新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

救急だけでなく、勤務医は疲労の極限に・・・

2009-05-24 22:29:00 | 医療

こんばんは

 

今帰ってきました。

 

帰り際に脳神経外科の友人が

おとといの夜中の2時に呼び出されて、昨日は当直、今から緊急オペ。SAH。昨日も小脳出血・・・。48時間働きっぱなし。さすがに疲れた

と言って、手術室の方へ向かっていました。

 

 

僕らも365日、On call状態で勤務していますが、こういう手術のようなイベントが続くのも辛いですよね。

 

では、今日の記事です

 

 

救急センター調査 救命存続へ 抜本的改善が急務

5月24日2時31分配信 毎日新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090524-00000005-maip-soci  

 

毎日新聞の調査で、全国の救命救急センターの医師たちの過酷な泊まり勤務の実態が明らかになった。搬送患者が増える一方、医師不足や病院の厳しい経営実態を理由にこれまで問題は放置されてきた。現場では過労による判断ミスを懸念する声も目立つ。患者と医師双方の命を守るため、抜本的な改善が求められている。【河内敏康、永山悦子】  

 

◇搬送1年で3倍  

 

総務省消防庁によると、08年の救急搬送の総数は前年比で5%減った一方、センターへの搬送者は約54万人で、前年の3倍以上に増えた。  

日本の救急医療体制は、▽入院の必要がない患者を外来診療する1次医療機関入院が必要な患者に対応する2次医療機関交通事故や脳卒中など命にかかわる患者を治療する3次医療機関(救命救急センター)--の順で対応する仕組みになっている。  

 

救命救急センターは重篤な救急患者の搬送依頼を原則としてすべて受諾することになっている。センター以外の病院が人手不足などを理由に入院が必要な患者の受け入れを断るケースが増えているため、最終的にセンターに搬送が集中しているとみられる。その結果、今年3月には、鳥取大病院でセンターの常勤医全員が過酷な泊まり勤務を理由に辞職するなど、センター自体の存続が危ぶまれるようになっている。  

 

瀬戸際の救急体制を維持する処方せんとして、東京大病院救急部での勤務経験がある中島勧・東大政策ビジョン研究センター准教授(医療政策)は「現在、急患を積極的に受け入れている施設に、限られた人や金を集約させる施策が必要」と提案する。  

◇人材と予算手当を  

厚生労働省は02年、医療機関の夜間勤務が労働基準法に沿うよう全国の労働局に通知したが、改善は進んでいない。深刻な医師不足に加え、「診療報酬の増額などがない限り、人を増やせない」(関東の病院)と、厳しい経営状況が対策を遅らせている側面もある。  

医師の泊まり勤務を巡っては、東京都の総合周産期母子医療センターの指定を受ける愛育病院が、泊まり勤務で労基法を守るには常勤医が足りないなどとして、指定の返上を検討していることが3月下旬に発覚した。結局、外部の医師の応援を受けることで決着したが、人手をやりくりするのは容易ではない。  また、産婦人科医の勤務をめぐり、奈良地裁は4月、県立奈良病院での夜間の勤務を宿直ではなく時間外労働と認定し、割り増し賃金などの支払いを命じる判決を出した。  

 

過労死弁護団全国連絡会議の須田洋平弁護士は「医師の夜間勤務は、労基法の例外措置として、超過労働を宿直という形で許可している。だが実態はほとんど眠れず、急患に追われる。例外というより法の『逸脱』だ」と指摘する。  

 

最高裁の判例では、仮眠中も警報や電話対応が義務付けられているビルの守衛について、宿直ではなく正規の労働時間と認定されたケースがある。須田弁護士は「医療は人命にかかわり、よりストレスが大きい。医師は法律で患者を拒否できないが、医師の倫理観や職業意識だけに頼るのはおかしい。交代勤務などを実現する人材と予算が必要」と語る。  

 

医師の過酷な勤務は、治療の質にも直結する。東京大政策ビジョン研究センターの中島勧准教授は「医師は一般に、日中の通常勤務をしたうえで宿直に入るため、24時間を超える連続勤務になる。医師が人間らしい生活をすることは、患者のメリットでもあるはずだ」と指摘する。

--------------------------------

他にも

 

救急センター調査:実態合わぬ「宿直」 5割違法の恐れ

http://mainichi.jp/select/science/news/20090524k0000m040110000c.html?inb=yt

 

救急医の主な意見 心肺停止など命にかかわる重症患者にとって「最後のとりで」である全国の救命救急センターで、睡眠が十分取れないまま患者に対応する救急医の泊まり勤務を「宿直」として扱う施設が5割を超すことが、毎日新聞の全国調査で分かった。労働基準法が認める「宿直」は、ほとんど労働する必要のない勤務とされ、これらの施設の勤務実態は違法である可能性が高い。  

 

調査は全国の救命救急センター218施設を対象に4~5月に実施し、116施設から回答を得た(回答率53.2%)。  

 

労基法は労働時間を原則週40時間と定め、時間外労働も労使間で協定を結んだ場合、1カ月45時間まで認められる。一方、宿直については「巡回や電話番など軽度な勤務」「十分な睡眠が取れる」などを条件に労働時間とは別枠で、労働基準監督署長の許可で例外的に認められてきた。  

 

調査の結果、救急医の泊まり勤務を宿直扱いとする施設が61%あった。また、時間外労働として扱う施設は19%、残りは交代制などだった。宿直のうち9割(全体の55%)は十分な睡眠が取れていなかった。労基法では、連続して睡眠を取れる時間が確保されておらず、急患に追われる勤務が日常の場合は、宿直として認められないとしている。  

 

1カ月間の泊まりの回数は平均4.23~4.85回で、最大13回の施設があった。労基法を守るには「医師が足りない」と答えた施設は8割を超えた。  

医師の泊まり勤務を巡っては、4月に奈良地裁で県立奈良病院の宿直勤務などが時間外労働にあたるとの判決が言い渡されるなど、劣悪な労働環境の改善が求められている。  

厚生労働省労働基準局監督課は「個々のケースによって判断は異なるが、労基法の趣旨から外れる勤務実態は違法の恐れがあり、好ましくない」と話す。【永山悦子、河内敏康】

-------------------------------

僕もよく新教授から

食事をしろ。休め。正確な判断ができなくなるぞ

と言われたりしますが、実際休むことができないような医療体制です。

 

 

救急センター以外でも・・・俗にいう「きつい診療科」はほとんど休みはないと思います。おそらく5割では済まないのではないかと思っています。

 

労働基準法を守るのはほとんど不可能な状態です。

 

先日も9カ月ぶりに休みを取ったと書きましたが、実際そんな状況です。 患者さんの数(入院、外来合わせて)を考えると土日も使わないとすべて処理しきれません。せめて事務仕事だけでも・・・・と思う時もありますが、そういう仕事も含めれば休んでいる暇はないのです。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと 

血液内科は患者さんに「抗癌剤」という毒を入れて、白血病や悪性リンパ腫という癌を治していきます。抗癌剤を入れることで患者さんは必ず状態が悪くなります

 

当たり前です。毒を入れて毒を制する治療をするのが抗癌剤治療ですから。

 

 

ですから万全の体制で、予測される副作用や予測しなかった副作用に対処していきます

 

その特殊さゆえに「他の診療科」では対処しきれなくて、結局「オンコール」体制になります。それは即ち休みがないということです。

 

いきなり呼ばれるよりも状況を把握していた方が対処しやすいので休みの日であろうと「必ず」病棟に患者さんを見に行きます。データだけでなく、お顔を拝見した方が状況がよりわかりますからお顔も必ず見てまわります

 

それで病状が安定していたらいったん帰りますし、病状に動きのある患者さんがいたら家族に対して説明もします。

 

そうやって毎日勤務しています

 

 

チーム医療ができるくらい医師数がいればよいのかもしれませんが、それほどの医師数はいなかったりします。

 

それが現実です

 

 

それでもできることを探して、一つ一つやっていかなくてはならないと思いますが・・・・。

 

 

それでは、また。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする