犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

50歳の誕生日

2011-04-01 23:59:43 | 日々の暮らし(帰任以後、~2015.4)

 今日は私の50歳の誕生日

 この人生の節目となる日を,私は新大阪の一泊5980円のビジネスホテルで迎えました。

 朝,私の携帯にメールが入った。フランスにいる家族からだろう,という期待をもって確認すると,つい数日前,晩飯を奢ってやった甥からのおめでとうメールでした。

 (フランスはまだ31日だからね)

 心の中で気休めをいいます。

 しかし,フランスの夜が明ける時間になっても家族からのメールはこない。

 (観光に夢中で,忘れちゃったのかな)

 寂しさがしみじみとこみあげてきます。

 自分は誰のために働いてきたんだろう。

 50年間,何のために生きてきたんだろう…。

 家族が日本にいないことを知った会社の同僚は,この日,飲み会を企画してくれましたが,あいにく大阪出張が入ったためにそれもキャンセル。

 ただ大阪での仕事は予定より早く終わったので,8時過ぎには埼玉の自宅に帰れそう。一人だけ一足さきに昨日帰国していた次女にメールを送ります。

 「夜,どうするの?」

 「お誕生日おめでとう。今日はお料理学校行くから帰るの遅くなる。夜は外で食べてきて」

 とつれない返事。

 別の相手を探そうと,新幹線が東京駅に着いてから,何人かにメールするも,みな約束があったり,すでに家に帰る電車の中だったり…。

 (しかたないなあ,一人で飲むか)

 池袋の「ビラウカオ(白い鳩)」というタイレストランで,ひとり「ガッパオカイ」(鶏バジルご飯目玉焼きのせ)を食べ,

 (さて,韓国バーにでも行くか)

とぶらぶら歩き始めたとき,ありがたいことに,このブログのコメンテーターの一人からメールがありました。

 「今晩,空いてませんか?」

 まったくの偶然で,相手は私の誕生日であることも認識していませんでしたが,ひとまず「独りぼっちのバースデー」だけは避けることができました。

 (持つべきものは友だなあ)

 家に帰ったのは,4月1日がもう終わりそうな時刻。

 すでに料理学校から帰っていた次女は,

 「今日,これ作ったの」

と,冷蔵庫から取り出す。大きなラズベリームースのバースデーケーキでした。

「すごい! こんなの作れるようになったんだ。ずいぶん上達したね」

「あ,それから洋服ダンスの二番目の引き出し開けてみて」

 言われるままに開けてみると,お酒のボトルとカードが入っていました。カードには…


「Papa♡♡ 

ハッピーバースデー 

いつも家族のために一生懸命働いてくれて本当にありがとう。

フランスに一緒にいけなかったのは残念。

いつも優しいパパのことがみんな大すきだよ!!! 

これからも長生きしてね」

 妻と4人の娘の連名でした。

 ボトルは「越乃寒梅」750㎖。いわずと知れた日本酒の逸品です。

 次女によれば,すでにフランスに出発する前に用意していたもの。今日一日,おめでとうメールがなかったのも,「サープライズ」のための演出だったとのこと。

 ああ,持つべきものは家族だなあ。

 50年生きててよかった…


コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 11年3月一覧 | トップ | 聞き慣れない言葉 »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
よかった (閑話休題)
2011-04-03 18:40:15
ROM専門でしたが、けっこう長年の愛読者です。前半はドキドキしながら読んでいましたが、最後のオチ(?)でひと安心しました。貴ブログでは珍しく「ベタ」な内容の記事でしたが、笑、お互いこの年になるとこういうことが大事なんですよねえ。あと、子供を持つならやっぱり娘ですよ、ムスメ!私にも二人の娘がいます。
返信する
おめでとうございます (miyo)
2011-04-05 03:15:06
ふふふ、王様は幸せですねー^^
返信する
タメ年 (犬鍋)
2011-04-08 00:01:39
愛読ありがとうございます。

娘! 私も同感ですが,韓国ではえらく気の毒がられます。
返信する
王様 (犬鍋)
2011-04-08 00:02:19
ふだんは無視されることが多いですが…
返信する
I envy you. (スンドゥプ)
2011-04-11 22:22:28
おなじ外飲み好きでも。人徳ですね
返信する
少しは (犬鍋)
2011-04-14 00:59:11
「申し訳ない」という気持ちがあったのでしょう。
返信する

コメントを投稿

日々の暮らし(帰任以後、~2015.4)」カテゴリの最新記事