金曜日、韓国時代の友人、Kさんと食事の約束をしました。
K「第4波が来たみたいですね」
犬「都心は避けたほうがいいかも」
K「じゃあ、私の家の近くの焼肉屋はいかがですか。住宅地にあるお店で、客も少ないから安全だと思います。ときどき友人を連れて行きますが、評判がいいですよ」
ということで、西武新宿線沿線の駅で待ち合わせました。
K「バスで7~8分のところです」
バスが来るのを待っている間、店について聞きました。
K「もともとは駅前にあったんですよ。子どものころから知っている店で、韓国から帰ったとき、無くなっていたので、調べてみたら、移転していて…」
Kさんは韓国に26年間住み、2年ちょっと前に、帰国しました。
K「80過ぎのハルモニ(おばあさん)がやっています。ハルモニ、おしゃべり好きで、いつもシンセタリョンを聞かされるんですよ」
シンセタリョン(身世打鈴)というのは、韓国語で「身の上話」の意味。「打鈴」という漢字は当て字で、「打令」とも書きます。
6時過ぎの店には、すでに3組ほどの先客がいます。
ハルモニ「あらKさん、今日はまた、新しいお客さん連れてきてくれたんですね!」
ハルモニが出迎えてくれます。ハルモニは在日で、朝鮮総連系とのことです。
K「とりあえず、チョッパル(豚足)どうですか」
犬「いいね!」
ハルモニが豚足を持ってきてくれた時、Kさんが私を紹介してくれました。
K「韓国で知り合った友人です。けっこう長く韓国に住んでいました」
ハ「じゃあ、ウリマルできるでしょう」
と韓国語で話しかけてきます。
犬「ネー、チョックムマン(はい、少しだけ)」
ハ「最初、チョッパルって言われても、何のことかわからなくてね。あっち(北側)ではテジパルっていうからね」
早速「身世打鈴」が始まりました。
北朝鮮系の店だからでしょうか、チャミスルやチョウムチョロムをいった、南朝鮮(韓国)でポピュラーな焼酎はなく、度数25度の「眞露」の小瓶を頼みました。
「ここは、ホルモンとコムタンがおいしいんですよ」
Kさんに勧められるがまま、ハラミ、テッチャン、ハツなどのホルモン系を注文。ナムルの盛り合わせは、サービスで出してくれました。
ハルモニは、料理を運んでくるたびに、話し込んでいきます。
ハ「親戚が平壌に住んでいてね、私も6回、行ったわ。平壌はきれいな街よ。ゴミ一つ落ちていない。国民たちが早起きして、掃除するからね」
親戚というのは、北で特権階級に属しているようです。
「ここ、朝鮮学校や、朝鮮大学校が近いんで、先生たちもよく来てくれてね。駅前にあったときは、とても繁盛してたんだけど、狂牛病騒ぎのときは大変。それで、2002年にこっちに移転したの」
駅前の賃貸店舗を畳んで、自宅の敷地に家を建てたんだそうです。
追加で、トントロなどを頼みます。
ハ「先代が死んだあと、店を閉じるのはもったいないって、息子が継いでくれてね。ありがたいわ」
息子さんは61歳というから、私と同世代です。
ハ「やっぱり、子どもは、教育が大事よ。うちなんか、3人とも民族学校から、朝鮮大学校に入れてね、娘は今、朝鮮大学校で歴史を教えてるわ」
ハルモニがテーブルを離れた後、
犬「朝鮮大学校で教える歴史って、どんな歴史なんだろう?」
K「首領様の生い立ちとかですかね」
犬「なんか、瞬間移動する技があったよね」
K「縮地法ですね!」
シメはレンミョン(冷麺、北朝鮮式には語頭のr音を発音する)を頼みました。豚足も、ホルモンも、冷麺も、すべておいしかったです。
ハ「子供の教育は、きちんと民族意識をつけることが大切よ。ぶれてはダメ!」
犬・K「……」
会計を済ませた後、なんと、ハルモニは私たち二人を車で西武線の駅まで送ってくれました。
「身世打鈴」というと、これまでの不幸な身の上を嘆く、というニュアンスがありますが、このハルモニの身の上話は、誇り高い朝鮮人(※)の「自慢話」に聞こえました。
※ 北朝鮮系の在日コリアンは、「朝鮮人」を自称しますので、差別語ではありません。
K「第4波が来たみたいですね」
犬「都心は避けたほうがいいかも」
K「じゃあ、私の家の近くの焼肉屋はいかがですか。住宅地にあるお店で、客も少ないから安全だと思います。ときどき友人を連れて行きますが、評判がいいですよ」
ということで、西武新宿線沿線の駅で待ち合わせました。
K「バスで7~8分のところです」
バスが来るのを待っている間、店について聞きました。
K「もともとは駅前にあったんですよ。子どものころから知っている店で、韓国から帰ったとき、無くなっていたので、調べてみたら、移転していて…」
Kさんは韓国に26年間住み、2年ちょっと前に、帰国しました。
K「80過ぎのハルモニ(おばあさん)がやっています。ハルモニ、おしゃべり好きで、いつもシンセタリョンを聞かされるんですよ」
シンセタリョン(身世打鈴)というのは、韓国語で「身の上話」の意味。「打鈴」という漢字は当て字で、「打令」とも書きます。
6時過ぎの店には、すでに3組ほどの先客がいます。
ハルモニ「あらKさん、今日はまた、新しいお客さん連れてきてくれたんですね!」
ハルモニが出迎えてくれます。ハルモニは在日で、朝鮮総連系とのことです。
K「とりあえず、チョッパル(豚足)どうですか」
犬「いいね!」
ハルモニが豚足を持ってきてくれた時、Kさんが私を紹介してくれました。
K「韓国で知り合った友人です。けっこう長く韓国に住んでいました」
ハ「じゃあ、ウリマルできるでしょう」
と韓国語で話しかけてきます。
犬「ネー、チョックムマン(はい、少しだけ)」
ハ「最初、チョッパルって言われても、何のことかわからなくてね。あっち(北側)ではテジパルっていうからね」
早速「身世打鈴」が始まりました。
北朝鮮系の店だからでしょうか、チャミスルやチョウムチョロムをいった、南朝鮮(韓国)でポピュラーな焼酎はなく、度数25度の「眞露」の小瓶を頼みました。
「ここは、ホルモンとコムタンがおいしいんですよ」
Kさんに勧められるがまま、ハラミ、テッチャン、ハツなどのホルモン系を注文。ナムルの盛り合わせは、サービスで出してくれました。
ハルモニは、料理を運んでくるたびに、話し込んでいきます。
ハ「親戚が平壌に住んでいてね、私も6回、行ったわ。平壌はきれいな街よ。ゴミ一つ落ちていない。国民たちが早起きして、掃除するからね」
親戚というのは、北で特権階級に属しているようです。
「ここ、朝鮮学校や、朝鮮大学校が近いんで、先生たちもよく来てくれてね。駅前にあったときは、とても繁盛してたんだけど、狂牛病騒ぎのときは大変。それで、2002年にこっちに移転したの」
駅前の賃貸店舗を畳んで、自宅の敷地に家を建てたんだそうです。
追加で、トントロなどを頼みます。
ハ「先代が死んだあと、店を閉じるのはもったいないって、息子が継いでくれてね。ありがたいわ」
息子さんは61歳というから、私と同世代です。
ハ「やっぱり、子どもは、教育が大事よ。うちなんか、3人とも民族学校から、朝鮮大学校に入れてね、娘は今、朝鮮大学校で歴史を教えてるわ」
ハルモニがテーブルを離れた後、
犬「朝鮮大学校で教える歴史って、どんな歴史なんだろう?」
K「首領様の生い立ちとかですかね」
犬「なんか、瞬間移動する技があったよね」
K「縮地法ですね!」
シメはレンミョン(冷麺、北朝鮮式には語頭のr音を発音する)を頼みました。豚足も、ホルモンも、冷麺も、すべておいしかったです。
ハ「子供の教育は、きちんと民族意識をつけることが大切よ。ぶれてはダメ!」
犬・K「……」
会計を済ませた後、なんと、ハルモニは私たち二人を車で西武線の駅まで送ってくれました。
「身世打鈴」というと、これまでの不幸な身の上を嘆く、というニュアンスがありますが、このハルモニの身の上話は、誇り高い朝鮮人(※)の「自慢話」に聞こえました。
※ 北朝鮮系の在日コリアンは、「朝鮮人」を自称しますので、差別語ではありません。
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