新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

(医療の)需要と供給を考える

2009-05-30 23:20:37 | 医療

こんばんは。

 

当直になる前にひとつ記事を・・・・。

 

 

先程本を読みながら何故か医療の需給に関して考えていました。

 

医療の需要は当然増えるばかり、供給は急激には増やせない。当然の見解です。当たり前のこと・・・。

 

 

では需要をどうすれば抑制できるか・・・。そう考えて20分。あれこれとんでもない意見まで考えましたが・・・

 

 

とんでもない意見というのは、年齢で完全にTriageする。ある一定以上の年齢の方は大きな病気になっても積極的な加療適応なしと判断し、救急搬送も病院受診もしない・・・

 

そこまでやれば「需要」は減るでしょうね。医師として言うべきことではありませんし、やりたいとは決して思いませんが・・・。

 

 

しかし、誰にも医療が提供できなくなるというのであれば、まだその方がましか…とも考えたり。

 

他に需要を減らす方法はないか・・・と考えると、過去にも意見が出ていた「軽症」はコンビニなどで購入した薬で対応する…など、軽症患者をきちんとTriageする。

 

病院にかかる前に「Traigeセンター」のようなところでどのような処置を受けるべきか尋ねる。できるだけ基幹病院などに軽症患者がいかないようにする

 

 

結局のところ需要の制限は「Triage」をどのように実施するか…にかかってくるのだなぁとしみじみ考えていました。

 

 

一方で供給を増やす方法はないか…ということも考えました。医療の供給、つまり医療従事者や病院などのことですが、日本に関しては「社会福祉」が未発達な国のため「介護」などの対応が病院に依存していたりします

 

 

3月頃、近くの病院から意識不明の状態で運ばれてきた肺炎のおばあちゃんは、大変元気になられましたが(本も読んでるし。うらやましい)、介護の体制を整えるまでもうしばらく入院になりそうな・・・・。

 

転院先を探すよりは、介護体制を整えるほうが早そうなのでそのまま診ていようと思っていますが、介護施設なんて全く足りていませんし・・・・総合的に「医療・福祉の面でどれだけ供給不足なんだろう、この国は・・・」と思ったりしております。

 

 

供給を増やすためには当然、まずは「人的資源」になりますが、医師はすぐには増えません。6年制の医科大学を卒業し、臨床研修を経て・・・少なくとも8年は・・・今から増やそうとしても増えません。さらに、増やそうとしてもいつも書いておりますが、「教育」ができるような体制ではない

 

まぁ、体制は作り直せばどうにかなると思っていますが、今のままでは不可能でしょう(笑。・・・・・・・・・笑いごとではないのですがw

 

看護師さんも「家庭と職場の両立」(医師も同じです、男女問わず)などの問題や「勤務体制」など様々な問題で辞めていく人は多いですし、実際に看護師不足が最大の原因でうちの病院は稼働病床数を200床削減していますしね。

 

 

これをどう整えていくのか。実際に勤務している看護師さんの数はどのくらいなのか…国は様々な対応をしなくてはならないですね。

 

 

医師の代わりにベテラン看護師に一部医師の仕事を…という話もあります。例えば風邪…などに関して(最近は発熱外来などもありますけど)基本的な処方は「風邪を治す」薬がない以上、対症療法になります。

 

この症状がある人にはこの薬などとある程度は振り分けられるかもしれません。しかし、風邪の中にいつも紛れている重症患者・・・これを見逃すと痛い目に会います。

 

医師であっても見逃さないとは言えないのですけど、このような場合の「責任」をどうするのか。様々な問題はあります。ちなみにこれもTriage的な要素になります。

 

 

医師や看護師が患者さんの搬送や検査検体の運搬のメインになっている場合、これを他の方々が代わりにやったり(医療メッセンジャー)、様々な医療の供給増加の手段はあると思います。

 

 

医療は医師だけでやるわけではないのですから…と言いたいのですが、そういう体制になっていないのですよね。

 

医師と看護師の「役目」の違いはあっても、上下関係はないのですが、どういうわけか「医師主導」の体制なので困ります。 そのあたりも本当は「今の医療」の限界かもしれません。

 

供給をどう増やしていくか。医療業界だけでなく、他の分野の体制改善も必要なのだろうとも思います。

 

 

あと「医療」の考え方でしょうか。 医療を「国の礎の一つ」であると考える僕のような人間は「多くの人が安心して働ける」ように国や企業などがサポートしてもよいのではないかと思っているのですが。

 

今まで僕は「医療」が損なわれると経済にも影響しうると書いてきました。

 

「新型インフルエンザ」で「病気」というものが「経済」に与える打撃が大きくなるということを実感できたのではないかと思います。経済界が「医療」をどのように見ていくのか、それが改善される日が来るのではないか・・・そういう期待もしております。

 

 

医療現場を「今」改善させるために、もう一度需給について考えてみました。

 

需要の要は「如何にTriageするか」であり、イギリスのような家庭医制度を持って「Triage(制限、選択)」するもよし、他のシステムにするも良し。しかし、Triageなくして、現時点での改善は無理でしょう。

 

 

また、供給の要は「役割分担」であり、また役割をふやすことで医療従事者の数ももっと多くの職種、人数にするべきだろうと思います。

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なかのひと 

そして総合的に「医療」を日本人がどう考えていくのか。 それが重要なのだろうと思います。

 

 

さて、明日はまた当直です。体調はかなり悪いのですが、仕方がないですね。代わりがいないんですもの・・・。

 

死なない程度に頑張ります(笑

 

では、また。 

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ど~でもいい話:僕と病棟編成

2009-05-30 20:15:15 | 医療

さて、もう一個続けます。

 

金曜日から看護師さんなどからも

「先生からも言ってください」

と言われている件があります。

 

 

え~と、非常にアホな話ですが、うちの病棟の全個室を含めて14床が工事のために使えなくなる…という話です。

 

因みに「教授」もそれを噂の範囲でしか聞いておらず、正式な連絡・・・はまだ来ていないのに、「来週からそうなる可能性が高い」そうです。

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

ここの大学病院・・・アホやろ

 

 

病床減らすのは看護師数も少ない、医師の数も少ない・・・わかる。まぁ、患者数が減るわけではないから、空いている病棟に入っていくので僕らのような「変更がきかない(しかも外にない)診療科」にとっては医師が疲労していくだけなんですけどね

 

 

しかし、今回は連絡もなく、個室に入っているような患者さんを「どこに出す?」というのか。

 

アホか。 本当のアホだ。患者さんを殺す気か?

 

どうしようもない。

 

患者のためにもならない。

 

工事をするなら工事をするで、もっと早めに言えばどうにかなるかもしれないが・・・もはやどうしようもないのではないだろうか?

 

特に血液の病棟で工事をする場合、「カビさん」の感染が増えるので、非常にクリティカルなことになるのですが

 

…何も考えていないのだろうな

 

・・・・ バカな上層部のために患者さんの不利益にならないことを祈ろう。こういうのも現場を見ていないというのに入るのでしょうね・・・・。

 

 

こういうのにも頭を悩ませていると、本当に疲れてくるんですよね。最近動悸はするし、Squeezing painのような痛みもあるし、何で医療だけでも頭痛くなる状況なのに、こういった予想もしないところで人の神経すり減らしてくれるかな…毎回・毎回。

 

 

と、これは完全な愚痴です。

 

けど、本当にいきなり言われてもどうしようもないぞ…というのが本音です。

 

どうなるのか?本当に工事で病床削減+αが起こるのか?

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なかのひと 

それとも・・・・・・?

 

 

 

 

最近、本が読めなくなりました。僕は本を読むのが好きで本を読んでいる間に精神統一もしているので、この時間がないと非常につらいです

 

ですので、今から読書をしたいと思います。

では、また。

 

 

P.S 明日の当直前にもう一個は記事を書きます

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医療機関の倒産増加を受けて・・・

2009-05-30 19:59:02 | 医療

こんばんは

 

今帰ってきました。

 

昨日から今日にかけては本当に疲労困憊状態でなかなかBlogも書けませんでした。

 

「全身倦怠感というのはこういうものを言うのか」…などと納得してみたり。

 

 

しかし、体がどれだけしんどくても「患者さん」は待ってくれませんし、人口当たり医師数最低の埼玉県で・・しかも血液内科という最も少ない診療科の一つゆえにカバーあんまりないですからね。

 

 

今も体はしんどいのですが、二日間書かないわけにはいきませんし、明日も当直なのでどうなるかはわかりませんし・・・。

 

しかし、この状況は患者さんにやはり不利益になるような気がすると改めて実感。感覚的には・・・いつもの僕の半分の速度で指示を出している気がする。

研修医が少なくなった上に、慣れていないのが二人だからしんどいというのもありますが・・・・。

 

採血とかまで自分でやりに行くことになるとは思わなかった。

 

う~ん、大丈夫かしら・・・。 さて、とりあえずこちらの記事を・・・。

CBです。

 

 

医療機関の倒産、過去最悪と同水準-帝国データ

5月29日13時24分配信 医療介護CBニュース

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090529-00000002-cbn-soci  

 

帝国データバンクの調べによると、病院や診療所、歯科医院など医療機関の昨年度の倒産は、過去最悪を記録した2007年度と同じ40件だった。医師不足に伴う病院勤務医の労働環境の悪化などがクローズアップされる中、昨年4月の診療報酬改定では本体部分の改定率が8年ぶりに引き上げられたが、医療機関を取り巻く環境が依然として厳しいことを示す結果となった。  

 

医療機関の倒産は02年度から増え始め、06年度以降は高水準で推移している。 01年度以降に発生した252件を施設別に見ると、病院60件、診療所115件、歯科医院77件。病院の倒産が06年度の12件をピークに減少に転じたのに対し、診療所では07年度から2年連続で過去最悪の20件を記録した。歯科医院も昨年度は13件と、01年度の4件から3倍以上に増えている。 

 

全国の病院数が年々減少しているのに対し、診療所と歯科医院は増えており、帝国データでは、施設増に伴う競争激化が倒産増加の要因とみている。  

また、01年度以降の倒産形態を施設別に見ると、事業を継続する「民事再生法」が病院で34件(56.7%)と過半数を占めたのに対し、診療所は20件(17.4%)、歯科医院は14件(18.2%)にとどまった。診療所の倒産は95件(82.6%)が「破産」によるもので、歯科医院でも63件(81.8%)と8割を超えた。  

帝国データでは、事業規模が小さい診療所や歯科医院では資金調達が難しいほか、事業価値を見いだすスポンサーが現れにくく、破産を選択せざるを得ないのが現状だと分析している。

 

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まぁ、病院の倒産は・・今の医療情勢を考えると「継続してくれ」という話になるのだというのはわかりますが、個人経営の診療所が「そこが潰れられると困る」という風にはならないのだというのが第一印象です

 

 

ただ、この話を見たときに2つ目に思ったことは・・・「医者をやりたいという人の数が減るのではないかしら?」ということです。

 

 

勤務医の実情はたぶん思っているよりも厳しいというのが実際ですし、僕みたいに「医療が楽しくて仕方がない」という変わり者ですら、最近しんどくなってきましたので。

 

 

そこに開業していく先生方が多くなっているのに、経営などが厳しくなってきているというのであれば・・・

「医師なんてやらない方が、家族のためにも自分のためにもなるし、開業していても人のためにならないのなら医師を辞めて、他の職業に就こう」

とか考えられたりして・・・・。

 

勤務医の数は結局増えずに・・・・。

そんな風に医者自体が減るのではないかという気もします。希望者も減りそうですしね

 

 

医者が減る?

 

本末転倒のような・・・。

 

 

医師という職業がわかりやすい意味で「人のためになる」という、やりがいのある職業である…という他に、魅力的な職業になるようにしなくてはならないのでしょうね。

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なかのひと 

基本的には「人権無視」の勤務体制をどうするか…ということも含めて・・・・。

 

それでは、また。

次の記事を書きます。

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