
(画/神中糸子《桃太郎》)
地方の首長は、中央の論理に流されず、自分たちが本当になすべき課題は何なのか、そのための方法は何なのかをゼロベースで真摯に考えなくてはいけないと実感しました。永田町を通した陳情をやめた背景にはこうした考えがあります。
今の日本の地方に必要なのは廃藩置県ならぬ「廃県置藩」だと思っています。かつての独立した地方の経済体を取り戻すということです。そうすれば、中央の論理で地方が左右されるようなことはなくなるのではないでしょうか。
一方で、中央の論理でできた施策は大きなゆがみを生みました。その典型が原発事故の賠償金です。強制避難者に一律月10万円を支払う精神的損害賠償などにより、南相馬だけでもおよそ2兆円という資金が投下されました。市の年間予算の約70倍です。生活の保証のために重要な役割もありましたが、対象者と非対象者の間のあつれきを生み、福島の自主的な再生に向けてのエネルギーをそいだ側面もあります。
また、賠償金を受け取り続けることで、東電を加害者、自身を被害者と捉える考えも強まった気がしています。ボランティアの除染活動に従事する東電社員に対し、「ここがまだ線量が高い」「いいかげんな作業をするな」とまるで召し使いのように指示を出す住民の姿を見たとき、そう感じました。思わず「まず、ちゃんと挨拶をしろ。ご苦労さまですと声をかけろ」と住民をしかりつけました。
どんなに東電に怒りを覚えようとも、そんな接し方をすれば、自分自身がダメになっていってしまう。残念ながら、そのことに気づいていない住民は少なからずいます。原発事故で人としての誇りまでも失ってしまっているのです。
-切抜/桜井勝延「戦う市長」日経ビジネスより
地方の首長は、中央の論理に流されず、自分たちが本当になすべき課題は何なのか、そのための方法は何なのかをゼロベースで真摯に考えなくてはいけないと実感しました。永田町を通した陳情をやめた背景にはこうした考えがあります。
今の日本の地方に必要なのは廃藩置県ならぬ「廃県置藩」だと思っています。かつての独立した地方の経済体を取り戻すということです。そうすれば、中央の論理で地方が左右されるようなことはなくなるのではないでしょうか。
一方で、中央の論理でできた施策は大きなゆがみを生みました。その典型が原発事故の賠償金です。強制避難者に一律月10万円を支払う精神的損害賠償などにより、南相馬だけでもおよそ2兆円という資金が投下されました。市の年間予算の約70倍です。生活の保証のために重要な役割もありましたが、対象者と非対象者の間のあつれきを生み、福島の自主的な再生に向けてのエネルギーをそいだ側面もあります。
また、賠償金を受け取り続けることで、東電を加害者、自身を被害者と捉える考えも強まった気がしています。ボランティアの除染活動に従事する東電社員に対し、「ここがまだ線量が高い」「いいかげんな作業をするな」とまるで召し使いのように指示を出す住民の姿を見たとき、そう感じました。思わず「まず、ちゃんと挨拶をしろ。ご苦労さまですと声をかけろ」と住民をしかりつけました。
どんなに東電に怒りを覚えようとも、そんな接し方をすれば、自分自身がダメになっていってしまう。残念ながら、そのことに気づいていない住民は少なからずいます。原発事故で人としての誇りまでも失ってしまっているのです。
-切抜/桜井勝延「戦う市長」日経ビジネスより
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