毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「日本の皆さん、テレビ見るのはやめましょう」 2012年12月5日(歌) No.524

2012-12-04 21:12:33 | 日記
日本の皆さん、
もうテレビ見るのはやめましょう。
テレビを見ていると、頭が麻痺して深くものごとを考えられなくなります。
「日本人、総白痴化」を予言した大宅壮一はこの点では的を得まくりです。

今日においては、
政治家までタレント同様、人心を一瞬でキャッチする刺激的かつ印象的な表現に腐心しています。
じっくり、ゆっくり話していては、テレビの前の誰も聞いてくれません。
リモコンでパッとチャンネルを変えられてしまうでしょう。

かつて私は、大平正芳総理大臣(当時)が国会答弁をしているのを見ましたが、
あれは凄かったです。
10秒間「う~~~。」次の10秒間「あ~~~。」そして、とうとう言葉を発したとしても
「わだくじわあ~、え~。」
と、実にゆっくりと時間をかけて、話すので、
私は(国会中継とは見ていると眠くなるもんなんだなあ)と感じたものです。

小泉純一郎総理大臣はそうではありませんでした。
メリハリのある言葉遣いで、一部分を強調・誇張する語り口はある意味で分かり易く、
途中から聞きかじった人でも(おや、面白いこと言う人だな)と思える表現力を持っていました。
巷では、
「小泉さんの言うことは、分かりやすいねん。」
とエライ人気を博し、「小泉劇場」というぴったりのネームまでつきました。

その頃からこっち、政治家は話し方が小泉さんに似てきました。
まるでキャッチコピーのように、耳に心地よく残る話を、
立て板に水のごとく、澱みなく、そして、抑揚もちゃんとつけて言うようになりました。
(政治家がテレビ視聴者に受けるように練習したのだな)と私は勘ぐっています。

中身そのものを考え、考え、丁寧に語る人を、
テレビを見ている人は受け付けるでしょうか。
前原、石原、橋下、石破、竹中・・・。
まあ、みんな、喋るわ、しゃべるわ、大変な勢いです。
まるでスピーチコンテストみたい。
大平さんなんか、今の時代に出てきたらどうなるでしょう。(ノ∀`)
政界一の読書家で理論家であった大平さんですが、
今の政治家のすごい剣幕で声高に喋りまくるムードの中で、
朴訥な彼の口調に耳を傾ける人はそんなに多くないのではないでしょうか。
30秒、否、10秒だって待てないと私は確信します。

さて私は、糸井重里を全面的に大好きなわけでは決してないのですが、
私が気づかないこと、言いたいのにモヤモヤして言葉にならないことを
彼はときに、スパッと言い当ててくれます。
テレビのことも彼はこう言っています。

テレビに出ている人は、みんな元気なんです。
 元気で、引き下がらなくて、大きな声で、
 ドキドキなんかしてなくて、眠そうじゃない。
 それは娯楽番組ばかりではありません。
 ありとあらゆる番組には、
 元気な人たちばかりが写っています。


普通の生活で、そんなに一部を強調したり、デフォルメしたりすると変です。
でも、政治家もテレビタレントと同列になってしまいました。
石原も、橋下も、全く元気で、引き下がらなくて、
ものごとをデフォルメしたり、一部だけを強調しています。
聞きやすいですね。
分かりやすいですね。
表面的には。

でも、政治家は本当はタレントじゃないです。
それなのにどうしてこんなふうになってしまったのでしょう。
国民が、政治家をそうさせたのだと私は思います。
多くの人々は小泉劇場をもてはやし、歯切れの良い彼の言葉の表層しか感受しませんでした。
聴衆のウケだけを狙って、
今の政治家の多くはポピュリズムに走っています。

そこで日本の皆さん、
テレビを消して、
普通の声で話し、ものごとを多面的に見る、謙虚な、昔ながらの思考方法を
復活させましょう。国民が冷静になれば、事態はずっと好転するはずです。
今、日本と日本人はどう見ても変です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする