新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

医局はどうなっていくのか?

2011-01-10 16:46:08 | 医療

さて、追加でもう一つだけ。

 

先程のジャミックジャーナルの記事(梅村さとし参議院議員の)で「民主党とは意見が異なるが医療の改善のための解決策として医局の復活をあげた」との記載があった。

 

記事は異なるが…同じジャミックジャーナルの記事で「医局の弱体化が言われているが、実際には今も医局派遣に頼っている病院は多い」と書かれている。

その中で「若手医師の医局回帰が増えているのではないか」と記載がある。

 

民間病院で初期研修を受けた医師から『研修内容が十分ではない』と聞くことがある。大規模病院は研修医が多く症例件数を積めず、中小病院は指導医の数が足りない。結果、後期研修から大学に戻り、医局派遣でキャリアを積む医師が増えている

とのことだ。

 

医局に関しては過去に

大学病院や地域の病院を改革させる、もしくは改革できるような体制を作らせることが肝要だ

旧体制へ逆戻りか・・・・:僕はそうなると反対だな・・・

臨床研修のあり方に関して

臨床研修改革案?

臨床研修1年へ:前後をどう変えるかが重要でしょう・・・

医学部定員693人増へ:とりあえず、対応可能範囲でしょうか?

医学部定員増:教育予算の十分な確保を!

医師養成数5割増し提言:教育システムの改善は必要不可欠

定員増は負担

医局を超えた横の連携実施!:群馬大、4大学と連携

医師の大幅増員を求める署名活動:増員後の対応は可能だろうか?

若手医師、大半は戻らず:僕たちが中堅になるころに完全崩壊します

医学部定員国管理見直し論:いずれにせよ、医局改革が先だと思う

久坂部羊の医師増員批判:病院勤務医の待遇改善のためにも医師増員は必要だと思いますよ?

医学部定員増加:焼け石に水だが・・・

医学部定員増を要望:医局員の疲弊から医局完全崩壊するぞ?

医師定員増へ:しかし、良いところはKeepすべきかな・・・

医師不足は新臨床研修制度のせい:ただ、魅力のある場所に人が集まっただけです!

「ねじれ」と佐藤先生の講演から:医局改革の必要性

医師教育制度はどうするべきか?

医師増員の意見書:医者を増やすとしてどう増やす?

医療連携:縦と横と心

意見投稿してきました

派遣の前に:大学への政策を改めよ!

新しい医局制度:全医連に対する期待は・・

医学部定員増で教育水準低下:前から言ってましたが可能性は高いです

3私大医学部新設へ:教育的な問題でちょっと反対です

 

などなど、いろいろ書いてきました。

僕は医局を利用しながら、医局という垣根を越えて日本の医療界が横の連携を強めることで改善して行くことを考えています。

日本はもともと「島国」ということもあるのだと思いますが、「うちにうちに」行くことが多い。そう考えています。

 

医局など、そういうものも同じです。

うちにうちに行くように思います。

 

横に連携することがもっとできないものだろうか。そういつも考えています。

 

血が混ざることで、もっと良いものを作っていくことができる。そう思っています。

 

しかし、日本人は古来より排他的です。鎖国という問題もありましたし、島国ということで国境が陸続きでないですからね。

今も移民の受け入れですとか、有能な人材の受け入れなどを渋っているところはあります

 

僕は日本の文化や日本語に対応できるような人や、有能な人材の交流でより日本にとっても相手国にとっても良い状況が作れると思っています。

 

その横の連携を恐れる人種。そういうイメージがあります。

これは個人の考えでしかないですし、根拠はないようなものです。

 

有能な人材があることを知ったことで、一気に何かが解決する可能性もあります。知識はより多くの人が共有し、それを発展させていくことで多くの人の幸せにつながるものである。そう思っています。

 

父からは幸福論からだったと思いますが、良く「惜福」「分福」「植福」と言われました。

知識は福のようなもの。知識を隠しあっても別に何もないと思います。

 

僕に言わせれば知識なんて「隠し合う」から余計に誰が最初かとかいう話になるんだ。全員が共有して「誰がこれは言い始めて、それを誰が発展させたか」ということが自明であれば、隠す意味すらなくなる

 

みんなで共有しあって、より多くの人が幸せになるように日本の医療従事者みんなが協力し合えるようにすればよい

 

そう心の底から思っているのですけど、そんなこと言うのは僕だけですかね?

 

僕は医局を横の連携を強化し、より良いものに発展・強化させたいといつも思っています。

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なかのひと 

それでは、また。

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女子医大謝罪:お疲れ様でした

2011-01-10 16:31:26 | Blogを書く理由

東京女子医大が謝罪したということで、ついに最後まで非を認めなかったところも認め、佐藤先生や患者さんの「他(自己以外)」との戦いが終結したということで、本当にお疲れ様でした。

ただ、もちろんこのような事態が起きたことは変わりありませんし、一度つけられた傷が治るわけではなく、最後まで自己の中では戦いが続くのだと思います。

そういう意味では・・・ひとまずなのだと思いますが・・・。

 

 東京女子医科大学病院(東京都新宿区)で2001年、心臓手術を受けた小6女児が死亡した医療事故をめぐり、機器の操作ミスが原因だとする調査報告書で名誉を傷つけられたなどとして、刑事事件で無罪となった佐藤一樹医師(47)が大学と元院長に損害賠償を求めた訴訟は6日、東京高裁(園尾隆司裁判長)で和解が成立した。大学側が報告書の誤りを認め、謝罪した。
 原告側代理人によると、高裁が昨年12月、和解案を提示。和解条項には200万円の解決金支払いも盛り込まれた。
 大学の報告書は、佐藤医師が人工心肺装置のポンプの回転数を上げたままだったことが原因と結論付けていた。昨年8月の一審東京地裁判決は「佐藤医師の過失は否定されるべきだ」と指摘する一方、損害賠償請求権の時効(3年間)を理由に請求を棄却した。
 佐藤医師は業務上過失致死罪で逮捕、起訴され、09年に無罪が確定した。和解後には「報告書を基に起訴された。全国の医師には、医療事故の『内部報告書』の危険性を検討してもらいたい」とのコメントを出した。
 東京女子医科大広報室は「今後も安全で高度の医療を提供する大学病院として一層努力する」としている。
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細かいことに関しては、
紫色の顔の友達を助けたい」を参照してください。
ともかく、一応終結・・・ということで、お疲れ様でした。
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梅村さとし氏の話(ジャミックジャーナルより)から

2011-01-10 15:20:11 | 医療

こんにちは

 

14時くらいに帰ってきました。

今日は少しゆっくりできるかな~と思ったりすると、体調を崩すんですな・・・。鼻汁、咽頭痛など風邪症状が出てきました。

 

こんな時は葛根湯

 

葛根湯は症状は改善しないけれども、抵抗力を上げることで「有病期間」を短縮する。だから、風邪の初期に使用しましょう。まぁ、正確には患者さんの証に合わせてと言いたいところですが、葛根湯はほとんど万能じゃないかしら?

 

使っていてそんな気がする。むしろタイミングが重要な気が・・・。

 

ということで、葛根湯を…と思ったら・・・・

 

葛根湯がない!

 

しまった。常備薬がほとんど切れている。

あると言えば、五苓散とかくらいか・・・・。

 

むぅ・・・・。明日、受診手続きをしておこう。とりあえず・・・・安静を・・・。明日までに復活しておかないと・・・前線勤務の血液内科医がいなくなる(笑

 

さて、たまたまジャミックジャーナルを開いて読んでいました。毎月届きますので・・・。

 

で、最初のページの方で「梅村さとし」民主党参議院議員の記事がありました。賛成部分もありますが、反対部分もあります。

 

「医療がサービス産業のように言われてしばらくたち、医師のメンタリティが折れてしまう要因はいたるところに存在します。患者の要求する水準はどんどん高くなり、病院は計益指標を良くすることに必死で、医師の負担が増しています・・・(記事より抜粋)」

これに関しては全くの同感。

 ◇愛媛大大学院医学研究科医療情報学・石原謙教授
 医師不足やドラッグラグ(新薬の承認が欧米より遅れて国内で使えないこと)など、近年の日本の医療を危ぶむ声は多い。だが、愛媛大大学院医学研究科医療情報学の石原謙教授(57)は「日本の医療はレベルが高い」ときっぱり。「日本の医療レベル、医療制度の本当の姿をきちんと見てもらうために、正しい情報を伝えたい」と、医療費や治療成績などのデータを基に調査、発表している
 石原教授によると、経済協力開発機構(OECD)のデータなどでは、日本のがんや糖尿病など多くの疾患の医療レベルは高く、健康達成度は世界トップクラス。一方で、医療に対する満足度は最低ランクだという。「医療や健康は恵まれているのに、不安感、不信感は強く持っている」と指摘する。
 その結果、日本人は医療関連などの民間保険に、他国に比べて圧倒的に多く加入しているという。公的な医療保険や、自己負担が上限を超えると医療費の払い戻しを受けられる「高額療養費制度」でまかなえる場合が多いといい、「日本人は民間保険の負担が大きすぎて、消費活動が抑制されている。医療は、経済や財政の面からも考えないとよくならない」と話す。
 本来は循環器内科医師。10年程前、日本医師会のシンクタンクの研究部長になり、医療の現状調査を始めた。
 「日本医療のレベルの高さを理解してもらいたい。まずは医療関係者から」と、月に数回、全国の病院などで調査結果を講演。今後は市民にも伝えていきたいという。【柳楽未来】

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世界最高水準の医療を提供している国だと思いますし、以前どこかで記事にしましたが地域格差もそれほど大きいわけではない。

ただ、だんだん要求が高くなってきたため「専門医」以外が手を出しにくいというのはあるのではないかと思う。

 

もちろん専門医以外が手を出さないほうがよい領域はあると思います。

血液内科、特に白血病の領域に普通の医師が…たとえ腫瘍内科医であっても、血液内科を専門にする医師以外が手を出すことは難しいかと思います。「臨床腫瘍学会」からも「白血病の領域だけは血液内科医以外が手を出すな」というような話が昔ありましたしね。

 

逆に僕らが心臓カテーテル検査をやることはないと思いますし、吐血した患者さんの緊急対応(Vitalの安定化ではなくて、止血のための内視鏡治療)などは専門家がやるべきだと思っています。

 

ただ、最近は本当に「専門家以外が何かをして、間違っていたら○○・・」というのが多いような印象があります。

 

僕は自分が「~~」と診断しても、念のため患者さんには「僕は○○という診断で良いと考えます。理由は~で、まず間違いないと思いますが、専門家は××科ですので、一度受診されますか?」と尋ねたりします。

 

次に書かれているのは「診療・研究・教育」のバランスを見直すという記事でしたが、少し反論させていただきたい。

記事には

「もともと、一人の医師が診療・教育・研究の全てを経験することで日本の医療の質は高まってきました。~中略~臨床と研究や留学を両立しようとすると生活が成り立たなくなる問題があります。一部の大学では研究に専念する医師に手当を支給していますが、そうした仕組みを作りたい(記事より抜粋)」

という記載があります。

確かに生活の問題はあると思います。研究している大学院生は・・・あくまで「学生」ですからね。

 

ここで書かかれているのは「研究」だけでやっていくことが難しい…ということが書かれているような気がします。一般の大学ではその通りだと思うし、大学院生が大学院生として研究だけができる体制ではないというのはその通りだと思います。

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なかのひと 

反論する場所は、僕はこの前提はともかくとして…今診療科によっては「臨床と研究を両立させる時間がない」という話でしかないです。

先日も書きましたが、この国を代表するT大ですら、研究が徐々に困難になってきているといいます。

そのT大の(基礎系の)教授の先生が

昔の医師は臨床も研究も両立させていたものだ

というようなことをおっしゃっていたと伺いましたが、それは…状況が異なってきているからだと声を大にして言いたい。

 

今、患者さんに説明するのに必要な時間は昔に比べると非常に長時間必要です。

「パターナリズム」ではないので、「患者さんに選択してもらう。…少なくとも理解してもらう」ためにはかなりの時間が必要になります。

自分たちの血液内科を題材にすると、仮にウェスタンブロットをやっていたとします。電気泳動に45分~60分くらいかけたとして…その間に患者さんの説明をして…といっても、患者さんによってはそれ以上の時間がかかる

昔聞いていた「患者さんの対応の合間に実験を進める」というのはかなり難しいと思います。

 

受け持っている患者さんの数が少ない…状態であればどうにかなりますが、もし重症度の高い・救急性の高い診療科で…医療の最前線と研究を両立させるためには、それなりの医療スタッフが必要になります。

 

それゆえに「研究と臨床を両立させるために必要な医師数が増えてきている」ことをあげさせてもらいたい。

 

医療事故問題に関して、現場の実態と乖離した事故調の設立に反対といのは同感です。

「国が医療事故を一元管理し、責任の所在を追求する医療事故調は確実に現場の医師を委縮させます。標準的医療以外を認めない事故調の発想は『吐血の患者が搬送されても、消化器科以外は診るな』といっているようなものです。~(記事より抜粋)」

まぁ、標準的医療・・・というか、吐血している患者に対して輸液もせずに…というのはいかがなものかと思いますが、時に「それを言われたら、結果が悪かったらすべてダメなのか?」というようなものがあります。

患者さんのためにどうすればこの患者さんを救命、延命できるか…を考え、全力を尽くしても結果として悪い目が出た時に・・・その責任を追及されてしまう。それが気になるところです。

 

患者教育に関しても同感で、記事には

「必要以上の専門医志向や、救急病院の利用が医療資源の無駄遣いであることは、今も周知が足りません(記事より抜粋)」

とありますが、その通りでしょう。

本当に夜中の2時に「風邪」「じんましん」で初診という人も過去にはいましたからね。

 

医療ではないですけど、本日の記事には

 昨年1~11月に全国の警察が受理した110番は、前年同期より23万6958件多い849万1285件で、2年連続で増加したことが9日、警察庁のまとめで分かった。緊急性のない苦情や道案内の問い合わせなどが全体の4分の1超を占めた。同庁は、緊急でない場合は相談専用電話「#9110」の利用を呼び掛けている。
 通報内容では、運転免許証の更新窓口や道案内の問い合わせなどの「各種照会」が12.9%、「妻から家を追い出された」「ハチに刺された」などの「要望苦情相談」が11.6%、いたずら電話などの「虚報・誤報」が2.0%あった。
 最多は交通事故の通報などの「交通関係」で、30.0%を占めた。 

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と書かれています。そういう意味で国民教育の徹底は必要かもしれません。

 

その一方でこの記載に関して気持ちはわかるが、全面的に賛成できないと思うものがあります。

「私は医師は職人であり、人生の半分を患者のためにささげる修行僧のようなものだと思っています。日々、患者のために奔走する中から医療の楽しさややりがいを覚え、社会からも尊敬される。しかし、医療崩壊が社会問題化して医師のQOLが重視されるようになった結果、医師が公的な存在であるという認識が希薄になりました(記事より抜粋)」

確かにQOL重視の考え方の医師も出てきました。それは否定できません。

それはそもそもなぜ医師になったのか…というところから話始めなければならない問題だと思います。

 

僕は幼稚園、小学校のときには「生物学者」を希望し、小学校一年生の時は顕微鏡片手に様々なものを見て回り・・・という生物大好き人間でした。医師になろうと思ったのは、高校2年生になってからで、僕が思うような生物学者への道を追求するのではなく、同様に生命にかかわり自分の好奇心を満たしてくれるだろう医学の道を志すようになりました。

実は生物学の中で「人体」に特化した「医学」を学ぼうと思ったに過ぎないのかもしれません。

 

ただ、一方で「偏差値が高かったから」という方も結構います

偏差値が高かったから医学部に来た人に「自分の人生を他人に捧げろ」といっても無理かもしれないですよね。

 

しかも、医師って他に資格として何かができるわけでもないから、医療にかかわるでしょう。そうするとQOLを考える人も出てくるのではないかと思います。

 

ただ、患者さんに接する以上「(最低でも自分の分野で)標準以上の力を持って、患者さんに有益なことができる」が最低条件だと思っています。

それゆえ、後輩には

「どんな医師になりたい?それを思い描いて、自分が思い描いた医師になれるように研修期間で様々なものを学ぶこと」

と言います。僕はそれを聞いたら、彼や彼女がそういう医師になれるように全力を注ぎます。

 

今の僕と同じレベルになれるわけはないが、昔の僕を超えるレベルには短期間(研修期間)で到達してほしい

 

そう思っています(それが無理な話だと言われそうですが)。

 

 

まぁ、いろいろ思うところがあるわけですが…この問題山積みの医療をどうやって改善させていくかが問題と思っています

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なかのひと 

 

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