こんばんは
今日はたった一つのことが非常に医療に対するやる気をそいでくれたので、もうそれ以上やる気も起きずに帰ってきました。
このBlogでも今年の1月末に記事にしておりますが、多発性骨髄腫の患者さんで初発時に予後としては平均で3~4年という状況の人で・・・6年目くらいにMPもMCPも効かなくなって来ていた(僕が担当した時点で進行)ので、Vel+DEXを導入しました。
有害事象としてのしびれが強く出たため、患者の希望でHigh Dexのみで抑えられるか1ヶ月トライしたところ、High Dexでも抑えられず爆発的に腫瘍マーカーが上昇しました。
そこでサリドマイドを個人輸入してHigh DEXにかぶせましたが血小板減少などが起きたためサリドマイドをいったん中止としました(12月末)。
サリドマイドで起きたのか、原病の増悪かはわかりませんがサリドマイドでも神経障害が強く出ていたので、当然投与は継続できず・・・・というところです。
で、Dexは継続していましたが、年明けにさらに状況が悪化して血小板が2万台まで押しこまれ、「もはや難しい」と考えました。
その後外来輸血をするために来てもらったら、すでに血小板3000/μlに減少。数日だぞ?
で、緊急入院。
この治療開始時に6年間の経過を説明した上で、もはや抗癌剤が効く骨髄腫細胞がいなくなって耐性の腫瘍だけが残っている。今のところ、サリドマイドも効かずベルケイド+デカドロンのみが有効性を発揮している。
家族と相談して本人のしびれがあったとしてもVel+Dexで治療を・・・ということになりました。
しかし、現在の腫瘍量(LDH2000・・・汗)であればベルケイドの投与によって腫瘍崩壊症候群が起きる可能性は高く、それで致死的になるかもしれない。
また、感染症の危険、間質性肺炎の危険など様々なリスクがある。本人の自覚症状・リスクも含めて治療をやる方向で行くのか、それとも最終的に腫瘍死するが、症状の増悪がないようにしてモルヒネなどで緩和ケアを主体としていくか…といったところ、家族は治療を選択され、しかも本人にはできるだけ厳しい話はしないでくれと言っていました。
で、ベルケイド+デカドロンを投与して・・・予測した通り腫瘍崩壊症候群がおきたのですけど・・・・。
言われた通りのことが起きたといって、納得していたはずの家族がカルテ開示を要求してきたのが良くわからないな・・・。
ま、いずれにせよ・・・好きにやってください。全然、やましいところもないですから教授もすぐにOKしてくださいました。
ただ、家族の後ろに弁護士さんか何かがいるのかもしれませんけど・・もう好きにやってほしいですね。 ただ、こういうことが起きただけでやる気もなくなります。
あの頃のBlogを読んでいただければわかりますが、毎日午前様で対応しているんですけどね
こんなことで訴えられるなら、それはそれで構わないですし…もうその時点でこの国の医療なんてそんなもんだと思います。
受診したときに3~4年しか中央生存では生きられないのが、6年間頑張られた。そして病気が進行して亡くなられた。それは悲しいですけど、どうしようもないこと。
多発性骨髄腫はまだ不治の病であり、治すことはできない(現在は)のだから頑張ってよい治療ができるまでいい状態を保っていくことを目標にするしかないと思うし・・・。
それが結果として亡くなられたことでカルテ開示なのであれば、好きにしたらいいと思います。
背後にどんな弁護士の方がついているのかは知りませんが、僕のやっていたことを全面的に否定できるのであれば、それは結果論のみです。
だって、医者(うちの血液内科全員)が結果を見て考えても、どうしようもないと思っているのに・・・ 弁護士さんがどんなに頑張っても「無理やり」以外には何もできないはずなんですけどね。
結果論で物事をついていこうというのであれば、このまま医療崩壊が起きてしまえばいい・・・と思ってしまいますよね。
あ~あ。悲しいな~。自分がそういう目にあうと、納得がいかないと思われる医師の気持ちがよくわかりますね。まったく予想していないところから、「伏兵」が来た感じですね。
一生懸命頑張っても、やはり今の日本の医療は「結果が悪ければ訴訟」なんですかね?
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だったら本当に患者さんが亡くなるような診療科は勤務医なんていなくなるに決まっているじゃないか?
やってられないな~。
イライラして、悔しくて、考えがまとまらないのでこのあたりで失礼します。
明日も忙しくなりそうですが頑張ります。
P.S まぁ、もしかすると「そういう目的」ではないのかもしれませんが、他にどういう目的があるだろうか・・・・とも思うところです。なんか本当に疲れますね。