↑今年1月末、辺野古の海
沖縄県知事選挙の数日前、
東京都小金井市議会で一つの画期的な陳情採択がありました。
「過重な基地負担を沖縄に押し付けるのではなく、
全国自治体を候補地として代替基地が国内で必要かどうか、
「国民的議論」を行ったうえで必要との結論ならば、
民主主義と憲法に基づき、公正で民主的な手続きを経て決定する」
というものです。
この陳情採択が、玉城デニーさん支援者たちを
どれ程勇気付けたか想像に難くありません。
しかし、この採択は市議会の共産党議員たちの翻意により、
無効になってしまいました。
共産党議員たちの言い訳を何度読んでも私には納得できません。
本当に世の中を変えたいと思っているのなら、
理屈にしがみついて議論も不要とする
その態度をまず変えて欲しいものです。
全ての共産党員ならびに支持者の皆さんがそうだとは思いません。
しかし、この市議団は当然、党中央に相談した結果、
この翻意を決めたのでしょう。
おかしいなあ、
共産党書記長の小池さんは
「共産党は生まれ変わった」と言ったのに。
小金井市の議論は続くとして、
全国でこの陳情を受けて立つ自治体が次々と現れて欲しいものです。
ーー小金井市議会の経緯にからめて沖縄基地問題についての興味深い意見・アンケートを
朝日新聞デジタルがまとめています。長いですが全文引用しました。
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米軍基地集中、沖縄への差別だ 東京発の陳情から考える
河井健、川端俊一 2018年10月14日09時30分 朝日新聞デジタル
過剰に集中した沖縄の米軍基地。「差別では」との問いかけに、ヤマト(本土)はどう向き合うべきなのでしょうか。沖縄の負担を減らすため、ヤマトに基地を引き取ることはできるのでしょうか。朝日新聞デジタルのアンケートに寄せられた声や、東京・小金井市議会での出来事から考えてみたいと思います。
「国民的議論」への陳情
東京・小金井市議会で9月25日、市民から提出された「陳情」が賛成多数で採択されました。
陳情書は、沖縄の普天間飛行場(宜野湾市)の代わりに名護市辺野古で建設される米軍基地の問題について、海兵隊の沖縄駐留を正当化する理由は根拠薄弱とし、8割を超える国民が日米安保を支持しながら沖縄に負担を強いるのは差別では、と指摘。辺野古の工事中止と普天間の運用停止を訴えています。そして、沖縄以外の全自治体を候補地として代替基地が国内に必要か「国民的議論」を行った上で、必要との結論ならば、民主主義と憲法に基づいて一地域への押しつけにならないよう公正で民主的な手続きで決定する――。意見書案が添えられ、衆参両院議長や首相に提出するよう求めたものでした。
陳情を提出したのは沖縄出身の米須清真さん(30)。委員会で陳述したときは拍手が起こったそうです。市議会は定数24。採決では共産会派など13人が賛成、自民会派など6人が反対、公明会派4人は退席しました。米須さんは「良心に従って判断してくれた。道理が通ったと思いました」。「意見書」は改めて可決のうえ、関係先に送られるはずでした。
◇
が、数日後、米須さんは共産の市議から意見書案には賛成できないと言われます。前代未聞の翻意の理由は、代替基地について、「全国のすべての自治体を等しく候補地とすること」などの文言。5日の議会運営委で共産の水上洋志議員は「党の態度は在日米軍基地の全面撤去。国内に米軍をつくり強化することを容認しているとの誤解を与える」などとして「陳情への賛成は間違っていた」と述べ、謝罪。意見書案採決は見送られました。
米須さんは「(意見書は)国内への基地移設が前提ではなく、『本土』の人たちに自分の問題と考えてもらい、国民的議論につなげるためのものです」。12月議会に向け、引き続き議員たちに働きかける考えです。
父の転勤で沖縄各地で暮らし、どこに行っても基地があると感じたのが「原点」といいます。米須さんが属する、ウチナーンチュ(沖縄の人)による市民団体は今年、「沖縄発 新しい提案 辺野古新基地を止める民主主義の実践」という本を出版。基地を沖縄に押しつけるのではなく、公正な手続きで決めることを訴え、全国の議会への陳情を提唱しています。中心的な執筆者の安里長従さん(46)は今回のことに「沖縄に基地を固定化する『構造的差別』が可視化された」。
◇
米須さんは別の市民団体「沖縄の基地を引き取る会・首都圏ネットワーク」のメンバーでもあります。9日夜のミーティングで、陳情のことを報告しました。
会は、基地の引き取りは「本土」の「責任」であると訴えています。共同代表の佐々木史世さん(46)によると、「引き取り運動」に批判的な人は、「保守」よりも安保に反対する「リベラル」が多いそう。
「『基地はどこにもいらない』と言いながら沖縄を放置してきた。一市民の陳情にこうした態度をとるのはどうかと思います」
「本土」各地で「基地引き取り」を訴える団体が次々に旗揚げしています。3年前、全国に先駆けて結成された「沖縄差別を解消するために沖縄の米軍基地を大阪に引き取る行動」の松本亜季さん(35)は、かつて辺野古で座り込みをし、新基地建設を止めようと大阪で訴えました。
でも、多くの人は沖縄を他人事にしか見ていないことに危機感を持ち、この団体をつくりました。小金井市議会で、意見書は見送られたものの、「『国民的議論を』との陳情が県知事選の投票日前に採択されたことは、沖縄にとって意味が大きいと思う」。自らの地元の市議会にも陳情を提出できないか考えています。(河井健、川端俊一)
安保そのものを見直す選択肢も
高橋哲哉・東京大学大学院教授
沖縄にこれ以上、米軍基地を押しつけておくことはできない。安保条約がある限り、ヤマトに引き取るしかない、と考えています。確かにヤマトにも基地は存在する。しかしヤマトと沖縄の歴史的関係を考えれば、その意味は違うのではないでしょうか。
沖縄は近代化の過程で日本に併合され、戦争の犠牲になり、戦後はあずかり知らぬところで成立した日米安保体制に無理やり組み入れられた。それとは違い、ヤマトの基地から生じる諸問題は、安保体制を政治的に選択していることの責任の一部だと思います。
基地が来たら被害が出るかも知れない。地域間に負担の格差がでるのも事実。そうした問題をどう解決するか、も含めて全部の問題を引き取る。問題に向き合う責任は、引き取りを言う者の責任であるだけでなく、安保体制下に生きる者全員の責任であるはずです。沖縄が必死で考えてきた日米地位協定の問題にも、ヤマトは本気にならざるを得ないでしょう。
でも、ヤマトの自治体がどこも引き取りを拒んだら? みながみな米軍基地はいらないとなれば、安保そのものを見直す、という選択肢が出てくる。引き取りますか? 見直しますか? ヤマトの多数派への問いかけでもあるのです。
移すべきだ・正直怖い
問1.沖縄の人々が、過剰に集中した米軍基地をあなたの住む町にも引き取ってほしいと求めたら、あなたはどう答えますか?
- <label for="s_11">明らかに不平等なので、引き取るべきだ</label>226票25.7%
- <label for="s_12">すぐには無理だが、時間をかけて人々を説得し、引き取るよう努力したい</label>117票13.3%
- <label for="s_13">確かに不平等だが、人々の同意を得ることは難しく、引き取れないと思う</label>67票7.6%
- <label for="s_14">沖縄への基地の集中は日米双方の政策なので、引き取る必要はない</label>109票12.4%
- <label for="s_15">基地そのものを減らすべきで、引き取る必要はない</label>272票30.9%
- <label for="s_16">その他90票10.2%</label>
問2.沖縄に駐留する米海兵隊は1950年代、反基地運動が高まった「本土」から移駐しました。沖縄への基地集中は「本土」の人々にも責任があると思いますか?
- <label for="s_21">「本土」の基地に反対しながら、沖縄の負担を考えなかった責任はある</label>479票54.4%
- <label for="s_22">「本土」での基地反対は当然だが、沖縄の基地にも無関心ではあってはならない</label>168票19.1%
- <label for="s_23">当時、沖縄は日本に復帰する前なので、米軍基地が集中したのもやむを得ない</label>133票15.1%
- <label for="s_24">危険を伴う基地のような施設が、中央からなるべく遠い地域に置かれるのは仕方ない</label>18票2.0%
- <label for="s_25">その他</label>83票9.4%
問3.沖縄の基地問題は、今後どうしていくべきだと思いますか?
- <label for="s_31">米軍基地がどれだけ必要なのか論議して、減らせるものは減らしていくべきだ</label>454票51.5%
- <label for="s_32">まず「本土」に基地を引き取って、不平等を解消したうえで議論をするべきだ</label>173票19.6%
- <label for="s_33">すぐには沖縄の基地は減らせないので、被害を防止する対策を講じていくべきだ</label>84票9.5%
- <label for="s_34">防衛上、基地は沖縄に置くべきで、沖縄の人が犠牲になるのはやむを得ない</label>86票9.8%
- <label for="s_35">その他</label>
アンケートに寄せられた声の一部を紹介します。
●「東京から沖縄に移住しました。実際に沖縄に住んでみて、騒音だけでなく米兵による事件・事故の多さに驚いています。東京にいた頃はあまり報道されなかったですから。将来的には全基地撤去が理想です。これ以上沖縄に基地を増やすくらいなら私の東京の実家がある町に基地を造ればいいと思います。日米安保体制を8割の日本人が支持しています。そうであるなら沖縄ばかりに基地を押しつけず全国に分担するのが当然であり正論であり平等であります。最小不幸という屁理屈(へりくつ)は心のない人間の考え方です。基地問題は沖縄の問題ではありません。原発も福島の問題ではありません。日本の問題です。心ある政治家に首相を務めてほしいものです」(沖縄県 40代男性)
●「基地は私が生まれた時からあるもので、違和感を持てない自分がいて強い反対意識はありませんし、その分多額のお金や優遇を得ていることも分かっています。ただ、ネットや新聞、ニュースで、本土と沖縄とでの歴然とした温度差を実感しています。沖縄の中でも世代や地域で温度差はあるし、県民全体を一緒くたにはできないところもありますが、基地問題には色々な葛藤があるという現状を本土の人にも知ってほしいと思っています」(沖縄県 10代女性)
●「沖縄の人たちは、今までずっと負担を本土と米軍から強いられてきた。なのに、今の政府はさらに沖縄に基地の負担を増やそうとしているようにしか見えない。沖縄を軽視していてとても腹が立つ。しかし、じゃあ我が町で基地を受け入れるのかというと、正直とても怖い。いつ落ちるかわからないオスプレイが頭上を飛ぶことなんて考えたくない。こういう人間の性質が、臭いものに蓋(ふた)という考えで、沖縄に全部背負わせるのだと思う。解決策は正直まだわからないけど、国民はこの状況に無関心であってはならないと思う。だって日本は民主主義だから。日本の沖縄に住む人たちの権利を日本国民みんなで考える。取り組む姿勢を決して忘れてはいけないと思う」(京都府 30代女性)
●「自衛隊基地があるまちに住んでいます。日米の防衛協力・一体化が進むなかで、米軍の訓練を引き受けるようなことにならないか不安に感じています。『基地引き取り運動』の理念は尊いと思いますが、基地の実害を受けることが少ない都市部の住民や知識人が主体となった活動であるように思われてなりません。実際に米軍基地がおかれるリスクがある地域の住民の声に十分に耳を傾けることが不可欠と考えます」(岐阜県 30代男性)
●「防衛戦略上沖縄に米軍基地集中するのはやむを得ないと思いつつも、同じ日本にいてこれほどの不平等を黙認することもできない。今日の周辺国の状況を考えるとすぐに沖縄の基地負担を減らすことも難しいと思う。非常に難しい問題だと思う」(三重県 20代男性)
●「沖縄の負担軽減の面だけでなく、軍事的な意味でも、本土に海上輸送拠点(強襲揚陸艦の母港)がある海兵隊は、本土に基地を移すべき。沖縄に海兵隊のヘリ部隊や訓練施設だけを置く意味は皆無に等しい」(東京都 40代男性)
●「沖縄出身で福岡に住んでいます。福岡の同僚や友人たちとも、沖縄にいる同級生たちとも、基地問題についてはなかなか話す機会がありません。変わった人、政治的な人だと言われてしまうから、話しにくいのです。本土に引き取るということをみんなが考えて議論するようになれば、一地域への押し付けがどんなにおかしいことか、他人事でなく自分事として考えることができて、議論が深まるのではないでしょうか」(福岡県 30代女性)
●「問1は「その他」を選びました。基地問題を沖縄だけの問題にしている多くの人々にとっては、『本土に引き取る』という議論が必要だと思います。自分のこととして考えるために。しかし、根本的には基地の必要性自体を国民全体で考えるべきですし、辺野古の海を埋め立てることは論外です。ハワイにハナウマベイという美しい湾があります。立ち入るにはまず自然保護に関するビデオを見て、さらに底の生き物にダメージを与えない履物に履き替えさせられます。沖縄の人が辺野古の海を守りたいという気持ち、ハワイの人なら理解してくれるはず。日本とアメリカ全体で議論を共有していくことが大事であって、政府の『辺野古が唯一の解決策』は論外です」(大分県 50代女性)
●「基地はどこにもいらないとこの国の反基地・反戦運動は言い続けてきたが、『いらない』ということについてはどこも同じではない。長期間、米軍基地が集中し続けてきた沖縄がどこよりも早く無くなるべき場所だ。まず、沖縄に固定してきた基地を動かしてから始めるべきだろう」(大阪府 50代男性)
●「子供の頃、家の近くに米軍基地がありました。治安が悪く心配でした。米軍基地のそばに住んだことがない人でないとそのつらさはわかりません。もっと本土に基地を分散すべきです。そうしないと本土の大部分の人は沖縄の負担がわかりません」(神奈川県 50代男性)
●「沖縄の米軍基地は本土が引き取るべき。もし、引き取りたくないという人が多数なら、米軍に日本から出て行ってもらえばいいだけの話。とても単純なこと」(福岡県 40代その他)
未亡人製造機と言われているオスプレイや戦闘機が頭の上を飛んでは嫌だと、声を挙げましょう。
平和憲法を守るためにも。
そうですね。私も、こきおばさん同様に沖縄にも自分の町にも米軍基地は要らないと思っています。しかし、①日本国民の70~80%が日本における米軍基地の存在を止むを得ないと考えている現状、しかも、②国土の0.6%に過ぎない沖縄に全国の70%以上の基地施設が集中している現状、をどう変えていけるのかが私たちに突きつけられていますね。
①の基地容認派の多くは、基地があることでどのような被害があるか、どんな問題が起こるか自分のこととして真剣に考えていません。つまり、沖縄の苦しみ・辛さが分かっていないのです。
今回の小金井市議会の陳情採択の画期的意義は、そうした無責任な基地容認派に、自分のこととして考えさせるいいきっかけになります。何も「引き取らなければならない」と決まってはいません。国民的議論を通して、基地問題を自分のこととして考えることがまず第一の目標です。その過程で「日米地位協定を終わらせる、または見直す」という選択肢もあるのです。
それなのに、共産党議員団が「基地引き取り容認と勘違いされかねない」という言い訳で採択を覆したのは底納得できず、これまで野党共闘で積極的役割を果たし、辺野古基地建設反対運動にも組織的・継続的に参加してきた共産党だけに落胆の度合いは大きいです。共産党内でもこの方針をきっちり議論して欲しいものです。