(画/英一蝶「衆瞽象を撫ず」)
盲人だけが住む町があった。
その町はずれに象を連れた旅人がやってきた。
やがて象のうわさを聞き、真相を知ろうとして、盲人たちの町から何人かの者が我先にと駆けつけてきた。
彼らは象と言うものを全く知らなかったので、各自が手探りで象の体に触れ、そして誰もが象の真実を知っていると思い込んだ。
彼らが街に帰ると、間違った道を歩んでいる者から真実を学ぼうとする誤った情熱に駆られた大勢の人が集まってきて、口々に象について尋ねはじめた。
耳に触った者はこう答えた。「大きな、ざらざらした、平べったい生き物で、まるで絨毯のようだった」
「いやそうではない」と鼻に触った者が反論した。「管のような体をした、獰猛で危険なやつだ」
足に触った者はこう言った。「丸くて、太くて、がっしりした、柱のような生き物だ」
全員が象の一部にしか触れていなかったので、その理解は不正確であり、すべてを知る者は一人もいなかった。すべての者がなにかを思い描いてはいたが、それは事実に反するものだった。
誤っている可能性がある相手なら、話は半分に聞いておいた方がよろしかろう。
盲人だけが住む町があった。
その町はずれに象を連れた旅人がやってきた。
やがて象のうわさを聞き、真相を知ろうとして、盲人たちの町から何人かの者が我先にと駆けつけてきた。
彼らは象と言うものを全く知らなかったので、各自が手探りで象の体に触れ、そして誰もが象の真実を知っていると思い込んだ。
彼らが街に帰ると、間違った道を歩んでいる者から真実を学ぼうとする誤った情熱に駆られた大勢の人が集まってきて、口々に象について尋ねはじめた。
耳に触った者はこう答えた。「大きな、ざらざらした、平べったい生き物で、まるで絨毯のようだった」
「いやそうではない」と鼻に触った者が反論した。「管のような体をした、獰猛で危険なやつだ」
足に触った者はこう言った。「丸くて、太くて、がっしりした、柱のような生き物だ」
全員が象の一部にしか触れていなかったので、その理解は不正確であり、すべてを知る者は一人もいなかった。すべての者がなにかを思い描いてはいたが、それは事実に反するものだった。
誤っている可能性がある相手なら、話は半分に聞いておいた方がよろしかろう。
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