犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

雑色でミャンマー料理

2013-07-14 23:51:49 | ミャンマー

 先日は猛暑の中、東京は大田区、雑色(ぞうしき)に所用があって、行ってきました。午後のアポイントの前に昼食をとろうと、駅近くの商店街をあるいていたら、

「洋食レストラン ミャンマー料理」

という看板が目に入りました。

「なんでこんなところにミャンマー料理が!!」

 ミャンマー人は高田馬場近辺に集住していて、ミャンマー料理も高田馬場にしかないと思っていたのに意外です。

 店に入ると、こぢんまりとした店内には二組の先客がいました。メニューには、ミャンマーカレー、ミャンマー風春雨スープなどミャンマー料理と並んで、オムライスなんていうミャンマーとは関係なさそうな洋食メニューもあります。

 店の名前、ジレ・ゾミについてご主人に聞いてみました。

「ゾミは民族名です。私がゾミ族なんで」

 ゾミという民族については初耳だったので、詳しく聞くと、一般にはチン族の名で呼ばれる民族だそうです。

ジレは聖書の言葉です」

「というと、クリスチャンですか?」

「ええ」

「クリスチャンはミャンマーの北部に多いですよね」

「ぼくたちは北というより東ですね」

 私はミャンマー語のCDをスマホに入れていて、その中にチン族の言語があったのを思い出し、再生してみました。

「これですね?」

 ご主人、注意深く聞いていましたが、

「ああこれは○○チンですね。私のは△△チンですからちょっと違います」

「チンにもいろいろあるんですか」

「はい。××チン、□□チン…。山を越えると言葉も違いますから」

「ふーん」

「あれ、これはいろんなチンが混じってますね。三つぐらいのチンがごちゃまぜになってますよ」

と言われても、私にはさっぱり。

 このお店を開いたのは2年前。最初は蒲田に開こうと思ったけれども、よい物件がなくて、京浜急行で蒲田から一駅の雑色にしたとのこと。ミャンマー人もいないし、日本人もミャンマー料理なんて食べないだろうと思ったから、ふつうの洋食屋としてスタートした。ところが、お客さんから、ミャンマー人なんだからミャンマー料理をやるべきだと言われて、始めてみると、意外に評判がよいということです。

 それで、「洋食レストラン ミャンマー料理」という不思議な看板の意味がわかりました。

「お勧めはなんですか」

「ミャンマー風カレーか、春雨スープですね」

「春雨スープはご飯もつくんですか」

「いえ。でも春雨がたっぷり入ってますから、ボリュームありますよ」

 それでミャンマー風春雨スープを注文。

 ご主人は現在51歳で、私と一歳違い。20年前に亡命してきたそうです。

 春雨スープは牛モツのあっさりしたダシで、確かに春雨がたっぷり。たいへんおいしい。キャベツのサラダと、食後にはアイスコーヒーまでついて650円は安い。

サーロ・カウンデー(おいしいです)」

チェーズーティンバーデー(ありがとう)」

「夜もやってるんですか」

「11時までです」

 店の雰囲気も、味も、ご主人の感じもたいへん気に入ったのですが、記録的な猛暑だからか、店内が暑い。

「あ、すみません。二つのクーラーのうち、大きいほうが故障中で…」

(これで涼しければ夜も来るんだけどなあ)


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