もう片付け?
いいえ これからよ
しんにょうは、ぎょうにんべんと足の字を縦につなげた形をしていて、止まってはまた行くという意味をもっているチャクという字だそうです。
つまり、足を使う動作をあらわす漢字の組み立て部品です。
しんにょうの点は常用漢字以外では二つ打ちます。
これがもともとのかたちです。
しんにょうを使っている文字のうち、ふだん使われていない文字だけを探し歩いてみようかと思いたちました。
なぜ今ごろ、そんなことを思いついたかというと、つれづれに誹風柳樽を引っぱり出してみたとき、めくったページに
「X男の方もXX身で□る也」
というばれ句を見つけたのが始まりなのです。
この句で、□には外をしんにょうに乗せた字が書かれていて、それが逃の異体字と知ったからです。
意味の合成から考えると、常用の兆より異体の外のほうが、にげるには向いているように思います。
現代では、右左にバラバラになって逃げるよりも、家の外、住んでいた土地の外、国の外へと、外に向かって逃げることが多く、意味も広がります。
入院という、どっちつかずの例外もありますが。
こうして漢和辞典をあらためて眺めると、しんにょうに乗った、これまで知らなかった字が、ぞろぞろと出てくるので、しばらくはしんにょう畑に侵入して眺めてみようと思っています。
「今考えられる最高の人類とは」
「無強要じゃな。
宗教も改革も強要しない、進化をも強要しない。
そうすれば自分の欲望のこじつけどころがなくなるからの」
「人が集まったとき、話が面白くなっていかないのはなぜだろうと、ときどき思うのですが」
「切り出し方が下手なのか、引き出し方が下手なのか、その両方なのか、それが技ではないから仕方がないのう。
なんとかその場を取り繕おうとする意識が、話の面白みを削り取っていくんじゃろう。
いちばんつまらんのは、選挙演説のように、自分を認めさせようという魂胆がみえみえの話じゃなぁ」
「同じことを、別の人が二度にわたってするのは、ムダなのでしょうね」
「なんでもそうとは言えんぞ。製品や施設の重要な部分は、念には念を入れた検査が必要じゃからのう。
チェックを繰り返すのは、やり直しではなく、別の作業だと思えばよい。
同じ人が繰り返せば、やり直しのように思ってしまうから、そこで見落としが出る。
別の人では二人がかりになるからムダと考えるのは、計算高いだけの浅知恵でしかないなぁ」
「母性本能というものは、女性ならだれにでもあるものでしょうか」
「いいや、あれは才能の一種だという人もいる。
正直であることも、ひとを苦しめないことも、みな才能がさせること。
それができないのは性格や世間が悪いのではなく、頭が悪いのではないか。
負けないことだけに気を取られて、競争に夢中になっていると、人をだます、だれかをやっつける、自分の子をいじめる、そんなことしかできない頭になってしまうんじゃ」
「マグロを食べる人が増えたのか、世界の漁獲量が半世紀の間に
100万トンから500万トンに増えているそうです」
「マグロは1キロ太るのに15キロも食べる大食いじゃから、大変じゃの」
「食べたくても我慢、ですかねぇ」
「いいや、食べたい人に我慢させるのでなく、いなくならないうちに大儲けをしておこうなどという強欲に手加減をすればよいのではないかの」
「オリンピックが終わった後、あの大騒ぎして作った競技場はどうなるのでしょうか」
「心配はいらぬこと、どこかの大きな会社にごく安値で払い下げになる、その会社の傘下に競技場の運営会社ができ、たくさん補助金を抱えた役員さんがお役所からやってきて、上手に運営されるから大丈夫」