道具:物や仕事を速く(うまく)作り上げるために使う(こまごまとした)器具の総称。[武家では槍,家庭では台所用品を特に指す](新明解国語辞典第4版)
ここでは,もう少し広げて「何かの目的のために使う,自分の身体以外のもの」と定義しておきましょう。
道具について,①道具の使用,②道具の加工,③道具の製作,に分けて考えてみます。
①は,多くの動物がやっています。
エジプトハゲワシが,ダチョウの卵に石をぶつけて割って食べる。
ラッコが,お腹の上に乗せた貝を石で割る。
チンパンジーが椰子の実を,石で叩いて割る。
ガラパゴス諸島のキツツキフィンチが,サボテンのとげを使って木の割れ目をほじくって中の虫を食べる。
などは「道具の使用」といえそうです。
けれどもこれらは,手近にあったものをそのまま使っているのにすぎない。適当なものを「選別」はしているかもしれませんが。
次の②「道具の加工」も,一部の動物ではやっているらしい。
ある地域のチンパンジーは,草の茎や木の小枝を蟻塚の穴に差し込み,蟻を釣って食べるそうですが,その際,茎や小枝を穴に入る太さに加工しているとのこと。
ヒトだけができるのが,③の「道具の製作」です。
ヒトはいつから道具を作るようになったのか。
道具の素材としては,木,石,骨などがありますが,加工のしやすさからいえば,最初に道具として利用されたのは木でしょう。枝を適当な長さに折って手の届かない果実を引き寄せたり,獲物がひそむ穴をほじくったり,あるいは外敵から身を守るために振り回したりしたかもしれません。でも,これは化石として残らないので証拠がない。
証拠として残っているものは石の道具,つまり石器です。とはいえ,石器もまた判断が難しい。自然の石を使って固い実を割り,御用済みになった石は打ち捨てるというのでは,石器にはなりません。なにかしら,道具として有用な形態に加工が加えられていてこそ,石器認定ができる。しかし,石を打ち欠いてとがった部分を作る程度の石器(礫器)は,自然に割れたものとの見分けがつかない。
おそらくは猿人も,簡単な石器を作り,利用していたと思われますが,明らかに加工が加えられた石器と判定できるのは,原人段階,つまりホモ・ハビリスからで,今から約240万年前のことです。
このころの人類は,まだ本格的な狩猟は行っておらず,もっぱら屍肉漁りをしていたと思われます。といっても,肉食獣の食べ残しには,肉は少ない。それで,骨を砕いて,骨の中の栄養分に富んだ髄を取り出して食べた。骨を砕くときに使われたのが,石の片面だけを打ち欠いて刃をつけたオルドワン型石器です。
その後,160万年前ぐらい(ホモ・エレクトス)になると,大型のハンドアックスという石器が出てきます。これは石の両面を全面加工した,左右対象の大型の石器(アシュール型石器)です。
さらに,60万年ぐらい前に登場した旧人は,このタイプの石器をさらに洗練化していきました。このレベルになると,石器を作るための石器もあったのでしょう。つまり,上の③の段階です。
そして現生人類(ホモ・サピエンス)になると,斧や槍のように,二つの部品を組み合わせた複雑な道具がでてきた。さらに,骨を加工して釣針を作ったり,弓矢を作ったり。道具は,どんどん多様化,複雑化していきます。そして,道具の製作は,世代を越えて受け継がれ,進化していく。
それを可能にしたのが,「言語」だと思います。
ここでは,もう少し広げて「何かの目的のために使う,自分の身体以外のもの」と定義しておきましょう。
道具について,①道具の使用,②道具の加工,③道具の製作,に分けて考えてみます。
①は,多くの動物がやっています。
エジプトハゲワシが,ダチョウの卵に石をぶつけて割って食べる。
ラッコが,お腹の上に乗せた貝を石で割る。
チンパンジーが椰子の実を,石で叩いて割る。
ガラパゴス諸島のキツツキフィンチが,サボテンのとげを使って木の割れ目をほじくって中の虫を食べる。
などは「道具の使用」といえそうです。
けれどもこれらは,手近にあったものをそのまま使っているのにすぎない。適当なものを「選別」はしているかもしれませんが。
次の②「道具の加工」も,一部の動物ではやっているらしい。
ある地域のチンパンジーは,草の茎や木の小枝を蟻塚の穴に差し込み,蟻を釣って食べるそうですが,その際,茎や小枝を穴に入る太さに加工しているとのこと。
ヒトだけができるのが,③の「道具の製作」です。
ヒトはいつから道具を作るようになったのか。
道具の素材としては,木,石,骨などがありますが,加工のしやすさからいえば,最初に道具として利用されたのは木でしょう。枝を適当な長さに折って手の届かない果実を引き寄せたり,獲物がひそむ穴をほじくったり,あるいは外敵から身を守るために振り回したりしたかもしれません。でも,これは化石として残らないので証拠がない。
証拠として残っているものは石の道具,つまり石器です。とはいえ,石器もまた判断が難しい。自然の石を使って固い実を割り,御用済みになった石は打ち捨てるというのでは,石器にはなりません。なにかしら,道具として有用な形態に加工が加えられていてこそ,石器認定ができる。しかし,石を打ち欠いてとがった部分を作る程度の石器(礫器)は,自然に割れたものとの見分けがつかない。
おそらくは猿人も,簡単な石器を作り,利用していたと思われますが,明らかに加工が加えられた石器と判定できるのは,原人段階,つまりホモ・ハビリスからで,今から約240万年前のことです。
このころの人類は,まだ本格的な狩猟は行っておらず,もっぱら屍肉漁りをしていたと思われます。といっても,肉食獣の食べ残しには,肉は少ない。それで,骨を砕いて,骨の中の栄養分に富んだ髄を取り出して食べた。骨を砕くときに使われたのが,石の片面だけを打ち欠いて刃をつけたオルドワン型石器です。
その後,160万年前ぐらい(ホモ・エレクトス)になると,大型のハンドアックスという石器が出てきます。これは石の両面を全面加工した,左右対象の大型の石器(アシュール型石器)です。
さらに,60万年ぐらい前に登場した旧人は,このタイプの石器をさらに洗練化していきました。このレベルになると,石器を作るための石器もあったのでしょう。つまり,上の③の段階です。
そして現生人類(ホモ・サピエンス)になると,斧や槍のように,二つの部品を組み合わせた複雑な道具がでてきた。さらに,骨を加工して釣針を作ったり,弓矢を作ったり。道具は,どんどん多様化,複雑化していきます。そして,道具の製作は,世代を越えて受け継がれ,進化していく。
それを可能にしたのが,「言語」だと思います。
道具を使う鳥は何種か報告されてるようですが、いろんな行動が観察されているのはやっぱりカラスみたいですね。
こないだNHKで道具を作るカラスをやってました。
第172回「天才職人!道具を作るカラス」::ダーウィンが来た
http://www.nhk.or.jp/darwin/program/program172.html
ニューカレドニアのカラスは木の枝からちゃんと「返し」のついた釣り針を枝分かれの部分を使って加工するとか。
カラスが賢いとは聞いてましたが、これほどとは!と驚愕しました。
近年、カラスが推論能力を持っているのが確からしいという実験結果が報告されるようになってるようです。
信号で停止してる車のタイヤの前に胡桃を置いて割らせるとか、他のカラスから本当の隠し場所を守るために食物を隠す振りをするとか、偶然身についた行動ではないかとか生得的な本能行動ではないかいう議論もあったわけですが、どうも違うらしいと。
手当たり次第に試行錯誤して偶然発見するのではなく、
本能に従って直ちに行動するのでもなく、
熟慮→解決という行動が観察されてます。
ちょっとうろ覚えですが、
止まり木の下に長く垂らした糸の先の餌を、熟慮の後、迷うことなく手繰り寄せて食べるとか、
道具Aをつかって道具Bを取り出し目的の餌を得るとか。
他のカラスが目視できないと餌を隠す際に偽装行動が見られないとか。
ニューカレドニア・カラスの知性は本物か?
http://getnews.jp/archives/57963
日経サイエンス2007年7月号カラスはなぜ賢いのか
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0707/200707_066.html
言語を持っていないと思われるのにこういった行動が他のカラスに伝わっていくのは、カラス達が相手の行動から、その行動の仕組みや目的を推理する能力が高い「天才肌」が多いのかもしれませんね。
逆に考えると、人類は言語を持つ事で「天才肌」より「コミュニケーション達人」がより有利な淘汰圧のもとで進化してきたのかもしれないと思ったり。
長大なコメントと興味深いリンク,ありがとうございました。
カラスの賢さは,にわかには信じられないくらいすごいですね!
高度な推論や学習が言語なしに可能である…
どうやって説明するのか,思いつきません。