新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

感染拡大を緩やかにするだけで意味がある!

2009-05-18 23:45:59 | 医療

続けます

 

僕はこの対策変更には反対です。基本的に一気に患者さんがでないだけでも意味があるのです。それが分かっていないのであれば、厚労相失格です。

 

 

週内にも対策切り替え=「季節性と変わらず」-新型インフルエンザ・舛添厚労相

5月18日18時14分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090518-00000128-jij-soci  

 

新型インフルエンザの感染者が急増した18日、舛添要一厚生労働相は同省内で記者会見し、政府の専門家諮問委員会から新型インフルエンザは季節性と大きく変わらないとの報告を受けたとして、週内にも対策を切り替える方針を示した。軽症患者の自宅療養などを検討する。 

 

舛添厚労相は、致死率の高い鳥インフルエンザを前提とした政府の行動計画は実態に合わないとし、「軽めの症状に合わせた形の対応に変えたい」と述べた。 

 

行動計画は現在の「国内発生早期」段階では、軽症者も含めて患者全員の入院を定めているが、今後は軽症者の自宅療養を認める方向。また、感染の疑いのある人が発熱外来だけでなく通常の病院を受診できるようにすることや、感染者と接した人にタミフルを予防投与する原則の見直しも検討する。 

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僕は個人的に新型インフルエンザの怖いところは「免疫が全くない」ことだと思っています。

 

 

はっきり言えば「毒性」は低くても患者数が多くなれば死亡数は増えますし、それだけでなくインフルエンザの患者数が一斉に増えれば他の患者さんが診れなくなります

 

何が言いたいかって、それだけの余力が日本の医療にはないと思います。

 

医師も看護師も足りない中、インフルエンザの患者が大発生したら「他の疾患」の患者さんを見れなくなっていきます

 

また、僕が血液内科という分野の医者だからさらに気になるわけですが、血液疾患、膠原病などで免疫抑制剤やステロイド剤を使用している患者などインフルエンザにかかったら致死的になりかねない人たちに感染率を上げるようなことはしてほしくないとも思っています

 

 

一斉に発生しないだけでも意味があります。

 

対応を「入院」ではなくて「在宅でタミフルを飲んで安静にしている」というのは賛成ですが、患者数が爆発的に増えかねないような対応を取るのは「ただのおバカさん」だと思います。

 

 

僕が間違っているかどうかはわかりませんが、そういう懸念は強くあります。

 

 

ですから、在宅治療を中心とすることには賛成しますが、感染拡大防止を続けることには大きな意味があるということを再認識してほしいものです。

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なかのひと 

そうでなかったら厚労省なんて意味がないと思っています。

 

他にネタにする記事があるか探してみますね。

それでは、また。

P.S

一応、新インフルエンザネタでこんな記事を読みました・・・

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090518-00000652-san-soci

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090518-00000625-san-soci

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090518-00000074-san-soci

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/accident/254923/

 

 

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内科を受診したヘルニアの患者さん:大学病院の入院適応は?

2009-05-18 23:33:30 | 医療

こんばんは

 

昨日は当直でしたが何件か診療依頼がありました。

うち診療後に帰っていただいた患者さんがいます。 この方は大学病院でなければ入院でもよいのですが・・・。少しそういうこともあるのだな・・・という題材として使わせていただきます。

 

 

初老…というと失礼かもしれませんが60代前半の方で、神経内科にかかりつけの患者さんでした。

 

電話を受けたところ「腰から片足にかけて痛みが走って動けない。すぐに診てほしい」とのこと

 

いくつかの質問で「腰椎椎間板ヘルニアでよさそうだ」というところまでは想定できたのですが・・・

 

 

「すいません。今のお話だと入院させてほしいというように聞こえたのですが、入院を前提の受診であればお近くの二次救急の病院で整形外科がある病院に行っていただいた方が良いと思います。こちらで診察するとすれば痛み止めを使ってコントロールすることを主目的にして、一回帰宅してもらうことになります」

 

 

と言いました。

 

 

何故って・・・大学の血液内科の病棟で「鉄欠乏性貧血」でふらふらしているから入院させてほしい…と言われても困りますし、もっと困るのは「腰椎椎間板ヘルニアで腰が痛いから安静のため入院させてほしい」というこの患者さんのような状況。

 

 

治療する手段が専門外の上に、ベッドが一つなくなり・・・他の患者さんが診れなくなる・・。

 

 

大学病院の整形外科は手術を前提に入院している患者さんが多いので、今回のように寝ているだけ…というのはあまりないと思います

 

神経内科のベッドでも血液内科のベッドでも・・内科のベッドで寝ているだけの患者さんが一人いるために、100%以上で回転している病棟がさらにどうしようもなくなるのは避けねばなりません

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なかのひと 

その様な患者さんが一人いるだけで救命できる患者さんが一人減るから。

 

結局来たのですけど。診察してもほぼ間違いなく椎間板ヘルニア。

 

 

痛み止めの点滴と内服(少し発現機序を変えてみました)をして、本人が落ち着いたので帰れるかと思いましたが、動いた拍子にまた激痛が走り大騒ぎになり整形外科の先生に来てもらってブロックをしてもらいました

 

その後、今にも「絞め殺してやる」というような感じで見ている家族二人に向かって

 

「電話でもお話ししたように、今この病院で入院というのは難しいです。ブロック注射をしたことでもう少し状況が落ち着いたら、基本的には帰っていただきます

 

今、内科の病棟に入院してもただ寝ているだけになります。何かの処置をするといっても整形外科の先生に頼むだけになります。

 

そうすると○○さんが以前入院して治療されたように、入院して治療しないといけない人が一人入れなくなります

 

整形外科に関しても基本は手術を前提にしている患者さんの入院ですが、先ほどから言っているように基本は痛み止めで治療をして、それでもだめならブロック、痛みの改善がなかったり麻痺が進むなら手術となります。今すぐに入院する適応があるかと言えば、筋力が落ちているわけではないですからすぐに入院の必要はないと思います。

 

もし、安静にすることを望まれるのであれば、近くの病院で入院していただくのが一番だと思います。ブロック注射が効いているうちに一度帰宅されて、明日(月曜日)の平日にすぐ整形外科を受診するようにしてください」

 

こういう話をして本人・家族の納得を得て、帰っていただきました

 

 

今回の御家族は救急車で受診されましたが、最終的に意味をくみ取ってくださいました。

 

しかし、意外と多くの患者さんがこういう状況を理解していただけなかったりします。意外と救急隊すら意味が分かっていなかったりします

 

ただ、本当にぎりぎりの運営をしているだけでなく、実際に患者さんの入院の適応というものがありますので、今回のような場合とか、例に挙げたような場合は大学病院の受診は考えたほうが良いのではないかと思います。

 

 

ど~でもいいのですけど・・・。先月も当直明けに骨髄採取穿刺をやっていたような気がする。

 

 

続けていきますね(の前に、当直明けなのだから寝ろと言う感じです)

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