素朴なツワブキの花が咲いている。ネリネも咲き出している。碁仇の義弟が2泊3日で伊勢原市から出かけてきた。剪定技術はプロ並みで毎年のようにやって来て、庭木を整えてくれる。今回はチェーンソーを使ってかなりの数の庭木を20㎝ほど切り落とした。切り口の保護のためクリームを塗るのは私の役割だ。
朝日新聞には随時掲載されるテーマごとの「季評」がある。歌人の穂村弘は「言葉季評」、作家の安藤量子は「福島季評」、琉球大准教授の山本章子は「沖縄季評」などである。これらは4カ月に一度だから、練り上げられて読み応えある文章だと思う。今回の沖縄季評の小見出しには「琉球独立万歳」とあって驚く。
この季評で1986年生まれで沖縄出身の女性歌手・ラッパーのAwich(エーウィッチ)の存在を初めて知った。本名の浦崎亜希子を英語に直して、Asia wish childそれを縮めてAwichだ。《彼女が出演するミュージックビデオ「ロンギネス リミックス」が中国で若者を中心に人気を集めている。「ザ・リューキュー ザ・オキナワ098」の「琉球教訓伝承分かる奴らが変えてくネイション」などのラップに合わせて中国語に翻訳された歌詞が表示されると、「琉球独立万歳」といったコメントが次々と流れてくる。この曲にそのような主張は皆無で、示唆する歌詞や映像もないのにだ。
歌詞と無関係に「これが琉球独立だ!」と中国の若者が熱狂する理由は、ビデオにあふれる沖縄の日常的風景が中国人に強い親近感を抱かせるからではないかと、中国に1年間留学した琉球大学の学生は言う。おばあの数え年97歳の長寿祝いで数世代にわたる親戚が集まり、オリオンビールで乾杯してごちそうを食べる映像。南国の木々が揺れ、琉球王国時代の女性の髪形を結ったAwichが琉装で舞う。沖縄の人々が沖縄アイデンティティーを表現することが、中国への帰属意識の発露と読み替えられてしまう現象が中国の中で起きている》