バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

春休みの入り口

2018-03-12 12:25:04 | バネ
埼玉県公立高校入試、合格発表の日。
9:00発表のはず。
電話が来るのを待つ。15分経つがかかってこない。
まさか。ダメなはずはないという確信はある。それでも入試っていうのは当日のでき如何だから、「まさか」が全くないわけではない。
もしかしたら電話よりも先に直接報告に来るつもりなのかもしれないと思い、駐車場に出て表通りを眺めていると…。
電話が、来た。
「受かりました!」
弾んだ声を聞き、ほっと一安堵。

入試直前の2週間はともに走った。
私立がキープできているとは言え、万が一にも第一志望を残念な結果に終わらせるわけにはいかない。高校入試という、場合によっては人生初の大きなチャレンジで成功体験と達成感を味わってもらわないといけない。
過去問解き直し、穴見つけ、補修補強し、パターン別対処法を徹底し、最後はハウツー指導になってしまったが直前特訓で30点分、いや50点分くらい加点できたかもしれない。

朝は電話報告だったが、夕方学校帰りに母親と報告にバネに訪れた。
バネの時間にはまだだいぶ早い。
玄関のチャイムが鳴る。
来た!

門扉に立つ青年は透明な目をしていた。
あまり感情を表に出さない子だが、体の芯から全身に気持ちがにじみ出ていた。

私はこの日のためにバネやっている。
この顔を見るためにやっていると言っても過言ではない。

全員第一志望合格の声を聞き、ようやく2017年度が終わった。

日曜の午後、フラリとどこかに出かけたくなり北か南か適当に車を走らせ、前方に見えてきた筑波山をゴールに定めた。
調度梅祭りをやっていて、中腹から渋滞し山歩きの人に追い越されながら、民間の駐車場に誘導するおばちゃんの大きなジェスチャーをやり過ごしロープウエイ駐車場に向かった。

8年くらい前だろうか。
先日それぞれの合格祝いで2度にわたり回転寿司でごちそうした3人組が小学生の頃、一緒に筑波山に登った。あの日先頭を歩いていた私は、競争じゃないからみんなで固まって登ろう!と何度も繰り返したが、「お先に!」とかなんか言って猿のように飛び跳ねて行った小学生軍団の背中を不安な気持ちで見送った。春休みのイベントで子ども達と来たから、調度今頃だっただろうか。

ロープウエイで登ると6分で到着。
山歩きには向かない靴で最後の急な岩場を慎重に歩いた。
何年経ってもあの時と同じ岩がそこにあり、同じ景色が広がる。

あいにく雲が多く関東平野を一望することができなかったが、頂上を踏みしめる今この時間を満喫した。
頭の上をヘリが旋回した。女体山から男体山に向かい、頂上をぐるりと回り一本の線を引くように飛び去った。
恐らく向かう先が東京なのだろう。
どこまで目視できるかと目で追ううちヘリは黒い点になり、一瞬目を逸らしたらもう見つけることはできなかった。

帰りもロープウエイで降り、渋滞にはまることなく、日没の頃には野田に戻ってきた。

いつも田圃の遠くに見える筑波山の頂上にさっきまでいた。

3.11をその瞬間を筑波山頂上で過ごしたことに申し訳ないような気持ちになり、数時間遅れで心の中で合掌した。



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