写真:1948年公開のイタリア映画「自転車泥棒」(Ladri di Biciclette)
夕方、リモートのオンライン会議中に、スマホが鳴りました。どうせセールスだろうと思って出ませんでした。
会議が終わって、履歴を見ると、D(三女の夫、フィリピン人)からでした。LINEでメッセージを送りました。
「どうしたの?」
「さっきは、警察をぼくに止まりました」
(???)
「警察に止められたの?」
「はい、でも大丈夫です。これから帰ります」
帰宅後に事情を聞くと…
勤務先の学校(Dは、ある中学校でALTをしています)から自転車で最寄りの駅に向かっていたときのこと。
パトカーの中から警官がDを呼び止めました。
「お兄さん、ちょっと止まって」
「はい、何ですか」
「それ、お兄さんの自転車?」
「はい、そうですけど」
警官は、自転車の登録番号を調べていました。
「名前は?」
「Dです」
「登録している人と名前が違うね」
警官は、Dが自転車を盗んだんじゃないかと疑っているらしいのです。
「ああ、これ、もらったんです。私の妻のお姉さんの夫から…」
「Dの妻のお姉さんの夫」というのは、つまり私の次女の夫。新しい自転車を買ったので、古いのをくれたのですが、登録し直していなかったのですね。
「在留カード、ある?」
「はい」
「日本で何しているの?」
「中学校の先生です」
「先生?」
「はい、英語の。あ、あそこに歩いている学生たちは、私の生徒です」
「私の妻は日本人で…」
Dは警官の言葉が半分ぐらいしかわからないので、妻に電話をしましたが、勤務中の妻は出ない。それで私に電話をしたけれど、私も出ない…。
「わかった、わかった。もういいよ。カバンはちゃんと背負ったほうがいいよ。盗まれるから」
Dはリュック式のかばんを背負わずに、自転車の前のかごに入れていたのですね。
Dが警官から職質を受けたのはこれで二度目。
最初は、駅前のベンチに座っていただけなのに、在留カードの提示を求められたんだとか。
日本人だったら、ベンチに座っていたり、自転車に乗っているだけで職質されることなんかないでしょう。
また、同じ外国人でも、白人だったら違っていたんじゃないかなあ。
アジア・アフリカ系外国人に対する、一種の差別なんだと思います。