犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ミャンマーの日本留学事情

2014-03-04 22:57:36 | ミャンマー

 ミャンマー語の先生の息子さんは、昨年の12月に来日し、アルバイトを探していましたが、知り合いのミャンマー人の紹介で、なんとか見つかりそうだという話を聞いていました。

「息子さんは、アルバイト始めたんですか」

「はい、日本橋の天ぷら屋さんで働いています」


「天ぷら、揚げたりするんですか」


「まだ、それはやらせてもらえません。もっぱら、海老の殻を剥いたり、いろんなおかずを弁当に詰めたり…」


「豚肉もあるんですか」


「いえ、お弁当にも、まかない料理にも豚肉はいっさいなし。ラッキーでした」


 実は、先生も息子さんもミャンマー人にしては珍しくムスリム。豚肉か戒律で食べることができません。

「おととい、初めての給料が出たんだそうです」

「じゃ、何かお母さんに買ってくれたでしょう」


「それが何も買ってくれないんですよ。全部貯金するって」


 先生は、日本政府の国費留学生。息子さんは、家族帯同ビザで入国しました。博士課程はあと2年なので、2年間は家族ビザで日本にいられます。

 でも、その先はお母さんが帰国しちゃうので、自分で就学ビザをとらないといけない。そのためには大学か専門学校に合格し、学費を払わなければならない。奨学金がなければ、約70万円のお金が必要になります。息子さんは、それに備えてせっせと貯金しようということのようです。エライですね。

 ミャンマーの高等教育事情を聞いてみると、ミャンマーの大学はすべて国立。授業は安くて、年間1万円!

 一方、ミャンマー人の給与水準は、労働者が月8000円、ホワイトカラーが1万円、エンジニアなど専門職が2万円ぐらいだとか。普通の人の一カ月分の給料で、大学の年間の学費が賄えるようです。

 ただ、大学で使う教科書は、大学の先生が自分の本をコピーして授業のたびに生徒に売る。それが一回20円ぐらいだとか。著作権なんて、関係ないんでしょうね。

 それにしても、月収1万円のミャンマー人が、渡航費を含め100万円ぐらいかけて日本に私費留学するというのは、たいへんなことです。賄賂をふんだんにもらう政府高官の息子かなんかじゃないと無理。

 日本政府が出す政府留学生なら、渡航費も学費も生活費も出してくれますが、人数の枠があって、年間20人だけ。そんな狭き門を通ってきたのだから、私の先生は大したものです。


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