帰国の直前にあいさつを兼ねて飲みにいって以来,ロケーションが悪いので行けなかったバー。夜到着の金浦空港から,地下鉄5号線で通り道だったので,ちょっと寄ってみました。
場所はオモッキョ(梧木橋)駅から徒歩2分。スーツケースを引きずって訪ねると,店は健在でした。
「あーら,犬鍋さん。お久しぶり。どうして連絡くれなかったの?」
「えっ,電話したけど,出なかったじゃない?」
「うそ。私,必ず電話とるわよ」
「前回の出張のとき,電話したはずだけどなあ」
「あっ,もしかして国際電話? そういえば,一度,わざととらなかったことがあったわ」
「ソウルからかけたけど,この電話,日本のだから,国際電話になるかもね」
「ごめんなさい。別の人かと思って」
「日本人?」
「いや,韓国人なんだけど,大韓航空のパイロット」
「なんでとらなかったの?」
「ちょっとわけありでね。あとで話したげる」
しばらくして,ウイスキーのセットを持って隣に座ったアガシ,これまでのことを話してくれました。
「ほら,前に私が騙されたってこと話したでしょう? お店の権利金,全部持ち逃げされて。あのときはほんとうに困ったわ。それで,あるお客さんにこぼしたの。それが,そのパイロットでね」
「お馴染みさん?」
「いえ,そうじゃないのよ。そのときが3回目ぐらいだったかしら。そしたらね,お金を貸してくれたのよ」
「いくら?」
「3000万ウォン」
(!!! ローソンの店長の上を行くなあ)
「それで,このお店,続けられたの」
「で,返したの?」
「当たり前でしょ! 私,1000ウォンだって,借りたお金を返さなかったことないわ。でも,利子なしだけど…」
「よくがんばったね」
「その人も驚いていたわ。戻って来ないだろうと思っていたって」
「恩人じゃない」
「ええ。でもね,それからいろいろ誘ってきて…。その人,既婚者で,家庭もあるのに。だから,言ってやったの。『お金のことは本当に感謝してる。でも,あなたは浮気するような人じゃないし,私もそんな関係は望んでいない』って。で,一時,その人からの電話をわざととらなかったのよ」
「ふーん。でも,お金持ちなんだね,3000万もぽんと貸してくれるなんて」
「そうね。それにちょうどそのとき,私にも好きな人がいたし」
「へぇ。どんな人?」
「その人はお金はあんまりない。ずいぶん苦労してるみたいで,私もお金はないけれど,なんとかしてあげたいと思っちゃうような人」
「前は,男なんてみんな嫌って言っていたじゃない」
「そうね。私,サラン(愛)なんて信じなかった。若いときに結婚して,失敗して,子育てで苦労したでしょう。ずっと恋愛なんて考えたことがなかった。今回が初めてよ。まるで20代のときのように,燃えちゃったのは」
「で,別れたの?」
「ええ,つい二週間ほど前。嫌いになったわけじゃないけど,やっぱり経済的な問題があるから無理なのよ。嫌いじゃないのにわかれるってとても悲しいわ」
「娘さんたち,もう大きくなった?」
「今,高2と中3。上の子は来年受験よ。勉強ができなくて困っちゃう」
「なら働けばいいじゃない」
「だめよ。韓国は大学行かなくちゃ生きていけないわ」
「いい人見つけて結婚しちゃうとか」
「アイゴー。子どもには結婚なんてさせたくない。一人で生きていくほうがよっぽどましよ」
「そんな。年取ってからさびしいよ」
「でも,子どもを責任もって育てるのは大変よ」
「そりゃそうだけど…。で,娘さん,ボーイフレンドいるの?」
「ネー,マナヨ(ええ,たくさん)。とてもかわいいから」
「やっぱり,ママの子だから」
「ハハハ。下の子は,あんまりかわいくないと思っていたけど,年頃になって,ずいぶんかわいくなった。上のは,とってもきれいよ」
「じゃ,幸せになるよ。韓国では容貌が重要だから」
こんな話をしているうちに,お客さんが続々と入ってくる。ママ以外の二人のアガシは大忙し。長居しても迷惑そうなので,きりあげることに。お店が順調なようなので,ひと安心です。
彼女の幸せを祈ります。
場所はオモッキョ(梧木橋)駅から徒歩2分。スーツケースを引きずって訪ねると,店は健在でした。
「あーら,犬鍋さん。お久しぶり。どうして連絡くれなかったの?」
「えっ,電話したけど,出なかったじゃない?」
「うそ。私,必ず電話とるわよ」
「前回の出張のとき,電話したはずだけどなあ」
「あっ,もしかして国際電話? そういえば,一度,わざととらなかったことがあったわ」
「ソウルからかけたけど,この電話,日本のだから,国際電話になるかもね」
「ごめんなさい。別の人かと思って」
「日本人?」
「いや,韓国人なんだけど,大韓航空のパイロット」
「なんでとらなかったの?」
「ちょっとわけありでね。あとで話したげる」
しばらくして,ウイスキーのセットを持って隣に座ったアガシ,これまでのことを話してくれました。
「ほら,前に私が騙されたってこと話したでしょう? お店の権利金,全部持ち逃げされて。あのときはほんとうに困ったわ。それで,あるお客さんにこぼしたの。それが,そのパイロットでね」
「お馴染みさん?」
「いえ,そうじゃないのよ。そのときが3回目ぐらいだったかしら。そしたらね,お金を貸してくれたのよ」
「いくら?」
「3000万ウォン」
(!!! ローソンの店長の上を行くなあ)
「それで,このお店,続けられたの」
「で,返したの?」
「当たり前でしょ! 私,1000ウォンだって,借りたお金を返さなかったことないわ。でも,利子なしだけど…」
「よくがんばったね」
「その人も驚いていたわ。戻って来ないだろうと思っていたって」
「恩人じゃない」
「ええ。でもね,それからいろいろ誘ってきて…。その人,既婚者で,家庭もあるのに。だから,言ってやったの。『お金のことは本当に感謝してる。でも,あなたは浮気するような人じゃないし,私もそんな関係は望んでいない』って。で,一時,その人からの電話をわざととらなかったのよ」
「ふーん。でも,お金持ちなんだね,3000万もぽんと貸してくれるなんて」
「そうね。それにちょうどそのとき,私にも好きな人がいたし」
「へぇ。どんな人?」
「その人はお金はあんまりない。ずいぶん苦労してるみたいで,私もお金はないけれど,なんとかしてあげたいと思っちゃうような人」
「前は,男なんてみんな嫌って言っていたじゃない」
「そうね。私,サラン(愛)なんて信じなかった。若いときに結婚して,失敗して,子育てで苦労したでしょう。ずっと恋愛なんて考えたことがなかった。今回が初めてよ。まるで20代のときのように,燃えちゃったのは」
「で,別れたの?」
「ええ,つい二週間ほど前。嫌いになったわけじゃないけど,やっぱり経済的な問題があるから無理なのよ。嫌いじゃないのにわかれるってとても悲しいわ」
「娘さんたち,もう大きくなった?」
「今,高2と中3。上の子は来年受験よ。勉強ができなくて困っちゃう」
「なら働けばいいじゃない」
「だめよ。韓国は大学行かなくちゃ生きていけないわ」
「いい人見つけて結婚しちゃうとか」
「アイゴー。子どもには結婚なんてさせたくない。一人で生きていくほうがよっぽどましよ」
「そんな。年取ってからさびしいよ」
「でも,子どもを責任もって育てるのは大変よ」
「そりゃそうだけど…。で,娘さん,ボーイフレンドいるの?」
「ネー,マナヨ(ええ,たくさん)。とてもかわいいから」
「やっぱり,ママの子だから」
「ハハハ。下の子は,あんまりかわいくないと思っていたけど,年頃になって,ずいぶんかわいくなった。上のは,とってもきれいよ」
「じゃ,幸せになるよ。韓国では容貌が重要だから」
こんな話をしているうちに,お客さんが続々と入ってくる。ママ以外の二人のアガシは大忙し。長居しても迷惑そうなので,きりあげることに。お店が順調なようなので,ひと安心です。
彼女の幸せを祈ります。
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