犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

タマネギ男に実刑判決

2023-02-07 23:13:43 | 韓国雑学
写真:チョ・グクとその娘のチョ・ミン

 前政権で法務部長官(法務大臣)を務めた曺国(チョ・グク)が、2月3日、懲役2年、追徴金600万ウォン(約60万円)の実刑判決を受けました。

 元法務部長官チョ・グク被告、教授としても公職者としても「有罪」

 曺国氏は、2019年に文在寅(ムン・ジェイン)大統領から、次期法相の氏名を受けたあと、本人や親族をめぐる様々な疑惑が噴出。

「むいてもむいても疑惑が出てくる」ということから、「タマネギ男」というあだ名がつきました。

 曺国氏はまた、朴槿恵(パク・クネ)政権時代の崔順実(チェ・スンシル)の娘の不正入学疑惑を批判していたくせに、自分の娘・息子の不正入学・進学に関与していたというので、「ネロナムブル」ともいわれ、当時の流行語になりました。

 「ネロナムブル」は、내가 하면 로맨스, 남이 하면 불륜(ネガ・ハミョン・ロマンス、ナミ・ハミョン・プッリュン)の頭文字をとって作った造語で、意味は「私がすればロマンスだが、他人がすれば不倫」という意味です。

 当時の保守系野党や保守系マスコミから、何十枚も皮をむかれ、もはや芯も残らないのではないかと思われましたが、検察が立件したのはそのうちの13枚。最高裁では8枚が有罪とされました。

 6つが娘の入試不正、1つが娘の奨学金不正受領(請託禁止法違反)もう1つは、曺国が大統領秘書官だったとき、柳在洙前釜山市副市長への監察を中止するよう圧力をかけた「職権乱用罪」。

 大学入試が過酷な韓国で、とりわけ入試不正は韓国民の非難の的になります。崔順実事件のときもそうでした。

 娘のチョ・ミンさんは、名門高麗大学生命科学部、釜山大学医学部大学院卒で、2021年に医師の国家試験に合格。

 チョ・ミンさんは高校2年生のときに、「低酸素脳症」に関する英文の学術論文の第一著者となり、専門学術誌に掲載されたんだそうです。その「業績」は、高麗大学の入試に利用されました。でも、それは虚偽だったそうです。高麗大学は調査の結果、チョ・ミンの入学を取り消しました。

 高麗大学から、釜山大学医学部大学院に進学するときは、曺国の妻である鄭慶心(チョン・ギョンシム)が偽造した東洋大学校総長の表彰状を利用。釜山大学もまた不正を認め、入学を取り消しました。鄭慶心は「私文書偽造」などで、懲役4年、罰金5億ウォンの実刑判決を受けています。

 チョ・ミンさんは現在、ある病院で研修医になっていますが、今回、曺国氏の有罪が確定したことから、医師免許も剥奪される可能性が高いでしょう。

 曺国氏をめぐっては、様々な疑惑が取りざたされました。

アメリカ生まれの息子の「兵役逃れ」疑惑、大学のオンライン試験の代理解答、曺国自身のソウル大法学修士論文で、「日本人学者の論文盗用」疑惑などです。

 息子さんは、米国のジョージ・ワシントン大学に通っていましたが、そのオンライン試験問題を撮影して家族のチャットルームに載せ、それを曺国氏と妻が代わりに解いたんだそうです。歴史の試験は満点だったのは、さすがというべきか。代理解答は、在学中の全期間に渡っていたとのこと。

 年齢詐称疑惑というのもありました。曺国氏は、「ソウル大学に16歳で飛び級入学した秀才」とされていますが、生年が自らが主張している1965年ではなく1963年生まれで、ソウル大学にはフツーに18歳で入った、というもの。これは、元慰安婦が、少女のときに慰安婦になったことにするほうが日本の「残虐性」を印象づけられるので、生年を詐称したのと似たようなものです。

 こんな人が、大統領補佐官を務め、短期間とはいえ法務大臣になっていたというのは、いまさらながら驚きです。

 曺国氏に対する検察の捜査は、現大統領である尹錫悦(ユン・ソンニョル)が検察総長だったときに始まりました。文在寅大統領は、後任法相に指示して、「捜査検事虐殺人事(大量左遷)」を行ったり、尹錫悦検察総長を辞任に追い込んだりしました。

 今回の最終判決は、2019年12月に起訴されてから3年2か月もかかっていますが、下級裁判所の文政権の息のかかった判事たちが、意図的に裁判の遅延を図っていたからではないかと思われます。

 野党代表の李在明(イ・ジェミョン)に対する捜査も進み、いよいよ本丸の文在寅が追及される日も近いと思われます。

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