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日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「二重国籍はズルいの?」No.1751

2016-09-15 00:54:22 | 日本事情

日本では蓮舫さんの国籍が日本と台湾の二重国籍ではないかと言われ、

産経新聞、夕刊フジなどは「深刻な問題が浮上している」と、

いかにも蓮舫さんが法律違反しているような論調で書いているんですね。

国籍についての法律なんか普段丁寧に調べて頭に叩き込んでいる人は、

そんなに多くないと思います。

産経新聞やらがワーワー攻撃的に騒いでいる見出しだけを見ては、

(蓮舫は、トンでもねえ野郎だ)と思うでしょう。

しかし、見出しが派手な割に、文内容を読み進めば、

法律違反をしているとはきっぱり言えていないことに気が付くと思います。

 

蓮舫さんは1967年、日本人のお母さんと台湾人のお父さんの間に生まれ、

生まれも育ちも日本であるにもかかわらず、17歳まで日本国籍を取得できませんでした。

当時の日本も台湾も、

父親の国籍で子どもの国籍を決める父系優先血統主義をとっていたためです。

当然、蓮舫さんはお父さんの国籍である台湾籍だったわけです。

しかし、1985年に日本の国籍法が改正され、

子どもは父母のどちらかの国籍が取得できるという父母両系主義になりました。

その時20歳未満の子たちは特別の届出をすれば日本国籍を取得できるようになり、

蓮舫さんはその届出をして日本国籍を取得したとのことです。

この「届出」というのは、「帰化」のケースが、

「外国人が日本に帰化する際は元の国籍を失わなければならない」

と定められているのと異なり、

その条件がありません。

そこを勘違いして、蓮舫さんは法律違反を犯していると信じてはならないのです。


蓮舫さんの国籍問題を見ていくと、

国による国籍法の違い、時代による法律の変化に加え、

日本が1972年に中華人民共和国を唯一の中国と承認したことも、

合わせて考えなければならないややこしさがあります。

台湾では、国籍を他国に変えたからと言って、

台湾国籍が失われるということはないのですが、

もし、失いたかったら(笑)、20歳以上は国籍喪失許可申請ができるそうです。

しかし、17歳だった蓮舫さんに、台湾国籍を失う申請はできませんでした。

方や、日本では経過措置により「元の国籍を失わなくてもよい」としているので、

もし、蓮舫さんが台湾籍をそのままにしていても、何の問題もないじゃないですか。

さらに、1972年から日本政府は中華人民共和国を正式承認しており、

従って、日本政府は中国の国籍法を公式に尊重しているわけですから、

その中国の国籍法の

「他国の国籍を取得すれば自動的に中国国籍を失う」という規定に従えば、

蓮舫さんはとっくに日本国籍オンリーなのです。

また、日本の法律では「国籍選択の義務」と、その義務に従わない場合、

国は「選択を催告する」とありますが、

実際に国が選択を催告した例は1985年以降、30年間ただの一つもないそうです。

これは、事実上の二重国籍承認ということになるでしょう。

 

国際結婚や国を超えての移動が頻繁になってきた今日の世界にあって、

二重国籍を採用している国は大変多くなってきているそうですが、

そりゃ当然のことですよね。

アメリカに帰化した

ノーベル物理学賞受賞の南部陽一郎さんの残念な例を挙げるまでもなく、

二重国籍を認めていれば国際的に人材が活用されやすくなります。

今、蓮舫さん叩きをしている産経の論調には、日本人純血主義がはっきり出ており、

世界の中の日本という視点が全く欠落しています。

日本維新の会が二重国籍禁止法案を提出することを検討しているという記事をみても、

こういう差別と排外主義の思想をはびこらせては日本は滅びると思う次第です。

 


 

 

コメント (7)
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