「犬にごはんをあげる」と言って,祖母に叱られた話を前に書きました。私が小学生のころだから,昭和40年代前半のこと。
辞書制作者の見坊豪紀は,自らが編集主幹を務める「三省堂国語辞典」に採録する言葉を集めるため,50年間,毎日欠かさず「ワードハンティング」を続けた人ですが,その人の本(『ことばの海をゆく』1976朝日選書)に次のような「資料」があった。
「ここに「ママ」がいる。「教育ママ」でもいい。「教育おママ」でもいい。そういう人たちが,自分の子どもに菓子でもあたえるときに,「あげる」という言葉をつかう。ときには犬や猫にむかってさえ「あげる」という言葉をつかう。」
(中野重治「言葉の問題雑談一」「国語通信」筑摩書房,昭和42年12月・43年1月合併号)
犬猫ではなく,子どもに向かって「あげる」という言葉を使うことが問題視されていたのですね。
「ハイジの誕生日プレゼントのことなんだけど」
「えっ? 誕生日?」
ハイジというのはわが家の犬の名前です(ただしオス)。犬に誕生日プレゼントなどという発想に,びっくりしました。だいたい,私が結婚前に飼った犬猫はもらいものの雑種(ミックス)でしたから,生年月日も不詳です。
「新しい首輪を買ってあげようと思って」
「ふーん。で,いくら?」
「7400円」
(!!)
「おいおい,ちょっと高いんじゃない?」
「でも,もう注文しちゃったよ」
そばにいた末娘に
「クララ,お前,誕生日,何買ってもらった?」
「本とDVDだよ」
(合わせて5000円ぐらいだよな)
「人間より高いプレゼントって,バランスを欠いてないか?」
「でも,ハイジはうちの長男だから…」
(ちょ,長男!!! たしかに唯一のオスだが…)
〈ごはんをあげる〉どころの話じゃなくなってきました。
辞書制作者の見坊豪紀は,自らが編集主幹を務める「三省堂国語辞典」に採録する言葉を集めるため,50年間,毎日欠かさず「ワードハンティング」を続けた人ですが,その人の本(『ことばの海をゆく』1976朝日選書)に次のような「資料」があった。
「ここに「ママ」がいる。「教育ママ」でもいい。「教育おママ」でもいい。そういう人たちが,自分の子どもに菓子でもあたえるときに,「あげる」という言葉をつかう。ときには犬や猫にむかってさえ「あげる」という言葉をつかう。」
(中野重治「言葉の問題雑談一」「国語通信」筑摩書房,昭和42年12月・43年1月合併号)
犬猫ではなく,子どもに向かって「あげる」という言葉を使うことが問題視されていたのですね。
「ハイジの誕生日プレゼントのことなんだけど」
「えっ? 誕生日?」
ハイジというのはわが家の犬の名前です(ただしオス)。犬に誕生日プレゼントなどという発想に,びっくりしました。だいたい,私が結婚前に飼った犬猫はもらいものの雑種(ミックス)でしたから,生年月日も不詳です。
「新しい首輪を買ってあげようと思って」
「ふーん。で,いくら?」
「7400円」
(!!)
「おいおい,ちょっと高いんじゃない?」
「でも,もう注文しちゃったよ」
そばにいた末娘に
「クララ,お前,誕生日,何買ってもらった?」
「本とDVDだよ」
(合わせて5000円ぐらいだよな)
「人間より高いプレゼントって,バランスを欠いてないか?」
「でも,ハイジはうちの長男だから…」
(ちょ,長男!!! たしかに唯一のオスだが…)
〈ごはんをあげる〉どころの話じゃなくなってきました。