今日5月15日は、先生の日。韓国語では스승의 날と言います。
もともと先生に対する敬意と感謝を表す日として,1964年に制定されました。
その日は校門の前には花屋さんが並び,子どもたちはこぞって花束を買って,先生にプレゼントします。
これだけならほのぼのとした麗しい習慣なのですが,いつしか先生の日は,「寸志の日」,「先生に賄賂をあげる日」になりさがってしまいました。
みなが封筒入りの実弾を手渡すものだから,その実効性を高めるためには他の人より高くなければならない。けれど他の人はいくらあげているか,はっきりわからない。こういう状況で金額は年々エスカレートし,10万ウォン程度包んでも,
「たったこれだけ?」
ということで,かえって逆効果になるという話も流布され,今では50万以上が相場だそうです。
数英国のような主要教科の先生より,音楽,図工,体育のような評価の主観的な科目の先生がいい車に乗っているという話もあります。
私が来た10年前は,韓国もまだまだ賄賂国家でした。税関,警察,出入国管理事務所…。官民を問わず,賄賂が蔓延していました。
韓国の子どもたちは,学校という公教育の場で,それも尊敬する両親と先生の間で,賄賂のメッセンジャーをしながら育ちます。こうして世の中の見えざる仕組み、処世の術を身をもって学ぶわけです。まさに総合的学習の時間。
そして,こうした現状を告発すべきマスコミが,これまた賄賂漬けになっているから根が深い。
それでも,政権が金泳三から金大中へと移るなか,さすがにこんな体質では「世界化」(国際化の韓国式表現)は難しいということで,官公庁を中心に綱紀粛正が行なわれました。賄賂禁止だけでなく、それまでコピーし放題だったPCソフトも、高額な罰金制度を設けて一掃しました。
現在、韓国はアジアの中でも相当クリーンな国になってます。
そのようななかで、改善が遅々として進まなかったのが教育界。
ただ、さすがにこの数年は自粛ムードが広がってきましたね。先生の日の前後には,「寸志の習慣」を批判的に書く新聞記事が増え,学校側も寸志の受け取りを拒否するように通達を出したりしています。ただ,教師も大して高給取りではないから,寸志を生活費の一部として当てにしている人も多く,なかなか実効があがらない。
今年はついに,先生の日を休校にするという物理的措置をとる学校が増えたそうです。まあ,悪徳教師は不定期的に保護者を呼び出して,半公然と賄賂を要求しますから,効果はあまりないでしょう。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/05/10/20060510000006.html
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