さて、もう一つもっともな話がありましたので紹介します
慢性期病院と救急の連携で「満床」緩和―システム構築に課題も
8月14日13時42分配信 医療介護CBニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090814-00000000-cbn-soci
昨年12月、永生病院(東京都八王子市)など都内の慢性期病院7病院と三次救急病院の都立府中病院(同府中市)の間で、「三次救急と慢性期病院の連携」モデル事業が始まった。救急病院に入院しているものの、既に容体が安定している患者を療養病床で受け入れることで、救急病院の満床状態を緩和し、「救急難民」を減らすことが目的で、今年5月からは病院数をさらに増やし、連携システムの拡大を図っている。しかし、連携の核となる転院の調整をどこが担うかなどで課題も浮かび上がっている。(萩原宏子)
昨年の12月初旬。府中病院の救命救急センターに、70歳代前半の男性が搬送された。男性は誤嚥性肺炎で、脱水と低栄養を起こしていたが、点滴でほぼ回復。急性期医療を要する状態はすぐ脱した。同院のメディカルソーシャルワーカー(MSW)は、療養病床のある永生病院に患者を引き受けてほしいと依頼。患者の状態などを聞いた永生病院側も受け入れ可能と判断し、男性は翌日、永生病院に移った。
連携モデル事業で中心的な役割を果たしてきた永生病院の飯田達能院長は、急性期医療を必要としていないのに救命救急センターのベッドを埋めている患者を慢性期病院で引き受けることで、「三次救急病院の病床を、より治療の必要な患者さんのために使える」と話す。府中病院の齊藤和弥事務局長も、「救命救急センターが満床だというのはよくない。この連携をいいものにしていきたい」と語る。
齊藤事務局長によると、府中病院の救命救急センターでは、年間約1800件の救急搬送を受け入れており、病床利用率は9割以上。常に「ほぼ満床」で、救急患者の受け入れ要請を断らなければならない場面もあるという。しかも、ベッドを埋めている患者の中には、既に急性期を脱した「重症度は低いが介護度は高い」患者も多く、救急病院の機能と患者のミスマッチも生じている。普通、こうした患者は後方の一般病床に移されるが、その一般病床がいっぱいで「救命救急センターにいてもらうしかない」(齊藤事務局長)。さらに、府中病院は公立なので、身元不明の患者や意思決定にかかわる“キーパーソン”がいない患者など、社会的に難しい背景を抱えた患者も多く、満床問題はより深刻になっているという。
昨年10月には、脳内出血を起こした妊婦が都内8病院に受け入れを断られた後、都立墨東病院で死亡する問題も発生。これまでも満床状態の緩和に向けた取り組みは進めていたが、やはり危機感が募っていたという。そこに、この連携の話が来た。
■「満床の緩和につながるなら」
三次救急病院と慢性期病院の連携の構想は、そもそも日本慢性期医療協会(武久洋三会長)が打ち出したものだ。連携に参加する病院や地域を将来的に拡大していくことを視野に、まず東京と大阪でモデル事業を始めることになった。飯田院長自身、同協会の「急性期連携委員会」の副委員長として、検討を進めてきた。
東京でのモデル事業では当初、永生病院を含む慢性期病院7病院が参加を表明(今年1月、1病院が新たに参加)。これらの病院の立地なども考慮し、府中病院と連携を進めることになった。昨年秋には、飯田院長が府中病院を訪問。療養病床で状態の安定した患者を引き受けることで、救急難民の問題の解決を目指す連携モデル事業の構想を伝えた。
その場にいた齊藤事務局長は、「満床の緩和につながるのなら、これはいいこと。この中で何か課題の洗い出しができるのなら、やってみる価値がある」と考えた。 こうして5か月間の予定でモデル事業がスタート。4月末までに、モデル事業の枠組みで19人の患者が府中病院から各慢性期病院に移った。日本慢性期医療協会では5月以降、この連携を正式に広げていく方向性を示し、東京では「東京都療養型病院研究会」を中心に、慢性期病院約40病院、三次救急病院3病院の体制で進めることになった。
■「病床を空ける余裕ない」「一次、二次からの患者も」
ただ、連携には課題もある。飯田院長は、「慢性期病院では、転院患者のために病床を空けておく余裕がない」のが実情だと語る。療養病床を満床にしておかないと、経営が苦しくなることが背景にあるという。また、事前の面談をせずに患者を受け入れることは時にリスクを伴うため、慢性期病院側が積極的に患者を受け入れる流れをつくるには「インセンティブが必要」と訴える。実際、日本慢性期医療協会が今年7月、厚生労働省に提出した要望書では、来年度の診療報酬改定で、急性期病院の患者を新規に受け入れた場合の「急性期受託加算」を認めるよう求めている。
一方、齊藤事務局長も、5か月間で19人という実績を多いと見るか、少ないと見るかは「微妙なところ」と指摘。実際、連携に参加している8病院へのアクセスや入院費用の問題で、紹介につながらなかったケースが多く、特に身元不明の患者や無保険の患者の転院は難しかった。また府中病院のMSWの濱中知恵子さんは、今回のモデル事業で対象になったのは救命救急センターに搬送された患者だけだったが、同院の患者の中には一次救急や二次救急で搬送された患者も一部おり、「こうした患者がベッドにいるために、救命救急センターの患者さんを病棟に移せないという実態がある」と指摘。こうした患者を慢性期病院側で受け入れてもらえれば助かると話す。このほか、中心静脈栄養の管理が必要な患者や気管切開をしている患者を受け入れられない病院もあるなど、患者が必要とする医療とのミスマッチもあったという。
■転院の調整、誰が担う?
転院の調整を誰が担うのかというのも大きな問題だ。飯田院長は、MSWの活躍に期待を寄せている。飯田院長は、「円滑な受け入れのためには、病院や患者の情報を、お互いきちんと把握しておくことが必要」と指摘。特に受け入れ側の慢性期病院では、患者の容体や必要な医療の内容はもちろん、キーパーソンの存在や経済状況など、社会的背景も把握することがどうしても重要になるという。「本来なら、転院の前に家族が病院を確認するのが普通だが、この連携ではそうしたプロセスを省く。『こんなはずじゃなかった』という事態になると、患者にも病院側にもよくない」(飯田院長)。そうならないためにも、患者の社会的な状況を含む情報を詳しく把握しているMSWが間に入り、慢性期病院側のMSWと三次救急病院側のMSWで緊密に情報を交換し合う体制ができればと考えているという。
これに対し齊藤事務局長は、「(慢性期病院側で)転院の調整を担う“コーディネーター”を立ててもらえると助かる」と話す。実際、大阪のモデル事業では、慢性期病院側がコーディネーターを用意して転院の調整をしていたこともあり、「大阪方式」に期待している。東京では当初、連携に参加する三次救急病院は府中病院だけだったので、4月末までは濱中さんをはじめとする同院のMSWが患者のニーズに応じて患者を各慢性期病院に紹介していたが、「MSWは福祉的な立場から、患者さんの経済状況や家族の状況を考慮し、患者さんと相談しつつ、どんな病院に行ってもらうのが一番いいか吟味して手続きを進めていく。『満床だからほかの病院に転院してもらおう』というのとは違う」と齊藤事務局長。濱中さんも、「本来、転院相談がMSWの役割かというと、それは難しいところ」。MSWはあくまで「ソーシャルワーク」が仕事で、転院はその中で導き出される選択肢の一つだという。
齊藤事務局長は、「この連携の話はありがたいこと。救急の満床状態の解消は本当に実現したいと思っているし、この連携がそれにつながればいいと思う」と語る。ただ、「もっと条件を詰めていかないといけない。一朝一夕にできるようなシステムではない」とも指摘している。
--------------------------------
ここに書かれているのは実際に重要なことで、僕らのような関連病院を持たない大学病院にとっては死活問題に近いです。
実際に急性期を脱したり、大学病院で「治癒」を目指すための医療をしていくための患者さんのためにベッドを使いたい・・・・
これは正直本音です。
今日こんな患者さんがいました。 ある病気で治療を行って、これ以上は難しいということで転院・在宅という話が上がっている患者さんですが・・・・
「老老介護があるので・・・不安である」
と言ってさめざめと泣かれるのである。
それに同情・・・というか、共感はするのであるが・・・僕らはだからと言って元気で治療をしているわけではない患者さんをずっと診ていては、若年の白血病だとか・・・そういう患者さんを受け入れられない。
他にも血液疾患としてはやることはないのに、受け入れ先が血液疾患であるというだけで見つからず・・・・
・・・まぁ、この方もシビアはシビアなのですが・・・・
積極治療ができる状態ではなく、支持療法だけであれば他の病院でもできるのです。 逆に骨髄移植だとか急性白血病の抗癌剤治療(治療によって死ぬかもしれないようなもの)はここでしかできない。
・・・いろいろ問題はあります。
高齢者社会を迎えた日本。そこで介護も力を入れずに、慢性期病床にも力を入れない・・・・それによて大きなしわ寄せが急性期病棟にきていることも知っていただければと思っています
http://blog.with2.net/link.php?602868
人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします
それでは、また。