1ヶ月以上前のものだが、中日の違いが鮮やかに分かるので
ずっと紹介したかったのが下の記事。
複数の中国人が日本の福祉施設を視察したコメントや
専門家の分析をジャーナリスト姫田小夏さんがまとめている。
抜粋なので、全文は下記ホームページにアクセスしてね。
2012年4月20日 姫田小夏 http://diamond.jp/articles/-/17526
日本が「静」なら中国は「動」・・・日中高齢者事情の違い
「みんな座ったきりだね」――
日本の高齢者介護施設を訪問中の、中国人見学者A氏から、こんな感想が漏れた。
「日本の高齢者は座ったきりで、あまり動き回らないようだ」
という印象を強めたようだ。
介護度の差にもよるだろうが、確かに、一見元気そうな高齢者でも、
テレビの前に座ったままの人が少なくない。
同時に見学者のB氏も
「日本の老人はあまりしゃべらないようだ」
ということに気づく。
お互いに会話を楽しむ、といった光景があまり見られないのはなぜだろう。
施設などで円座を組んで座っていても、
そこからは高齢者同士の横のつながり、コミュニケーションが見えてこない。
一方、中国では、数人寄れば「おしゃべり」に花が咲く。
上海では高齢者が3、4人でひなたぼっこをし、おしゃべりをする風景をよく見るが、
年齢を経てもコミュニケーションを楽しむ能力は衰えていないように見受けられる。
日本の大学院で社会福祉学を専攻する中国人留学生のCさんは、
その違いを次のように指摘する。
「日本の人間関係は、互いに干渉しない、というのが根底にある。
そのためか、中国人に比べてコミュニケーションの密度は高くないように感じる。
中国人は誰とでも気軽に会話を交わす」
また、「高齢者向けの活動プログラムに社交ダンスはないのか」
という素朴な疑問も上がった。
こうした質問が出るのは、中国では社交ダンスが中高年層の楽しみとして、
地域の娯楽になっているという背景がある。
夜ともなると、地域の広場には「踊る中高年」が、どこからともなく沸いて出てくる。
中国にはアクティブシニア向けに「老人大学」と呼ばれるコミュニティがあり、
そこでは社交ダンス、タップダンス、卓球、太極拳などの、体を動かすメニューが多い。
日本が「静」なら中国は「動」、そんな違いが浮き彫りになる。
また、富裕層のアクティブシニアには、
「リゾートマンションを買って、夏は大連、冬は海南島で過ごしたい」
「渡り鳥式に各地、各国の介護サービスセンターを尋ねて過ごしたい」
というニーズが強い。
中国の高齢者は「移動性」が高いという点においても特徴がある。
「薬に頼らない健康づくり」がカギ・・・背景に医療への不信感
高齢者の健康づくりも、日本人と中国人では異なる。
例えば、中国の朝の公園では太極拳を楽しむ高齢者の姿をよく見るが、
これはまさしく自分の健康維持のため。
「自分の脚が動かなくなったら終わりだ」
という恐怖感を常に背負う中国の高齢者は、
朝に夕に広場に出てきては競歩やストレッチ、器具を使った運動などを徹底して繰り返す。
中国の高齢者の心理には、
保険制度の未整備、儲け主義の病院、袖の下を要求する医師、効果のない外資系の薬、
というような、「医療への不信感」がある。
中国の大都市には、富裕層向けの高質な医療を提供する医療機関も存在するが、
一般市民にとっては縁のない場所だ。
「薬に頼らない健康作り」は、高齢者共通のキーワードなのである。
「日本の高齢者はなぜ医療に頼る?」と感じるのは、そこに原因がある。
彼らの目には、「日本人は医療への信仰が相当に強い」と映るのだ。
ちなみに、日本の医師は「日本の高齢者には運動する習慣がない」と指摘している。
確かに、今年喜寿を迎える日本人のDさんのコメントは興味深い。
「運動量を増やせ、というけれどそもそも運動なんてやったことがないんだから、
何をどうしていいのかわからない」。
ところで、「誰も利用していない日本の公園」は、
中国人にとって不思議でたまらない。
「なぜか老人の姿が見えない」からだ。
中国の公園では、朝夕は体力増強に挑み汗を流す老人の姿が、
昼はめいっぱい娯楽を楽しむ高齢者天国が展開する。
カラオケを熱唱する老人とそれを取り囲むギャラリーは、
今や中国の公園の風物詩でもある。
それ以外にも楽器を演奏したり、賭けトランプに興じたりと、
「高齢者文化」が花を咲かせる。
持ち前の明るさ、誰とでもすぐに仲良くなるという人なつこさで、
彼らは、お金を掛けずして人生を楽しむことができる天性の才能の持ち主でもある。
認知症の発症率は・・・中国の方が低い?
「認知症は日本ではそんなに深刻だったのか」という認識を持った中国人もいる。
日本の65歳以上の高齢者における有病率は、調査によって異なるものの、
3.0~8.8%と言われ、日本全体で240万人の患者がいるとも言われている。
中国のある専門家は、「中国では、認知症については統計がないのだが、
肌感覚では確かに日本に比べ発症率が低いのではないかと思う」と話す。
ちなみに男女合わせた平均寿命は、中国は73歳、日本は82歳である。
この専門家は「発症率が少ないと思われるのは、寿命とも関連がある」と付け加えるが、
他方、高齢者に対して「過保護でない社会環境」と「認知症」を関連づける人もいる。
中国は施設も不十分、面倒を見てくれる人的支援もない。
こうした「安心できる老後ではない」という緊張感が自立意識を高めるのだ。
(後略)
http://diamond.jp/articles/-/17526
ずっと紹介したかったのが下の記事。
複数の中国人が日本の福祉施設を視察したコメントや
専門家の分析をジャーナリスト姫田小夏さんがまとめている。
抜粋なので、全文は下記ホームページにアクセスしてね。
2012年4月20日 姫田小夏 http://diamond.jp/articles/-/17526
日本が「静」なら中国は「動」・・・日中高齢者事情の違い
「みんな座ったきりだね」――
日本の高齢者介護施設を訪問中の、中国人見学者A氏から、こんな感想が漏れた。
「日本の高齢者は座ったきりで、あまり動き回らないようだ」
という印象を強めたようだ。
介護度の差にもよるだろうが、確かに、一見元気そうな高齢者でも、
テレビの前に座ったままの人が少なくない。
同時に見学者のB氏も
「日本の老人はあまりしゃべらないようだ」
ということに気づく。
お互いに会話を楽しむ、といった光景があまり見られないのはなぜだろう。
施設などで円座を組んで座っていても、
そこからは高齢者同士の横のつながり、コミュニケーションが見えてこない。
一方、中国では、数人寄れば「おしゃべり」に花が咲く。
上海では高齢者が3、4人でひなたぼっこをし、おしゃべりをする風景をよく見るが、
年齢を経てもコミュニケーションを楽しむ能力は衰えていないように見受けられる。
日本の大学院で社会福祉学を専攻する中国人留学生のCさんは、
その違いを次のように指摘する。
「日本の人間関係は、互いに干渉しない、というのが根底にある。
そのためか、中国人に比べてコミュニケーションの密度は高くないように感じる。
中国人は誰とでも気軽に会話を交わす」
また、「高齢者向けの活動プログラムに社交ダンスはないのか」
という素朴な疑問も上がった。
こうした質問が出るのは、中国では社交ダンスが中高年層の楽しみとして、
地域の娯楽になっているという背景がある。
夜ともなると、地域の広場には「踊る中高年」が、どこからともなく沸いて出てくる。
中国にはアクティブシニア向けに「老人大学」と呼ばれるコミュニティがあり、
そこでは社交ダンス、タップダンス、卓球、太極拳などの、体を動かすメニューが多い。
日本が「静」なら中国は「動」、そんな違いが浮き彫りになる。
また、富裕層のアクティブシニアには、
「リゾートマンションを買って、夏は大連、冬は海南島で過ごしたい」
「渡り鳥式に各地、各国の介護サービスセンターを尋ねて過ごしたい」
というニーズが強い。
中国の高齢者は「移動性」が高いという点においても特徴がある。
「薬に頼らない健康づくり」がカギ・・・背景に医療への不信感
高齢者の健康づくりも、日本人と中国人では異なる。
例えば、中国の朝の公園では太極拳を楽しむ高齢者の姿をよく見るが、
これはまさしく自分の健康維持のため。
「自分の脚が動かなくなったら終わりだ」
という恐怖感を常に背負う中国の高齢者は、
朝に夕に広場に出てきては競歩やストレッチ、器具を使った運動などを徹底して繰り返す。
中国の高齢者の心理には、
保険制度の未整備、儲け主義の病院、袖の下を要求する医師、効果のない外資系の薬、
というような、「医療への不信感」がある。
中国の大都市には、富裕層向けの高質な医療を提供する医療機関も存在するが、
一般市民にとっては縁のない場所だ。
「薬に頼らない健康作り」は、高齢者共通のキーワードなのである。
「日本の高齢者はなぜ医療に頼る?」と感じるのは、そこに原因がある。
彼らの目には、「日本人は医療への信仰が相当に強い」と映るのだ。
ちなみに、日本の医師は「日本の高齢者には運動する習慣がない」と指摘している。
確かに、今年喜寿を迎える日本人のDさんのコメントは興味深い。
「運動量を増やせ、というけれどそもそも運動なんてやったことがないんだから、
何をどうしていいのかわからない」。
ところで、「誰も利用していない日本の公園」は、
中国人にとって不思議でたまらない。
「なぜか老人の姿が見えない」からだ。
中国の公園では、朝夕は体力増強に挑み汗を流す老人の姿が、
昼はめいっぱい娯楽を楽しむ高齢者天国が展開する。
カラオケを熱唱する老人とそれを取り囲むギャラリーは、
今や中国の公園の風物詩でもある。
それ以外にも楽器を演奏したり、賭けトランプに興じたりと、
「高齢者文化」が花を咲かせる。
持ち前の明るさ、誰とでもすぐに仲良くなるという人なつこさで、
彼らは、お金を掛けずして人生を楽しむことができる天性の才能の持ち主でもある。
認知症の発症率は・・・中国の方が低い?
「認知症は日本ではそんなに深刻だったのか」という認識を持った中国人もいる。
日本の65歳以上の高齢者における有病率は、調査によって異なるものの、
3.0~8.8%と言われ、日本全体で240万人の患者がいるとも言われている。
中国のある専門家は、「中国では、認知症については統計がないのだが、
肌感覚では確かに日本に比べ発症率が低いのではないかと思う」と話す。
ちなみに男女合わせた平均寿命は、中国は73歳、日本は82歳である。
この専門家は「発症率が少ないと思われるのは、寿命とも関連がある」と付け加えるが、
他方、高齢者に対して「過保護でない社会環境」と「認知症」を関連づける人もいる。
中国は施設も不十分、面倒を見てくれる人的支援もない。
こうした「安心できる老後ではない」という緊張感が自立意識を高めるのだ。
(後略)
http://diamond.jp/articles/-/17526
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