしえの時代においては、
この辺の作業もとても大事なものであったりしました。
このブログのタイトルの元となった13歳の少女詩人
「螢(ほたる)」
に関しても、
メジャーデビュー前に同様の作業を行っていたことがあるのですが、
その時に、僕は彼女に
「君の好きなものは何?」
という質問を徹底して聞いていました。
ある晴れた日の午後。
東京、恵比寿にあるオフィスビルの会議室。
アートワークに関する作業なので、当然、
敏腕アートディレクターであり、
デザイナーでもある「ちーさん♀」も一緒。
床から天井まである大きな窓から差し込んでくる太陽の光の元で、
三人でのそんな会話は進んでいきます......
「......ふんふん。
なるほろぉぉーーー。
絵画だとその辺が好きなのね。ほたるわ。ふーーん。。
......他に何かある?
螢の好きなモノって」
「くすもとさん」
「???
なに?
なんて?ほたる?」
「楠本まき」
「????(o゜ー゜o) チンプンカンプン」
怪訝そうな顔をしている僕の横で、
「あーーーー。
そこね。
わかる。
螢っぽいわ。うん」
と答えるデザイナーのちーさん。
「ちーさん知ってるの?
なによ?
楠本まきって?
知らん」
「漫画家よ。
少女漫画系だからUZMETは知らないと思うけど、
最近人気なのよ。
ね。螢」
「うん。
私好きなの」
「へーーー。。。」
「黒が好き。
あと、死の匂いがするとこ」
「ほーーーー。。。
どの辺のものが良いの?
今から買いに行ってくるよ。読んでみる」
「えーーーと、、、、
絶対読んで欲しいのは
“ KISS×××× ”
と
“ 致死量ドーリス ”
他も、読めたら全部」
「りょーかい!」
「でも、私はマンマではないよ。
好きなだけ」
「うん。うん。
わかった。とにかくまずは読んでみるわ。
じゃないと話にならんからな。
ちーさん、この後、
本買うの付き合ってもらってよい?」
「いいわよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/ad/5db4848063d0631f2b7c5dfa5fe8dd20.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/9f/dfb828603d937239a8573fb800c4acb1.jpg)
1990年代の後半頃だったでしょうか。
「ゴスロリ」
という言葉が世間にチラホラと出だしていました。
「ゴスロリ」とは
「ゴシック・アンド・ロリータ(Gothic and Lolita)」
の略称で、ファッションやポップロック音楽世界を中心に、
一部のカルチャーシーンに強烈な影響を与えていました。
一般的にわかりやすいロックバンドさんだと
MALICE MIZER(マリスミゼル)
L'Arc〜en 〜Ciel(ラルク アン シエル)
PENICILLIN(ペニシリン)
GLAY(グレイ)
LUNA SEA(ルナシー)
Plastic Tree(プラスティック トゥリー)
......などなど。
今は「ビジュアル系」などとも言われている方々でしょうか。
そして、その辺の人達に話を聞くと、
勿論、全部では無いですが、かなりの確率で、
必ずと言ってよいほど出て来ていた方の名前が
「楠本まき」
シーンでは教祖とも仰がれる?ような漫画家さんでした。
蜷川実花(にながわみか)さんや、
萩尾望都(はぎおもと)さんも賛辞を送っているような方。
僕は、最初は螢に言われて読むこととなったのですが、
その世界観や美意識にはとても感じ入り、
シビレルものがあったことを記憶しています。
ジャンルというか、哲学的には
「耽美主義(たんびしゅぎ)」
と言われるものの中にあるものでしょうか。
そんなモノが、
「マンマではない」
と話してくれた螢の言う通り、
僕とちーさんが彼女のアートワークの裏に
認識できないスパイスの様に振り込んでいたもの。
「この絵の意味は美そのものだ。
存在することだけが、この絵の存在理由なのだ」
耽美主義を語る際に必ず出て来る
アルジャーノン・チャールズ・スウィンバーン
(Algernon Charles Swinburne)さんの有名な言葉。
とても潔い(いさぎよい)、良い言葉だなぁ、と。
そんなふうに覚えています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/00/66879b5a6727c8578ca3d0da167c2b6f.jpg)
実質、螢のメジャー唯一のアルバムとなる「わにがらヘビ」
片目が違う仕様。
下は、関係者のみに配られた貴重な!?
プロモーション専用ディスク。非売品。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/67/b1436c11a279abd09d364c66cf09f5da.jpg)
このブログは2012年の7月14日から記し始めました。
最初はこのブログのタイトルの由来の話であって、
少女詩人「螢」にまつわるお話。
今回の記事は、それ以来、
9年を超えて10年目へと向かうものとなります。
よくもまぁ、続いているものだ、と。
思えば遠くにきたもんだ、と。
なぜか、とても他人事の様な気持ちなのですが、
スタートの時から見てくれている皆さんとの約束ですので。
1年毎のマイルストーン記事として、
今回も螢と過ごした時間の四方山話をそっと置かせてもらいました。
この後、10年!?続けられるかどうかはわかりませんし、
世知辛い世に出て働いている以上、立場上!?
書けることと書けないこととが半々ぐらいであったりもしますが。
これからも、ぬるく、軽く。
ぽよぽよとイイカゲンに頑張ってみます。
いつもクダラナイ記事を見続けてくれている皆さん、
本当にありがとうございます。
心から感謝しております。(^^)
☆「初めに、タイトルの話」カテゴリー記事リンク☆
「雲と螢」
「雲と螢 2」
「雲と螢 3」
「おちあがるように」
「平原の丘」
「少女の手」
「Klimt,Schiele,Hotaru」
「厳しいトコロだった」
「無駄な人数」
「みんな...」
「マイルストーン」
「ギザギザ」
7×12ヶ月×9年=756
この760近い記事を読破できていませんすみません😨。
一つ一つの内容がどれをとってもmost内容の極めの内容。
アレッボの石鹸から建築やら神様やらコーヒーやら、事には食べ物に関しては、他者には物を言わせない情報網羅。
この人何者なんだ?とブログ読みはじめに感じた印象です。
この時の印象って、そのまま今の大谷選手への印象なんですよね😊
とにかくおかげさまで私の日常生活もuzmetさんに感化されて、アレッポを始め様々な点や考え方もuzmetさんなら、どう考えて行動するか?と私の仕事内での1つの行動指針にもなっています。
出逢えて感謝しています。
9年間、嵐が来ようが、富士山にはご先祖様背負っての登頂。あちこちに行っては霊障やら神障やら
神様からのプレゼントによるレベルアップでの身体の痛み。
ブログから涙が出そうになる事も多々ありました。
本当に9年間お疲れ様でした。
そして、これからも無理をせず、ご自愛しながら、たまにはmoreもあります。
これからも心から応援してます。
頑張って下さい。
長文になってしまい申し訳ありませんでした。
これからも「気軽に」付き合っていただければと思います。
ありがとうございます。
スセリヒメ様
解放時には止めどもない涙溢れ、
四国巡りの逆うちからのイザナミ様解放にも
泣かせてもらいました。
漫画探してみますね。
いつも感謝してます(^^)
もう10年も経つんですね。
螢ちゃん、楠本まき先生の漫画読まれてたんですね!
イメージ通りともとれるし、意外とも思いました。
バンドマンやそのファンの間ではメジャーな漫画家さんだと思うので、マイナーなご趣味の螢ちゃんでも楠本まき先生は好きなんだなぁって、これまた新鮮な感じがしました。最近個展や記念本も出されたばかりで、タイムリーなネタで、わー!!っとテンション上がりました(^^)
そしてやっぱり、amenouzmetさんの文章が素敵です。
これからも末永く応援しています。
ありがとうございます。
こちらこそ、よろしくお願いします。
また来年も螢に会えるのを楽しみにしています。
続けられるよう頑張ります。(^^)