玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*卒業20周年

2011年06月27日 | 捨て猫の独り言

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 「限りある生を享くれども、限りなき力を後にとどむ。限られし地に身を置けど、限られぬ光を長(とは)に放つ。たれかこの力を与えし、力の泉はわれに在り。たれかこの光を与えし、求むればわが心の光、あゝ天は高く、地は厚し、われに心の霊なるあり。三つのもの永く相照らす、うるはしきかな、偉(おほい)なる哉(かな)」これは成蹊学園の創立者中村春二が、精神修養のための記述を願って友人の小林一郎に請うて大正2年にできた「こころの力」である。

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 八章からなる漢文調の美文で心の働きの霊妙偉大なことを歌っている。上に引用したのは最終章の最後の部分である。執筆者は当時法華経その他の仏典の研究に専念していた学究だった。現在は入学と卒業の式典で第一章の朗詠テープが流れ、参列者は目を閉じて聞く。私が全部の章に目を通したのは退職してからのことだ。学園は来年の5月12日に東京国際フォーラムで創立100周年記念式典を行う。そこで今年の5月12日の新聞各紙にその式典を予告する全面広告を出した。広告には創立者が旧制中学校の卒業生に贈った言葉が掲載されていた。

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 この学園では高校を卒業して20年後には学年全体で再会するという慣わしがある。今年は旧担任として私に招待状が届いた。クラス幹事から直接電話をもらうと断れない。都心に出かけるのも久しぶりだ。この折だからと早めに家を出た。同窓会の開始は16時半である。目黒駅の近くには庭園美術館があるのを知りそこに立ち寄ることにした。65歳以上は入場料金半額という。証明するものを持ち合わせてないと申告すると生まれた年を答えることで半額になった。外出の際は免許証か健康保険証を常時携帯すべきである。

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 参加者は卒業生全体の半数ぐらいだろうか。懐かしい顔との再会だが、それぞれあのときとあまり変わらないという印象が強い。ひと足ひと足着実にときを刻んできた結果だろう。しあわせとはごく平凡な暮らしが続くことだ。ここに参加できなかった人もあのときとあまり変わっていないだろう。会場で写真撮影する業者に気付いた。撮影された写真は後日パソコンで見ることもできるし、プリントアウトもできるという。そのためにURLと、IDナンバー、パスワードが印刷されたものが配られていた。掲載期間は2ヶ月という。ひとの心性はあまり変わらないようだが暮らしかたはめざましく変わる。(写真は庭園美術館にて)

コメント (2)
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