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将来、知性によってロボットをさらに進化させることができれば、ほとんどの人間は仕事から解放されるだろう。
今も多くの人間が働いているのは、ロボットより人間が働いたほうがコストは低いからである。単純な仕事であるほどロボットにやらせるほうが生産性は高くミスも起こらないが、その維持には相当なコストを要する。
一方、人間の肉体の維持にはそれほどコストはかからない。さらなる技術進歩でその課題を解決し、いま肉体が提供されている全仕事をロボットに代替できれば、すべての人間を知性のみを提供する存在へと引き上げることができる。
人生を学習と仕事の二つに分けるとすれば、かっては読み・書きさえできればすぐに仕事を始めたが、今後、学習の比率が八割、仕事が二割と大きく逆転するのではないか。
知性に基づく技術を理解できる一部の人は、コンピュータやロボットを活用して効率よく働き、金銭的にも潤う。残りの人は一生をかけて学び続ければよい。それでも社会全体の生産性が落ちることはないのだから。
究極的に、肉体を提供する仕事がいっさいなくなれば、すべての人間が学習だけに専念し、哲学者に変わると筆者は考えている。考え続けることこそ人間ならではの営みだ。
これからも、人間は人間を知るために生きるのである。
-切抜/石黒浩「人間は機械へと進化する」D.H.B.R.May.2017より-
将来、知性によってロボットをさらに進化させることができれば、ほとんどの人間は仕事から解放されるだろう。
今も多くの人間が働いているのは、ロボットより人間が働いたほうがコストは低いからである。単純な仕事であるほどロボットにやらせるほうが生産性は高くミスも起こらないが、その維持には相当なコストを要する。
一方、人間の肉体の維持にはそれほどコストはかからない。さらなる技術進歩でその課題を解決し、いま肉体が提供されている全仕事をロボットに代替できれば、すべての人間を知性のみを提供する存在へと引き上げることができる。
人生を学習と仕事の二つに分けるとすれば、かっては読み・書きさえできればすぐに仕事を始めたが、今後、学習の比率が八割、仕事が二割と大きく逆転するのではないか。
知性に基づく技術を理解できる一部の人は、コンピュータやロボットを活用して効率よく働き、金銭的にも潤う。残りの人は一生をかけて学び続ければよい。それでも社会全体の生産性が落ちることはないのだから。
究極的に、肉体を提供する仕事がいっさいなくなれば、すべての人間が学習だけに専念し、哲学者に変わると筆者は考えている。考え続けることこそ人間ならではの営みだ。
これからも、人間は人間を知るために生きるのである。
-切抜/石黒浩「人間は機械へと進化する」D.H.B.R.May.2017より-