3月から始めて12月までのほぼ1年をかけて12回で富士山麓を歩いてぐるり一周する日帰りバスツアーの第1回目に参加した。私は全12回のツアーに続けて参加するつもりはない。第1回のコースに魅かれただけだ。その第1回のコースは山梨県側の富士吉田市から山中湖までだ。途中に湧水の里の忍野八海を訪ねるのも興味深い。ここから望む富士山は美しいことで名高い。私は忍野八海を前に一度だけ訪れている。
戸外に出て行動することは大切だ。事前に頭の中で考えていたあれこれのことがものの見事に覆されることになった。この日富士山は5合目あたりから上は一日中雲の中だった。もっと空気の乾燥した季節でなければくっきりと富士山を望む機会は極めて少ない。このことにもっと早く気が付くべきであった。雨さえ降らなければ富士山に出会えると安易に考えていた自分が情けなかった。
バスの中で胸板の厚いベテランのウオーキングリーダーから単なる観光気分では困ると注意を受ける。しかし約10キロ約4時間のウオークが主であるツアーにしては参加者はバスがほぼ満席の41人だ。これは明らかに多すぎる。都内では雪など見ることはなかったが、富士吉田市の北口本宮富士浅間神社でバスを降りるとそこは雪景色だった。まさかほぼ全行程を雪道の行軍とは考えていなかった。先頭はスパッツ装備のリーダーが足跡をしるし、最後尾を若い添乗員が付いた。私のスニーカーには水が浸みこんできた。
再びの忍野八海には幻滅した。富士山は裾野しか見せてくれない。そして観光客の混雑ぶりや、よもぎ餅売りなどのうるさい声が清らかな湧水を台なしにしていた。ツアーの参加者はやはり女性が多く、私より年長者が多いとお見受けしたが皆さんの健脚ぶりには驚かされた。これを機会に富士登山のコースを調べてみると主に6つのコースがあるという。そのうち山梨県側には人気の河口湖口・ルート、昔ながらの吉田口・ルート、精進湖口・ルートがある。今回私達が参拝した浅間神社は古くから富士講の人々が安全祈願をして富士山頂を目指したという由緒ある神社だった。(写真は忍野八海にて)