犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

豚脳蛇蝎を喰らう

2015-01-24 23:02:43 | 食べる

 当ブログで「羊脳カレー」の記事をアップしたあと、コメンテイターのスンドゥプさんから、

「豚の脳味噌の料理を見つけましたよ」

というメールをいただき、さっそく挑戦することにしました。

 羊脳はパキスタン料理でしたが、こちらは中華料理。場所は新宿です。

 土曜日の夜七時、現地集合で、ネットの地図を頼りに行くと、怪しげな雰囲気を漂わせる狭い路地の奥に、その店はありました。暗闇から中国マフィアが表れても不思議ではない感じです。

 手動の引き戸を開けると、店はほぼ満席。予約していかなかったのに運良く入ることができました。

 メニューをめくると、超弩級のゲテモノが並んでいます。昆虫系、爬虫類系、両生類系…。豚の脳なんて、その中ではおとなしいものです。

「蠍(さそり)かあ。話には聞いていたけど、日本でも食べられるんだぁ」

「牛のペニスなんてのもあるね」

「とりあえず豚の脳味噌からいきまししょうか」

「それから蠍も」

 酒は、中国酒が各種。半額サービスの紹興酒があるのがうれしい。

 お客さんは入れ代わり立ち代わり次々に入ってきます。予約をしていた団体さんも多く、結構な割合の女性客があるのに驚きました。

「二階にどうぞ」

「別館に行ってください」

 路地の奥に別館まであるようです。

 ビールを飲みながら、つきだしにしてはすごくボリュームのあるバンバンジー(蒸し鶏)をつついていると、やってきました。が。

 蠍は思っていたよりも小振り。体長3センチほど。頭から尻尾の毒針まで揃った姿で油で揚げられた黒い色の体色が、白い揚げ春雨の上に8匹並べられています。

 こういうときは、あまり躊躇しないほうがよい。つまんでひと思いに噛みしめます。

「うーん…。なんか、味がしないね」

「特別な匂いもないし…」

 特別な匂いがしたらそれはそれで困ったでしょうが、無味無臭というのもちょっと拍子抜け。冷凍物を中国から輸入して油であげちゃうと風味も飛んでしまうのでしょう。尻尾の先の毒針は鋭いので、注意しないと口の中を傷つけそうです。

 続いて豚の脳味噌炒めが出てきました。

 豚の脳味噌は羊よりも大きいようです。大きな固まりが二つで、たぶん二頭分なのでしょう。濃い茶色の餡が、白い脳味噌を覆っています。

「おっ、これは旨い!」

 豚ならぬ河豚の白子のようなまったりとした食感です。

「当たりですね!」

「次は何をいきましょうか」

 メニューには、各種の蛙料理、ザリガニ、犬鍋、鳩などが並んでいます。

「やはり蠍を食べたら、蛇じゃないでしょうか」

蛇蝎(だかつ)の如く嫌う

という表現は、中国から来たんじゃないかと思いますが、その両者とも食材にしてしまうのが、中華料理の奥深さです。

店の奥に、

金玉満堂

という額が掲げられている。

 キンタマが堂に満ちる…。

 これまで豚と山羊の金玉を食べたことがありますが、ここのメニューにもあるんだろうか。

 近くにいた店の女主人に意味を聞いてみました。

よく聞かれるのでしょう。こちらの質問を言い終わらないうちに

「お客さんがたくさんっていうこと」

という答えが電光石火で返ってきました。

(キンタマじゃなくて、金(きん)と玉(ぎょく)という意味か…。まあ、睾丸のはずがありませんね)

 さて、私もSさんも、蛇は台湾で体験済み。そのときはスープだったので、から揚げにすることにしました。

 出てきたから揚げは、ぶつ切りにした蛇を開いて揚げたもの。中央に背骨が走り、そこからこまかいあばら骨(?)があって、これがけっこう硬いので、口の中でバラバラになるとやっかいです。

「スパイシーですね」

「けっこう、いけますね」

「さすが蛇だ」

 Sさんが、肉をかじりとった後の背骨をぐにゃぐにゃと曲げて見せます。

 紹興酒を空け、おかずを平らげて、そろそろお開きに。

 値段を気にせずどんどん注文して、紹興酒も一本あけて、全部で1万円ちょっと。これだけの異次元体験をした対価としては安いといえるでしょう。

 会計をしている間に、Sさんはトイレに。

 ちょっと長いなあと思っていたら、出てきたSさん、

「犬鍋さん、トイレに面白い漫画がありますよ」

 入れ替わりに私も入り、漫画を読みました。

取材者「犬は、近所でつかまえるんですか」

女主人「そうね、新宿近辺でつかまえることが多いネ。って何を言わせるんですか。ちゃんと中国から食用の肉を輸入してますよ」

取材者「でもハトは…」

女主人「ハトは歌舞伎町にもいっぱいいますし、つかまえるのも楽なんデス。って、また何を言わせるんですか」

 こんな感じの漫画です。

 どこかの雑誌に店が取り上げられたのか、宣伝用に作ったものかは不明。

「いやあ、今回は満足できましたね」

「もう一回来てもいいと思える店ですね」

 出掛けに、女主人に向かって

「今度は牛のペニスに挑戦します」

と言い残し、歌舞伎町の二次会に向かったのでした。

 ゲテモノメニューの画像がどうしても見たいという方はコチラ。トイレの中の漫画はコチラ


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3 コメント

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Unknown (のりみ)
2015-01-26 09:56:09
漫画すばらしいです。
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Face Book (スンドゥブ)
2015-01-27 08:32:26
お疲れさまでした。

早速、Face Bookで紹介した反応は...
興味のある人は男性わずか1名。
女性からは確実に「いやねぇ男子って!」と嫌われちゃいそうです。

3月までに、残りのメニューを片付けちゃいましょう。
返信する
次は (犬鍋)
2015-02-09 00:20:18
蜂の子に牛のペニス…

精力つきそうです。
返信する

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