新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

医学部新設に反対:反対という意見を否定はしないが、理由は否定したい

2011-01-22 17:40:12 | 医療

こんにちは

 

2時過ぎに一度帰ってきました。

昨日の当直では特に患者さんは搬送されてこなかったのですが、初診の対応をする内科の当直の医師につながらないということで、何故か僕が対応することになり電話を受けました。

近くの開業医さんなんだと思いますが、若年男性で発熱、頭痛で受診されて、インフルエンザ迅速検査が陰性だから、髄膜刺激兆候はないけど…大学病院で診てくれ…という電話。

 

申し訳ないですけど、神経内科のベッド数を確認した後「本当に髄膜炎なら入院ベッドがない状況なので対応不能であり、髄膜炎でないのであれば二次救急などで対応してもらってほしい」旨をお伝えしました。

 

それ以外は何もなく、学会の準備をしておりました。学会準備といっても大きなものではないのですけど、研修医の先生に発表してもらうスライド作りをして、今日打ち合わせをしました。

血液内科にぜひ来てほしいということで、打ち合わせの後昼に寿司を食べに行き、そこで勧誘をしておりました。

 

「○○内科に関して、面白くないとか面白いとかは考え次第だから何も話さないけど、血液内科の楽しさは伝えたい

ということで、語っておりました。

 

そしてそろそろ専門分野を決めるようにとも言いました。

専門分野を決めておくことで、各研修先の研修の仕方が異なってくるからです。逆にそういう研修ができないのであれば、研修はこなしているだけになるでしょう

 

是非、血液内科に来てほしい人材ですね。

 

さて、今日の記事ですがこちらの記事をまず紹介します。

  全国医学部長病院長会議は医学部新設に改めて反対する姿勢を強調した(1月20日、東京都内)
 全国医学部長病院長会議(会長=黒岩義之・横浜市立大医学部長)は1月20日の定例記者会見で、医師不足をめぐる医学部新設の動きに対して、「医学生の質、医療の質が確保できない」と改めて反対する考えを表明した。医師数の不足は、既存医学部の定員増で対応するのが妥当だと強調。その上で、「医師不足を数だけで議論する時代は終わった」とし、地域偏在・診療科偏在の是正や、将来の養成数の調整も含めた検討が行われるべきだと訴えた。

 文部科学省が新たに設置した「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」で委員を務める黒岩会長は、これまでの定員増により、必要医師数の充足に一定のめどが付いたことを評価。一方で、▽このまま推移すれば2030年には、人口当たりの臨床医数がOECD(経済協力開発機構)加盟国平均を超える急激な定員増は医学生の学力低下を招き、日本の高い医療レベルが維持できない―など、今後も養成増を続けることの問題点を指摘し、将来の養成数の調整や、医学教育の質の確保が困難な医学部新設に否定的な姿勢を示した。

 その上で、医師不足の解消については、「偏在の解決がないままでは、単に数を増やしても、国民の求める医師養成とは程遠い」と述べ、臨床研修制度の見直しを含めた幅広い視点で検討する必要性を主張した。
 嘉山孝正相談役(国立がん研究センター理事長)も、現行の臨床研修制度や診療科の自由標榜の課題に言及。医療制度の面からの改善が医師不足の解消には実効性が高いとした。

 一方、「医学部新設を進め、競争による質の向上を目指すべきだ」との考え方があることに対し、森山寛副会長(慈恵医大附属病院長)は、「一人の医師を養成するのに約1億円の税金が掛かるとされる」とし、厳しい財政状況下で過剰な養成は適切ではないと反論した。

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はっきり言えば、僕はがっかりです

たぶん、どの考え方も一理あるのだと思いますが、昔の失敗と同じことをしようとしているように思います。ただ、結局競合先が増えることを警戒しているようにしか見えないのが悲しいです。そうでなくては、このような結論に到達するような馬鹿な人たちではないはずだから。

 

研修医の先生に言うことと同じことを書いて良いのかわかりませんが、僕はよくこう言っています。

「先生、~~なので、▼■してよいですか?」

という質問に対して、

「それをどのように評価して、対応するのか。Aという考え方であれば、Bという対応は間違いではない。しかし、Cという考え方であればDという対応も間違いではない。正解はない以上、どのような評価・どのような考え方でそれを行うかが最も重要なことであり、患者さんや家族に胸を張って説明できるようにしておけばよい」

と、言っています。本当に全ての人に胸を張ってこの考えを伝えることができるのでしょうか?

 

この中で僕は同じ意見を持っているのは「急激な医大生の増員に対して対応できるような教育体制ではない。それゆえ、医師の質は低下する可能性がある」ということです。

しかし、今の状況でも結局・・医大生に対して対応できることが限られてきているため、質は低下すると思いますが

 

その上で「馬鹿か?」と思わず思ってしまうのは、「医師不足を数だけで議論する時代は終わった」という部分です。

地域偏在・診療科偏在の是正や、将来の養成数の調整も含めた検討と書かれていますが、地域の偏在というのは多少はあります。しかし、以前も載せたYahooにあるものですけど、地域格差が大きいわけではないと思います。もし、あえて言うなら交通網整備の方がよいのだろうと思っています。

診療科の偏在というものは「無理やり」では解決しないものだということも分かってもらいたい。診療科の偏在、あえて変えることができるとすればシステムの改善だろう。医療システムの。

これを書くと、僕が総スカンをくらってしまいそうなので(医局制度改革よりも書きにくいアイデアですね)、具体的に考えているものは書きませんが…僕が考えているくらいだから誰かが考えているのではないでしょうか?

まぁ、そう言ったところもあるのでしょうけど…何よりも「馬鹿」みたいな話は・・・不足は不足でしかないということに尽きると思います。

ついでに言うならば「1980年代」に医師数抑制にかじを切ったときも「充足の見込み」としていたはず。僕は未来はより細かい分野に分かれ、医師不足が起きると思っています。

活動範囲が広がる結果、新しい疾患が出てくるとも思っています。そこまで考えるなら、医師数は増やしておく方がよいと思っています。そうすることで…将来、日本がリードするところが出てくるかもしれません。

日本なしでは立ち行かない…という体制を築ければ、どの国とも協力してやっていくこともできるでしょうし、自信もつくのではないでしょうか?

何か難しいことを僕も書き始めましたが、僕が言いたいことは一つだけ。医師数は増やすべきですが、今はそれができるだけの体制が整っていない

それゆえに時間を稼ぎつつ、医局の体制をもう一度整えること。横の連携を強めること。日本の医療界として、今の医療崩壊に当たることができるようにすること。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

なんとなくですけど・・・今の医学部長病院長会議では「そのようなことは期待すべくもない」と、言う気がします。

それでは、また。

コメント
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