犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

後爆風?

2022-04-26 23:08:41 | 韓国の漢字語
写真:H2ロケットの発射後の「後爆風」

 韓国のコムスワンバク(検捜完剥<検察捜査権完全剥奪)法案の与野党合意後の状況を、聯合ニュースが伝えています。(リンク、韓国語)

 見出しは、

검수완박 합의 후폭풍 지속…국민의힘 '재협상론' 올인

 漢字語を漢字に直すと…

検捜完剥合意後爆風持続…国民の力「再協商論」オールイン

 よくわからない…

 検捜完剥は、上に書いた通り、 検察捜査権完全剥奪を縮めた言葉で、今まで検察が持っていた捜査権を完全にとりあげて新設の捜査機関に移し、検察は起訴だけできる機関にしようというもの。文大統領が長年の悲願としていたものです。

 後爆風については後述します。

 国民の力は最大野党の名前。今回の大統領選挙で勝利したものの、国会での議席数は少なく、尹錫悦大統領が5月9日に就任した後、「少数与党」になることが決まっています。

 再協商論の協商は、日本では歴史用語の「三国協商」(第一次大戦時の、イギリス・フランス・ロシアの同盟)ぐらいしか使わないと思いますが、韓国語ではよく使います。日本語の交渉、協議にあたります。

 オールインは、賭け事で持ち金すべてを賭けること。全力を注ぐ、最後の勝負と挑むというような意味です。

 ですので、見出しの意味は、

検捜完剥調停案に合意した後の、後爆風が続いている…国民の力、再協議に全力を注ぐ

となるでしょう。

 ニュースの内容は、与野党が対立していた法案で、国会議長の仲裁案を、与野党の院内代表が「電撃合意」したあとになって、国民の力内部で反対意見が強まり、「やっぱりもう一度協議しよう」と言い出している、というもの。

 後爆風という言葉は、日本では使わない漢字語です。

 韓国語の辞書を調べると、

大砲やミサイルを発射した後、その後方に生じる強い風

 転じて、

何かが起きた後、それが原因となって現れる大小の影響

となっています。

 宇宙ロケットなどを発射したあとに、発射基地の周囲に広がる爆風のことのようです。

 これを日本語でどう訳すべきか。

 余波(台風で風が収まったのに、波が高い状態)、波紋(石などを投げたときに水面に広がる模様)、後遺症(病気の後に残る症状)…

 どれも、後爆風と比べると弱すぎる気がします。

 今回のニュースに関して言えば、政界が大騒ぎになっている状況ですので、反動、混乱、紛糾などがいいように思います。

 国民の力の動きに対し、与党の共に民主党は反発していて(当然でしょう)、仲裁案のまま、数に物を言わせて強行採決する構えです。

 よくわからないのが、捜査権が検察にあるか、警察やそれ以外の新設機関にあるかによって、捜査結果が変わると信じられていること。

 悪いことをした人は、どこが捜査しても追及から逃れることが難しいと思うのですが。

 検察にしろ、警察にしろ、新設機関にしろ、その長を任命するのは大統領なんだから、(これまでもそうだったように)大統領の意向に沿った捜査が行われるのが当然です。

 でも、文大統領が任命した尹錫悦(当時検事総長)は、文大統領の意に反して、腹心のチョ・グク法相を追及しちゃったんですね。

 尹錫悦新大統領が、検察かそれに代わる新設機関で文大統領の在任時の犯罪を追及するかどうか、これが新政権発足後の注目点です。

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