新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

医師不足の現状を・・・・

2009-08-13 22:57:42 | Blogを書く理由

こんばんは

 

今日はいつもに比べて早く帰ってきました。血液カンファが早く終わったので・・・・。

 

 

今日も…予定外に忙しい一日でした。

今日はお盆ということもあり、外来の患者さんも予約は少なくなっていました。一応22,3名は予約ありですけど・・・。

 

 

ところが・・結局、紹介状や報告書などなどを9通書くことになり(新患、急患多数)忙しい一日で終わりました。

 

その中で思わず「おいっ」と思ったのは・・・ 某領域の癌患者さんで血小板が下がってきているので原因検索を・・・と送られてきた患者さん・・・・。

 

普通に考えたら当然DICを疑いますので、血液検査をそちらの項目含めて測ったら・・・・・ こりゃ、出血止まらないだろうな・・・・フィブリノゲン感度以下、FDP140・・・・

 

因みに血清生化学検査の結果が返ってこないので検査部に問い合わせの電話をしたら

そんなこと言われても、血が固まらないんです!

と言われて、謝りました。凝固剤が入っているのに血が固まらないような状況の患者を・・・外来に送られてきてもどうしようもないだろう・・・・。

 

 

これは例外として・・血液疾患の患者さんが多数紹介されてきて非常に疲れました。初診が多いと説明する時間がとられますし、非常に疲れます。

 

看護師さんからは

やっぱり、先生狙われてるよ(笑

などと言われ、スタッフの先生方からも

本当に、良く引くよな~

と言われ・・・・ 結局、食事は18時過ぎになりました

 

そんな生活が続いていますが、とりあえず元気ですw

今日はとりあえず、こちらの記事を紹介します

 

 

茨城の岐路:県政課題の現場から/中 深刻な医師不足 /茨城

8月12日11時1分配信 毎日新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090812-00000039-mailo-l08  

◇広がり続ける格差 

「無医地区」県北に偏在 大子町に住む神長次朗医師(80)は昨年6月、先代から引き継いだ神長医院を閉じた。山に囲まれた白壁の病棟に人影はなく、広い駐車場はがらんとしている。 

過疎と高齢化が進む町で約半世紀、地域医療を支えてきた。月平均1000人を診察し、患者が福島県境を越えて訪れることもあった。70代になっても往診に出向いていたが「体がもたなくなった」。 

県内で指摘される医療水準の南北格差。医師の偏在はその象徴といえる。県の人口10万人あたりの医師数は155・1人で全国で2番目に少ない。県内九つに分かれている医療圏別に見ると、大子町を含む県北の常陸太田・ひたちなか医療圏は94・8人だが、筑波大学のあるつくば医療圏は326・5人で全国平均(217・5人)を大きく上回る。 

 

神長医院に通っていた患者の多くは、神長医師が非常勤で勤める約8キロ離れた町中心部の別の病院に通う。近所の男性(60)は「遠くなって不便になった」と閉院を残念がる。 県によると、半径4キロ以内に医療機関がない「無医地区」に該当する地域は、県北を中心に23カ所。医療機関への足がない高齢者は多く、山間部では「北北」格差も進む。周囲を無医地区に囲まれた常陸大宮市の旧美和村にある国保美和診療所で働く薄井尊信医師(37)は「へき地に該当しない地域にこそ、困っている患者が多い」と言う。薄井医師が勤務する診療所は、自治体合併のあおりを受け、病院専用の市営バスが廃止。午後は往診にあてている。 

 

県は昨年度までに、500人以上が住む無医地区に診療所を整備する目標を立てたが実現することなく、今年度以降は計画すら立ち消えた。県医療対策課は「新たに医療施設を作るより、今ある医療資源を有効活用する方針に変わった。市町村はバスなどの交通手段を整備してほしい」と説明する。 

 

救急医療に目を移すと事態はより深刻だ。一般的に「2次救急医療機関」には総合病院が指定されるが、県北では病床数19以下の診療所が指定されているケースもある。薄井医師は「県北では搬送先が見つからないケースもある」とため息をつく。国や県は医師不足対策として医療機関の集約化を掲げるが、それは同時に医療空白地域の拡大を意味する。 

閉院を決めた神長医師は、後進に病院を譲ることを考えなかった。過疎問題と医師不足は表裏一体だと考えるからだ。「人がいなければ医療は成り立たない。過疎を解決しなければ、医師不足は解決しない」

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この記事で目をとめるのは80歳の医師に支えられてきた茨城県北の医療って・・・と思うのです。

 

80歳が悪いとは言いません。元気であれば、働くこと、人のために尽くすことは素晴らしいと思います

 

しかし、80歳の医師が「体が持たなくなった」と辞めてしまったら、代わりの人間がいない(最後に過疎の問題なども書かれていますが・・・)・・・という現状は如何なものだろうか…と思うのです。

 

医療機関の集約化・・・これは・・・たぶん一時的にでもやらざるを得ないのだろうと思います。今までも書いてきましたが「集約化」しなければ「各個撃破」されて医療崩壊する・・・と思うのです。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

しかし、これで確実に「切られる」患者さんが出てきます。それは国の今までの施策により起きた国民の不利益だと思います。

 

それを行った政治家を選んだのは我々ですから、文句のつけようはありません。現状での最善の策を取らざるを得なくなると思います。

 

その策の一つは「集約化」であることは間違いはないのです。いろいろ問題はあるのだと思いますが・・・。

 

医療空白地域を狭めるには・・交通の便を良くすることが施策としてはいるのはわかりますが、どうしても「時間が勝負」の疾患の場合は・・・救急の場合は厳しくなるのは仕方がないとも言えます。

 

日本でもっとも医師が少ない県…つまり埼玉県なんですが・・・・ここに住む人々は自分がもっとも医師が少ない県に住んでいるという自覚がない人は多いです。

 

自覚がないから改善の努力もないのかもしれませんが、そろそろ厳しい現実に直面するのではないかと思います。血液診療に関してはもういっぱいいっぱいになってきていますしね~。

 

某有名な教授の

埼玉県は医師不足の上、病床もありませんので普通の地域であれば入院で治療するところですが、外来でやらざるを得ません

という一言に尽きるかもしれません

 

 

そういう現状すら知られずに・・・患者さん側からはいろいろ言われるんですよね・・・・と思います。

 

愚痴を言っても仕方がないですねw

 

それでは、また。

明日も頑張ります!

コメント (3)
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