新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

ど~でもいい話:僕と集蛾灯・・・医療の楽しさについて思うこと

2009-08-24 23:26:17 | ど~でもいい話

こんばんは

 

今日もバタバタやっておりました。

 

自分の直接担当の患者さんは良いのです・・・・。

主治医不在の患者さんを任されるのは良いのですが、いろいろ困ったところもあります。実際僕だったらこうやってしまいたい・・・と思う状況があっても、微妙な状況になることがあります。今日・・ある患者さんで使いたい薬が・・・・ここで使いたい薬が保険外・・・になってしまうのです。

 

患者さんのことだけ考えればベストの選択肢は・・・こいつを使うことではないか…と思うのですが、保険で認められていない薬を使うのには抵抗が・・・・。 有用な薬でも保険で認可されていないと使いにくい

 

それが自分の担当の患者さんであれば、必要ならきちんと理由を書いて・・・と思うのですが、自分の担当でない場合にどうしたものか・・・。保険の範囲内で可能な限り粘るしかないだろうな~と思っています。

 

病態もできる限りの検査をやって、理論的にこういう病態になっていると説明がすべてつく上に・・・ここをどうにかすれば良いのではないか・・・という点も分かっているのに(ある病態が二つかぶさって、片方がもう一方を悪くしているが…両方同時にはたたきつぶしにくい)、そこにピンポイントで効く薬はこの場合保険が通らない・・・

 

移植の時にこの薬使っていいように認可してくれないかしら・・・。

 

まぁ、それはさておき・・・。

 

先ほどコメントで「医療を楽しむ」という表現をしました。実際、僕は医療を楽しんでいます。

 

それは患者さん一人一人との人間関係(今日も患者さんに「先生はずっとこの病院にいてほしい」と言っていただきました。嬉しい限りです)、一人一人の患者さんの違いを楽しむわけです。

 

全く同一の状況はない(全く同じ患者さんはいない)のです。

 

そういう状況下でいかに患者さんの利益になり、患者さんに喜んでもらえるか・・・を追求したいと思います。

 

僕は研修医のころから言われていました

「普通では起きないことが起きる」

 

 

整形外科の教授には研修医のころ

普通1年間通年でも起きないようなことが、この1ヶ月ちょっとで起きた

とか、何とか言われたり・・・。

 

僕が研修開始して2日目に「Drug-induced hypersensitivity syndrome」が起きました。脊髄の損傷の関係でステロイドとテグレトール(しびれ・神経性疼痛などに)を使用していたのですが、僕が来てからいきなり原因不明の発熱(40℃)や肝胆道系酵素の上昇があって・・すぐに胆道への移行性を考えてSBT/CPZを開始しましたが熱は下がらず・・・。

 

血液像でPSL内服中なのに好酸球が上昇しており、薬剤性を考え1か月前から開始していたテグレトールを切ったらすべてが収まったという。 後で考えると上記診断基準にばっちり当てはまっていたという・・・。

 

そしてその後は神経移植術の2日後に総胆管結石で手術

人工股関節置換か何かで入院したのに、冠動脈と左心室が交通していてそれどころではなくなったり・・・・。

 

他にもいくつかありますが、そういう「引き寄せる」タイプです。

 

今の教授にも

症例の集蛾灯のような感じで、いつもいつもいろいろなことが起きるよな」

と言われます。

 

 

医療を楽しんでいると同時に、患者さんに対して責任を持っているからこそ「これは変だ」ということに気がついたりするのかもしれません。

 

実際、今のところうちの診療科以外では気がつかれていないことって、いくつかあるみたいですよ・・・・。

 

この患者さんにとって最も有益になることは何だろうか・・・。僕がこの患者さんに対してできることは何か・・・

そう思って診療していたら、いろいろ面白いことが見えてくるんです。 ある患者さんの治療をしているときに、別の患者さんの治療で調べたことがリンクして調べてみたら予想通りの結果だったりしたこともあります(虫の知らせ?)し・・・医療って面白いです。

 

同じ患者さんはいないのですけど、全く状況が違うのに似たことが治療として使えたり、主作用ではなくて・・・まさに副作用なんでしょうけど・・それをうまく使えば治療につながるなんてものはいっぱいありますから・・・。

 

呼吸不全だけど挿管の適応がない人(緩和ケアの状態)に対して、呼吸回数を抑えてしっかり呼吸してもらうためにモルヒネを使用する。本人の自覚症状は改善するし、容量の調整さえきちんとできれば、十分な呼吸ができるようになることで「酸素化」も改善しますから。

それと同じような状況の患者さんにうまくモルヒネを使う。いろいろ役に立ちました。

 

 

一つ一つのことを・・・いろいろ考えると、いろいろな手が出てきますよね。

 

もともと・・これも・・・ある患者さんが苦しくないように・・・ってモルヒネを開始したら、十分呼吸ができるようになって酸素化が改善した。そう言うのを見ていたら「なるほど、そういう使う方ができるか」って思い、以後活用しています。そういう発見があるだけでも楽しくて仕方がないです。

 

しかもその新しい発見が患者さんのためになるんですよ。それ以降同じような状況になっていく患者さんの・・・・。

 

 

医療って楽しいですよね。

 

一人一人の患者さんで学んだことが、多くの患者さんに対しての貢献につながりますし、僕自身も知識が増えますし・・・

 

教科書には書いてないいろいろなことができるようになりますよね。

 

こういったことが経験の多い医師の強みなのだろうな~と思い、周りの先生が経験した話に聴き耳を立てています

 

まぁ、どうでもいいのですが・・・医療の楽しさというのは・・・患者さんに対して貢献ができること。そして一人一人の患者さんで必ず状況が異なるので、その患者さんに合わせた治療を行うこと。・・・これはコンピューターでは絶対できません(笑)

 

そういったことが本当に医療の楽しさだと思います。

 

いつまでも学び続けられますし、永遠にこれで完璧はなくて・・必ず足りないところしか出なくなります 何故なら医療が発展し続けていて、どんな天才でも一人では学びきれるものではなくなってきているから

時間が均等に与えられている以上、それは仕方がないことです

 

 

そういう楽しさを命をかけて楽しみ尽くす・・・。そして可能な限り人間としての人生の楽しみも探究していくことですかね。後者が難しくなっているのが今の医療現場だとは思いますが・・・。人間としての生活維持が難しい(笑

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと

話が長くなりましたが、医療の楽しさはそう言うところにあると思っています

 

では、また。

コメント (3)
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