3月16日、大統領として12年ぶりに訪日し、首脳会談を行った尹錫悦(ユン・ソンニョル)は、帰国後の21日、国務会議(閣議)で長広舌を振るいました。
この模様は、閣議としては異例のことですが、全国民に向かって、生中継されました。
訪日に関し、野党からは「謝罪も引き出せず、譲歩ばかりした屈辱外交」、「外交惨事」などと批判されていますが、尹大統領は、
「韓国社会には、排他的民族主義と反日を叫びながら、政治的利益を得ようとする勢力が、厳然として存在します。日本は、すでに数十回にわたって、両国の過去の歴史問題について、反省と謝罪の意を表しました」
と反論。これまでの日韓関係を
「私は昨年5月に大統領に就任して以降、存在そのものが不確かになってしまった韓日関係をどう正常化するかについて悩んできました。まるで出口のない迷路に閉じ込められた思いでした」
と振り返り、文在寅(ムン・ジェイン)前政権について
「前任の政府は、泥沼にはまった韓日関係をそのまま放置しました。その影響で、両国国民と在日同胞が被害を受け、両国の安保と経済は根深い対立に陥ってしまいました」
と批判。さらに、
「私もまた、目の前の政治的利益のために安易な道を選択し、史上最悪の韓日関係を放置する大統領でいることもできました。しかし、昨今の厳しい国際情勢において、行き過ぎた敵対的民族主義と反日感情を刺激し、国内政治に利用しようとするのは、大統領としての責務を捨てることだと思いました」
として、国家のために決断したことを強調しました。そして、
「今、私たちは歴史の新しい転換点に立っています。私は賢明なる韓国民を信じています。韓日関係の正常化は、結局、韓国民に新しいプライドを呼び起こし、韓国の国民と企業に大きな恩恵として返ってくるでしょう」
と述べ、今回の決断に対する国民の理解と支持を訴えました。
「閣議」としての性質上、国内問題に対する行政的な指示も含まれた、長い演説でしたが、重要な内容を含むので、以下に全訳を掲げます(リンク)。
「もし私たちが現在と過去を競争させるならば、必ずや未来を取り逃すことになるだろう」
自由に対する熱望と不屈のリーダーシップで第二次世界大戦を勝利に導いた、英国首相ウィンストン・チャーチルの言葉です。
過去は直視し、記憶しなければなりません。
しかし、過去に足首をつかまれてはなりません。
と振り返り、文在寅(ムン・ジェイン)前政権について
「前任の政府は、泥沼にはまった韓日関係をそのまま放置しました。その影響で、両国国民と在日同胞が被害を受け、両国の安保と経済は根深い対立に陥ってしまいました」
と批判。さらに、
「私もまた、目の前の政治的利益のために安易な道を選択し、史上最悪の韓日関係を放置する大統領でいることもできました。しかし、昨今の厳しい国際情勢において、行き過ぎた敵対的民族主義と反日感情を刺激し、国内政治に利用しようとするのは、大統領としての責務を捨てることだと思いました」
として、国家のために決断したことを強調しました。そして、
「今、私たちは歴史の新しい転換点に立っています。私は賢明なる韓国民を信じています。韓日関係の正常化は、結局、韓国民に新しいプライドを呼び起こし、韓国の国民と企業に大きな恩恵として返ってくるでしょう」
と述べ、今回の決断に対する国民の理解と支持を訴えました。
「閣議」としての性質上、国内問題に対する行政的な指示も含まれた、長い演説でしたが、重要な内容を含むので、以下に全訳を掲げます(リンク)。
「もし私たちが現在と過去を競争させるならば、必ずや未来を取り逃すことになるだろう」
自由に対する熱望と不屈のリーダーシップで第二次世界大戦を勝利に導いた、英国首相ウィンストン・チャーチルの言葉です。
過去は直視し、記憶しなければなりません。
しかし、過去に足首をつかまれてはなりません。
これまで韓日関係は悪化の一途をたどってきました。
両国政府の対話が途絶え、韓日関係は破局の一歩手前で放置されてきました。
2011年12月、最後の日韓首脳会談が開かれた後、2015年の慰安婦合意で日本政府が2016年に資金を出した「和解癒し財団」も、わずか2年で解体されました。
2018年の大法院の強制徴用事件判決は、2019年、日本の半導体素材輸出規制、ホワイトリストからの韓国排除など経済報復につながり、韓国も世界貿易機関(WTO)に日本を提訴し、韓国のホワイトリストから日本を排除するなど、歴史紛争が経済紛争に広がりました。
また、われわれは日本と2016年にGSOMIAを締結しましたが、2019年8月にGSOMIAの終了を発表し、3か月後に再びこれを保留するなど、日韓安全保障協力さえも、迷走しました。
私は昨年5月に大統領に就任して以降、存在そのものが不確かになってしまった韓日関係をどう正常化するかについて悩んできました。
まるで出口のない迷路に閉じ込められた思いでした。
けれども、拱手傍観することはできませんでした。
日々、熾烈化する米中戦略競争、グローバルサプライチェーンの危機、北朝鮮の核脅威の高度化など、韓国を取り巻く複合危機の中で、韓日協力の必要性はさらに大きくなったからです。
韓日両国は、歴史的にも文化的にも最も近しく交流してきた宿命の隣国です。
ドイツとフランスも両次世界大戦を通じて数多くの人命を犠牲にしながら敵として向かい合い、戦後、電撃的に和解して、今ではヨーロッパで最も親密に協力する隣国です。
日韓関係も今や、過去を超えなければなりません。
友達との間で気まずいことがあっても、関係を断つことなく会い続け、コミュニケーションをとって話をすれば、誤解は解け、仲直りできるものです。韓日関係も同じです。
ときには意見の相違が生じても、韓日両国は頻繁に会って、コミュニケーションをとりながら問題を解決し、協力の道を探っていかなければなりません。
韓日関係は、一方が得れば他方が失うというゼロサムゲームではありません。韓日関係はともに努力し、ともに利益を得るウィンウィンの関係になることができますし、またぜひそうしなければなりません。
しかし、前任の政府は、泥沼にはまった韓日関係をそのまま放置しました。
その影響で、両国国民と在日同胞が被害を受け、両国の安保と経済は根深い対立に陥ってしまいました。
私もまた、目の前の政治的利益のために安易な道を選択し、史上最悪の韓日関係を放置する大統領でいることもできました。
しかし、昨今の厳しい国際情勢において、行き過ぎた敵対的民族主義と反日感情を刺激し、国内政治に利用しようとするのは、大統領としての責務を捨てることだと思いました。
今回の訪日について、まず韓日両国の経済界が積極的に歓迎し、これまで萎縮していた両国の経済交流が再開されるだろうという期待感を持ち始めました。
私が今回日本で会った在日同胞たちも、これまで韓日関係の硬直化でもたらされた困難と苦痛を一挙に払いのけるような期待に、同胞社会がお祭り騒ぎの雰囲気だと言ってました。
私は、韓国政府が今、正しい方向に進んでいると確信しています。
両国間の不幸な過去の痛みを乗り越え、日本と新たな方向性を探る努力は、今回が初めてではありません。
1965年、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は、韓日の共同の利益と共同の安全、そして共同の繁栄を模索する新たな時代に入ったとして、韓日国交正常化を推進しました。
当時、屈辱的で売国的な外交という激烈な反対世論が沸騰しましたが、朴大統領は、被害意識と劣等感にとらわれ、日本といえば無条件におじけづくことこそ、まさに屈辱的な姿勢だと指摘しました。
そして、韓日国交正常化がどのような結果として帰結するかは、われわれの姿勢と覚悟にかかっているといって、ついに韓日国交正常化という仕事を完遂しました。
朴大統領の決断のおかげで、サムスン、現代、LG、ポスコといった企業が世界的な競争力を備えた企業に成長することができ、これは韓国経済の目覚ましい発展を可能にする原動力となりました。
その後、浮き沈みを重ねた韓日関係の新たな地平を開いたのは、1998年の金大中大統領でした。金大統領は小渕首相との首脳会談を通じて、「21世紀の新しい韓日パートナーシップ」を宣言しました。
金大中大統領は、日本訪問時の演説で、歴史的に韓国と日本の関係が不幸だったのは、日本が韓国を侵略した7年間と植民支配をした35年間だったとし、50年もならない不幸な歴史のために、1500年にわたる交流と協力の歴史全体を無意味にすることは、実に愚かなことだと言いました。
また、金大中大統領は、1965年の韓日国交正常化以後、飛躍的に拡大した両国間の交流と協力を通じて、必要不可欠な同伴者関係に発展した韓日関係を、未来志向的な関係にしていかなければならない時であるとし、両国首脳の宣言が韓日政府間の過去史認識問題を決着させ、平和と繁栄に向けた共同の未来を開拓するための礎石になると言いました。
1965年の韓日基本条約と韓日請求権協定は、韓国政府が国民の個人請求権を一括代理して、日本の支援金を受け取るとしています。
このような基調のもと、歴代政府は、強制徴用被害者の方々の痛みを癒し、適切な補償が行われるよう努力してきました。
1974年には特別法を制定し、83,519件に対して、日本から受けとった請求権資金3億ドルの9.7%に当たる92億ウォンを、2007年には再び特別法を制定して、約78,000人に対して、約6,500億ウォンを、それぞれ政府が国家財政の中から補償しました。
わが政府は、1965年の国交正常化当時の合意と、2018年の大法院の判決を同時に満たす折衷案で、第三者弁済を推進することになったのです。
政府は、強制徴用の被害者や遺族たちの痛みが癒されるよう、最善を尽くします。
韓国社会には、排他的民族主義と反日を叫びながら、政治的利益を得ようとする勢力が、厳然として存在します。
日本は、すでに数十回にわたって、両国の過去の歴史問題について、反省と謝罪の意を表しました。
この中で、最も代表的なものが、日本が韓国の植民支配を取り立てて痛切な反省と心からの謝罪を表明した、1998年「金大中-小渕宣言」と、2010年の「菅直人談話」です。
今回の韓日首脳会談で日本政府は、「金大中-小渕宣言」をはじめ、歴史認識に関する歴代政府の立場を全体的に継承するという立場をはっきりと表明しました。
中国の周恩来首相は、1972年に発表した日本との国交正常化北京共同声明の中で、中日両国人民の友好のために、日本に対する戦時賠償要求を放棄すると言いました。
中国人約30万人が犠牲になった1937年の南京大虐殺の記憶を忘れたわけではないでしょう。
そのとき、周恩来首相は「戦争責任は一部の軍国主義勢力にあるのであって、彼らと一般国民を区別しなければならない。なので、一般の日本国民に負担をかけてはならず、さらに次世代に賠償責任の苦痛を課したいとは思わない」と言いました。
国民の皆さん、今や日本に対し、堂々と自信を持って向き合わなければなりません。
世界に進出し、最高の技術と経済力を発揮し、われわれのデジタルの力量と文化ソフトパワーを誇りことで、日本とも協力し、善意の競争を繰り広げなければなりません。
今、韓日両国政府は、わが身を振り返りながら、日韓関係の正常化と発展を妨げる障害物を、それぞれが取り除いていく努力を傾けなければなりません。
韓国がまず障害物を取り除いていけば、きっと日本も呼応してくるでしょう。
私は、今回の1泊2日の訪日中に、岸田首相と内閣をはじめ、政界の要人たち、経済界の主な企業人たちに多数会いました。
みな、両国関係の改善により、安保、経済、文化などさまざまな分野で協力が進み、シナジー効果が高まることを、期待していました。
野党も、岸田内閣の韓日関係改善を、積極的に支援すると言いました。
慶應義塾大学で出会った次世代を担う学生たちからも、日韓関係改善に対する期待に膨らんでいることが窺えました。
12年ぶりに行われた今回の訪日首脳会談で、私と岸田首相は、これまで凍りついていた両国関係のせいで、両国の国民が直接的、間接的に被害をこうむったということに共感し、韓日関係を早急に回復させていくことにしました。
また、韓国と日本は、自由、人権、法治の普遍的価値を共有し、安保、経済、国際問題で、共同の利益を追求する最も近しい隣人であり、協力すべきパートナーであることを確認しました。
両国の未来を共に準備しようとする国民的な共感帯により、安保、経済、文化など多様な分野で協力を進めるための議論をさらに加速します。
このために、外交、経済当局間の戦略対話をはじめ、両国の共同利益を議論する政府間協議体を早急に復元するつもりですし、NSCレベルの「韓日経済安保対話」も、まもなく発足するでしょう。
韓国の大統領室と日本の総理室の間の経済安全保障対話は、核心技術に関する協力とサプライチェーンなどの主要な問題で、韓日両国の共同利益を増進し、協力を強化するきっかけになるでしょう。
また、韓日経済界がいっしょに作ることにした「韓日未来パートナーシップ基金」は、両国の次世代の相互交流を活性化する上で重要な架け橋の役割を果たすでしょう。
今回、日本は半導体関連3品目の、輸出規制措置を解除し、韓国はWTO提訴を撤回することを発表しました。そして相互のホワイト国リストの迅速な原状回復のために緊密な対話を続けることにしました。
私はまず、韓国側の日本のホワイト国リスト復帰のために必要な法的手続きに着手するように、今日、産業部長官(大臣)に指示します。
韓日関係の改善により、まず半導体など先端産業分野で韓国企業の優れた製造技術と日本企業の素材、部品、装備競争力が連携され、安定したサプライチェーンが構築されるでしょう。
両国企業間のサプライチェーン協力が実現されれば、ヨンインに造成する予定の半導体クラスターに、日本の技術力のある半導体素材・部品・装備メーカーを大挙誘致することで、世界最高の半導体先端革新基地を作り上げることができるでしょう。
韓国と日本は世界1、2位のLNG輸入国です。
両国が「資源の武器化」に共同で対応すれば、エネルギー安保と価格安定に大きく貢献するでしょう。
LNG分野の協力が深まると、日本企業からのLNG船舶の受注も増加し、将来の環境にやさしい船舶、水素還元製鉄などの共同R&Dプロジェクトを拡大、推進することで、2050年炭素中立履行など、気候変動にも共に対応できるでしょう。
特に、韓日両国間の経済協力強化は、両国企業がグローバル受注市場に共同進出する機会をぐっと広げることでしょう。
1997年から2021年までの24年間、韓日両国企業が推進した海外共同事業は、46か国121件、約270兆ウォン規模と推算されます。
世界最高レベルの製造・建設・設計能力を保有している両国企業がパートナーとして協力すれば、建設、エネルギーインフラ、スマートシティプロジェクトなど、グローバル受注市場に最高の競争力で共同進出できるはずです。
また、日本は経済規模が世界3位の市場です。
韓日関係の改善は、韓国産製品全般の日本市場進出の拡大にも寄与できるでしょう。
また、両国の文化交流が活発になり、日本国民の韓国観光が増えれば、内需回復や地域経済の活性化にも大いに役立つでしょう。
政府は、経済分野で期待される成果が実現し、韓国民が体感できるように、企業間協力と国民交流を積極的に支援するつもりです。
産業、通常、科学技術、金融、外国為替、文化観光など、関連分野で両国の閣僚級の後続会議を迅速に開催し、半導体、バイオなど、核心協力分野での対話チャンネルの新設、量子・宇宙・バイオ共同研究の支援、産学協力拠点の構築、R&Dとスタートアップ共同ファンドの造成、陸上・航空分野の物流協力などをスピーディーに進めていくつもりです。
私と岸田首相は、日増しに高度化している北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応するため、韓米日、韓日安保協力が非常に重要であり、今後も積極的に協力していこうということで意見が一致しました。
先週の木曜日、私が日本に出発する2時間半前に、北朝鮮がICBMを発射しました。私は韓日間における、北朝鮮の核・ミサイルに関する完璧な情報共有が緊急だと判断し、韓日首脳会談で前提条件なしに、GSOMIAを完全に正常化することを宣言しました。
2019年に韓国がとったGSOMIA終了宣言とその猶予による制度的不確実性を今回除去することで、韓米日、韓日軍事情報協力を強化する足場を設けました。
また、両国の海外戦略、すなわち韓国の「自由、平和、繁栄のインド太平洋戦略」と日本の「自由で開かれたインド太平洋」の推進過程でも、緊密に連帯し、協力していくことにしました。
さらに、北東アジア域内での対話と協力の活性化のために、韓日中3国首脳会談の再稼働に向けて、ともに努力するつもりです。
今後も韓日両首脳は、形式にこだわらず、必要ならいつでも会う、シャトル外交を通じて、積極的にコミュニケーションし、協力していくことでしょう。
今回の巡訪を通じた韓日両国の関係改善努力が具体的な成果と結実につながるように、各省庁では協力体制の構築とあわせて、後続措置に万全を期してくださるよう、重ねてお願いします。
今、私たちは歴史の新しい転換点に立っています。
私は賢明なる韓国民を信じています。
韓日関係の正常化は、結局、韓国民に新しいプライドを呼び起こし、韓国の国民と企業に大きな恩恵として返ってくるでしょう。
そして何よりも、次世代の青年たちにとって、大きな希望と機会になることは明らかです。
政府の労働時間の柔軟化政策に関し、賃金、休暇など、労働補償体系に対して、労働者が不安にならないように、特に労働市場の二重構造が蔓延している韓国社会で、労働弱者が不安にならないように、確実な補償策を講じます。
労働者の健康権、休憩権の保障と、包括賃金制の悪用防止を通じた正当な報償に、わずかでも疑惑と不安があってはなりません。
最近、週当たり最大労働時間について、多少の議論があります。
私は週60時間以上働くことは、健康面で無理だと思います。
もちろん、これについては労働時間柔軟化政策の後退だという意見もあります。
しかし、週当たり労働時間の上限を定めておかなければ、現実的に労働弱者の健康権を守ることは困難です。
まず、労働時間に関する労使合意期間を、週単位から月、四半期、半期、年単位で自由に設定するだけでも労使双方の選択権が広がり、労働需要に柔軟に対応できるでしょう。
わが国の社会の労働改革の最初の課題は、労使法治の確立です。
産業現場で不法と暴力を必ず追放しなければなりません。これに異論の余地はありません。
労働改革のもう一つの課題である労働市場の柔軟化は、その制度の設計において国民の意見を十分に聴取し、収集します。雇用労働部など関連省庁に細かい世論調査FGIを行い、私にその結果を報告するよう指示しました。
特にMZ労働者、労組未加入労働者、中小企業労働者など、労働弱者と幅広くコミュニケーションをとります。
労働市場の柔軟化など、新しい立法が必要な労働改革の課題について、国民のみなさんから良い意見をたくさん提示していただければと思います。
国民のための制度を作るのに拙速にならず、十分に議論を尽くして民意を反映していきます。
https://www.ytn.co.kr/_ln/0101_202303211028270273
両国政府の対話が途絶え、韓日関係は破局の一歩手前で放置されてきました。
2011年12月、最後の日韓首脳会談が開かれた後、2015年の慰安婦合意で日本政府が2016年に資金を出した「和解癒し財団」も、わずか2年で解体されました。
2018年の大法院の強制徴用事件判決は、2019年、日本の半導体素材輸出規制、ホワイトリストからの韓国排除など経済報復につながり、韓国も世界貿易機関(WTO)に日本を提訴し、韓国のホワイトリストから日本を排除するなど、歴史紛争が経済紛争に広がりました。
また、われわれは日本と2016年にGSOMIAを締結しましたが、2019年8月にGSOMIAの終了を発表し、3か月後に再びこれを保留するなど、日韓安全保障協力さえも、迷走しました。
私は昨年5月に大統領に就任して以降、存在そのものが不確かになってしまった韓日関係をどう正常化するかについて悩んできました。
まるで出口のない迷路に閉じ込められた思いでした。
けれども、拱手傍観することはできませんでした。
日々、熾烈化する米中戦略競争、グローバルサプライチェーンの危機、北朝鮮の核脅威の高度化など、韓国を取り巻く複合危機の中で、韓日協力の必要性はさらに大きくなったからです。
韓日両国は、歴史的にも文化的にも最も近しく交流してきた宿命の隣国です。
ドイツとフランスも両次世界大戦を通じて数多くの人命を犠牲にしながら敵として向かい合い、戦後、電撃的に和解して、今ではヨーロッパで最も親密に協力する隣国です。
日韓関係も今や、過去を超えなければなりません。
友達との間で気まずいことがあっても、関係を断つことなく会い続け、コミュニケーションをとって話をすれば、誤解は解け、仲直りできるものです。韓日関係も同じです。
ときには意見の相違が生じても、韓日両国は頻繁に会って、コミュニケーションをとりながら問題を解決し、協力の道を探っていかなければなりません。
韓日関係は、一方が得れば他方が失うというゼロサムゲームではありません。韓日関係はともに努力し、ともに利益を得るウィンウィンの関係になることができますし、またぜひそうしなければなりません。
しかし、前任の政府は、泥沼にはまった韓日関係をそのまま放置しました。
その影響で、両国国民と在日同胞が被害を受け、両国の安保と経済は根深い対立に陥ってしまいました。
私もまた、目の前の政治的利益のために安易な道を選択し、史上最悪の韓日関係を放置する大統領でいることもできました。
しかし、昨今の厳しい国際情勢において、行き過ぎた敵対的民族主義と反日感情を刺激し、国内政治に利用しようとするのは、大統領としての責務を捨てることだと思いました。
今回の訪日について、まず韓日両国の経済界が積極的に歓迎し、これまで萎縮していた両国の経済交流が再開されるだろうという期待感を持ち始めました。
私が今回日本で会った在日同胞たちも、これまで韓日関係の硬直化でもたらされた困難と苦痛を一挙に払いのけるような期待に、同胞社会がお祭り騒ぎの雰囲気だと言ってました。
私は、韓国政府が今、正しい方向に進んでいると確信しています。
両国間の不幸な過去の痛みを乗り越え、日本と新たな方向性を探る努力は、今回が初めてではありません。
1965年、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は、韓日の共同の利益と共同の安全、そして共同の繁栄を模索する新たな時代に入ったとして、韓日国交正常化を推進しました。
当時、屈辱的で売国的な外交という激烈な反対世論が沸騰しましたが、朴大統領は、被害意識と劣等感にとらわれ、日本といえば無条件におじけづくことこそ、まさに屈辱的な姿勢だと指摘しました。
そして、韓日国交正常化がどのような結果として帰結するかは、われわれの姿勢と覚悟にかかっているといって、ついに韓日国交正常化という仕事を完遂しました。
朴大統領の決断のおかげで、サムスン、現代、LG、ポスコといった企業が世界的な競争力を備えた企業に成長することができ、これは韓国経済の目覚ましい発展を可能にする原動力となりました。
その後、浮き沈みを重ねた韓日関係の新たな地平を開いたのは、1998年の金大中大統領でした。金大統領は小渕首相との首脳会談を通じて、「21世紀の新しい韓日パートナーシップ」を宣言しました。
金大中大統領は、日本訪問時の演説で、歴史的に韓国と日本の関係が不幸だったのは、日本が韓国を侵略した7年間と植民支配をした35年間だったとし、50年もならない不幸な歴史のために、1500年にわたる交流と協力の歴史全体を無意味にすることは、実に愚かなことだと言いました。
また、金大中大統領は、1965年の韓日国交正常化以後、飛躍的に拡大した両国間の交流と協力を通じて、必要不可欠な同伴者関係に発展した韓日関係を、未来志向的な関係にしていかなければならない時であるとし、両国首脳の宣言が韓日政府間の過去史認識問題を決着させ、平和と繁栄に向けた共同の未来を開拓するための礎石になると言いました。
1965年の韓日基本条約と韓日請求権協定は、韓国政府が国民の個人請求権を一括代理して、日本の支援金を受け取るとしています。
このような基調のもと、歴代政府は、強制徴用被害者の方々の痛みを癒し、適切な補償が行われるよう努力してきました。
1974年には特別法を制定し、83,519件に対して、日本から受けとった請求権資金3億ドルの9.7%に当たる92億ウォンを、2007年には再び特別法を制定して、約78,000人に対して、約6,500億ウォンを、それぞれ政府が国家財政の中から補償しました。
わが政府は、1965年の国交正常化当時の合意と、2018年の大法院の判決を同時に満たす折衷案で、第三者弁済を推進することになったのです。
政府は、強制徴用の被害者や遺族たちの痛みが癒されるよう、最善を尽くします。
韓国社会には、排他的民族主義と反日を叫びながら、政治的利益を得ようとする勢力が、厳然として存在します。
日本は、すでに数十回にわたって、両国の過去の歴史問題について、反省と謝罪の意を表しました。
この中で、最も代表的なものが、日本が韓国の植民支配を取り立てて痛切な反省と心からの謝罪を表明した、1998年「金大中-小渕宣言」と、2010年の「菅直人談話」です。
今回の韓日首脳会談で日本政府は、「金大中-小渕宣言」をはじめ、歴史認識に関する歴代政府の立場を全体的に継承するという立場をはっきりと表明しました。
中国の周恩来首相は、1972年に発表した日本との国交正常化北京共同声明の中で、中日両国人民の友好のために、日本に対する戦時賠償要求を放棄すると言いました。
中国人約30万人が犠牲になった1937年の南京大虐殺の記憶を忘れたわけではないでしょう。
そのとき、周恩来首相は「戦争責任は一部の軍国主義勢力にあるのであって、彼らと一般国民を区別しなければならない。なので、一般の日本国民に負担をかけてはならず、さらに次世代に賠償責任の苦痛を課したいとは思わない」と言いました。
国民の皆さん、今や日本に対し、堂々と自信を持って向き合わなければなりません。
世界に進出し、最高の技術と経済力を発揮し、われわれのデジタルの力量と文化ソフトパワーを誇りことで、日本とも協力し、善意の競争を繰り広げなければなりません。
今、韓日両国政府は、わが身を振り返りながら、日韓関係の正常化と発展を妨げる障害物を、それぞれが取り除いていく努力を傾けなければなりません。
韓国がまず障害物を取り除いていけば、きっと日本も呼応してくるでしょう。
私は、今回の1泊2日の訪日中に、岸田首相と内閣をはじめ、政界の要人たち、経済界の主な企業人たちに多数会いました。
みな、両国関係の改善により、安保、経済、文化などさまざまな分野で協力が進み、シナジー効果が高まることを、期待していました。
野党も、岸田内閣の韓日関係改善を、積極的に支援すると言いました。
慶應義塾大学で出会った次世代を担う学生たちからも、日韓関係改善に対する期待に膨らんでいることが窺えました。
12年ぶりに行われた今回の訪日首脳会談で、私と岸田首相は、これまで凍りついていた両国関係のせいで、両国の国民が直接的、間接的に被害をこうむったということに共感し、韓日関係を早急に回復させていくことにしました。
また、韓国と日本は、自由、人権、法治の普遍的価値を共有し、安保、経済、国際問題で、共同の利益を追求する最も近しい隣人であり、協力すべきパートナーであることを確認しました。
両国の未来を共に準備しようとする国民的な共感帯により、安保、経済、文化など多様な分野で協力を進めるための議論をさらに加速します。
このために、外交、経済当局間の戦略対話をはじめ、両国の共同利益を議論する政府間協議体を早急に復元するつもりですし、NSCレベルの「韓日経済安保対話」も、まもなく発足するでしょう。
韓国の大統領室と日本の総理室の間の経済安全保障対話は、核心技術に関する協力とサプライチェーンなどの主要な問題で、韓日両国の共同利益を増進し、協力を強化するきっかけになるでしょう。
また、韓日経済界がいっしょに作ることにした「韓日未来パートナーシップ基金」は、両国の次世代の相互交流を活性化する上で重要な架け橋の役割を果たすでしょう。
今回、日本は半導体関連3品目の、輸出規制措置を解除し、韓国はWTO提訴を撤回することを発表しました。そして相互のホワイト国リストの迅速な原状回復のために緊密な対話を続けることにしました。
私はまず、韓国側の日本のホワイト国リスト復帰のために必要な法的手続きに着手するように、今日、産業部長官(大臣)に指示します。
韓日関係の改善により、まず半導体など先端産業分野で韓国企業の優れた製造技術と日本企業の素材、部品、装備競争力が連携され、安定したサプライチェーンが構築されるでしょう。
両国企業間のサプライチェーン協力が実現されれば、ヨンインに造成する予定の半導体クラスターに、日本の技術力のある半導体素材・部品・装備メーカーを大挙誘致することで、世界最高の半導体先端革新基地を作り上げることができるでしょう。
韓国と日本は世界1、2位のLNG輸入国です。
両国が「資源の武器化」に共同で対応すれば、エネルギー安保と価格安定に大きく貢献するでしょう。
LNG分野の協力が深まると、日本企業からのLNG船舶の受注も増加し、将来の環境にやさしい船舶、水素還元製鉄などの共同R&Dプロジェクトを拡大、推進することで、2050年炭素中立履行など、気候変動にも共に対応できるでしょう。
特に、韓日両国間の経済協力強化は、両国企業がグローバル受注市場に共同進出する機会をぐっと広げることでしょう。
1997年から2021年までの24年間、韓日両国企業が推進した海外共同事業は、46か国121件、約270兆ウォン規模と推算されます。
世界最高レベルの製造・建設・設計能力を保有している両国企業がパートナーとして協力すれば、建設、エネルギーインフラ、スマートシティプロジェクトなど、グローバル受注市場に最高の競争力で共同進出できるはずです。
また、日本は経済規模が世界3位の市場です。
韓日関係の改善は、韓国産製品全般の日本市場進出の拡大にも寄与できるでしょう。
また、両国の文化交流が活発になり、日本国民の韓国観光が増えれば、内需回復や地域経済の活性化にも大いに役立つでしょう。
政府は、経済分野で期待される成果が実現し、韓国民が体感できるように、企業間協力と国民交流を積極的に支援するつもりです。
産業、通常、科学技術、金融、外国為替、文化観光など、関連分野で両国の閣僚級の後続会議を迅速に開催し、半導体、バイオなど、核心協力分野での対話チャンネルの新設、量子・宇宙・バイオ共同研究の支援、産学協力拠点の構築、R&Dとスタートアップ共同ファンドの造成、陸上・航空分野の物流協力などをスピーディーに進めていくつもりです。
私と岸田首相は、日増しに高度化している北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応するため、韓米日、韓日安保協力が非常に重要であり、今後も積極的に協力していこうということで意見が一致しました。
先週の木曜日、私が日本に出発する2時間半前に、北朝鮮がICBMを発射しました。私は韓日間における、北朝鮮の核・ミサイルに関する完璧な情報共有が緊急だと判断し、韓日首脳会談で前提条件なしに、GSOMIAを完全に正常化することを宣言しました。
2019年に韓国がとったGSOMIA終了宣言とその猶予による制度的不確実性を今回除去することで、韓米日、韓日軍事情報協力を強化する足場を設けました。
また、両国の海外戦略、すなわち韓国の「自由、平和、繁栄のインド太平洋戦略」と日本の「自由で開かれたインド太平洋」の推進過程でも、緊密に連帯し、協力していくことにしました。
さらに、北東アジア域内での対話と協力の活性化のために、韓日中3国首脳会談の再稼働に向けて、ともに努力するつもりです。
今後も韓日両首脳は、形式にこだわらず、必要ならいつでも会う、シャトル外交を通じて、積極的にコミュニケーションし、協力していくことでしょう。
今回の巡訪を通じた韓日両国の関係改善努力が具体的な成果と結実につながるように、各省庁では協力体制の構築とあわせて、後続措置に万全を期してくださるよう、重ねてお願いします。
今、私たちは歴史の新しい転換点に立っています。
私は賢明なる韓国民を信じています。
韓日関係の正常化は、結局、韓国民に新しいプライドを呼び起こし、韓国の国民と企業に大きな恩恵として返ってくるでしょう。
そして何よりも、次世代の青年たちにとって、大きな希望と機会になることは明らかです。
政府の労働時間の柔軟化政策に関し、賃金、休暇など、労働補償体系に対して、労働者が不安にならないように、特に労働市場の二重構造が蔓延している韓国社会で、労働弱者が不安にならないように、確実な補償策を講じます。
労働者の健康権、休憩権の保障と、包括賃金制の悪用防止を通じた正当な報償に、わずかでも疑惑と不安があってはなりません。
最近、週当たり最大労働時間について、多少の議論があります。
私は週60時間以上働くことは、健康面で無理だと思います。
もちろん、これについては労働時間柔軟化政策の後退だという意見もあります。
しかし、週当たり労働時間の上限を定めておかなければ、現実的に労働弱者の健康権を守ることは困難です。
まず、労働時間に関する労使合意期間を、週単位から月、四半期、半期、年単位で自由に設定するだけでも労使双方の選択権が広がり、労働需要に柔軟に対応できるでしょう。
わが国の社会の労働改革の最初の課題は、労使法治の確立です。
産業現場で不法と暴力を必ず追放しなければなりません。これに異論の余地はありません。
労働改革のもう一つの課題である労働市場の柔軟化は、その制度の設計において国民の意見を十分に聴取し、収集します。雇用労働部など関連省庁に細かい世論調査FGIを行い、私にその結果を報告するよう指示しました。
特にMZ労働者、労組未加入労働者、中小企業労働者など、労働弱者と幅広くコミュニケーションをとります。
労働市場の柔軟化など、新しい立法が必要な労働改革の課題について、国民のみなさんから良い意見をたくさん提示していただければと思います。
国民のための制度を作るのに拙速にならず、十分に議論を尽くして民意を反映していきます。
https://www.ytn.co.kr/_ln/0101_202303211028270273
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