フィリピン人男性と婚約していた私の三女が、やっと結婚にこぎつけました。
昨年末に2度目の語学留学で、フィリピンのバギオに行っていた娘は、留学中にコロナ禍に見舞われ、出入国禁止、ロックダウンとなり、日本への帰国ができなくなりました。
同棲中の彼氏と、一日中アパートの一室に籠っていた必然の結果として、妊娠。私たち夫婦は、本人や向こうのご両親とも会ったことがあり、結婚は暗黙の了解事項だったので、結婚手続きを進めることに。
日本の市役所に相談したところ、まずはフィリピンで結婚し、その証明書を日本の役所に提出すればよいとのことだったので、フィリピンで婚姻届けを出すことにしました。
ところが、これがなかなかややこしい。
国際結婚なので、二人で在フィリピン日本大使館に出向いて、パスポート、戸籍謄本、出生証明書などを提出し、「結婚許可証?」のような書類を発行してもらい、それをフィリピンの役所に届ける必要があるのだそうです。
しかし、娘はバギオという片田舎に住んでおり、日本大使館はマニラにある。バギオからマニラへは山道を含む6時間のドライブが必要です。お腹の中の赤ちゃんへの影響を考えると、安定期になるのを待たなければならない。
また、マニラはロックダウンされており、マニラ市に24時間以上滞在した者は、バギオに帰ってから14日間隔離になる。必要書類は、申請の翌日発行なので、この規定に引っかかる可能性が高い。
もう一つ、フィリピン特有の制度があって、婚姻届け提出時に、「家族計画セミナー修了証」を出さないといけない。毎週2回開催されているそうですが、娘が8月初めに申し込もうとしたときには、「8月、9月は満席。10月にならないと空きがない」といwれたそうです。そのとき娘は、再開されていた日比間の航空券をすでに購入済みで、それが9月。
結局、この「家族計画セミナー」に出られなかったことが、フィリピンで結婚手続きを断念する決定的な理由になったのでした。
娘は、フィリピンで結婚できないまま、一人で帰国(フィリピン人に対するビザの発給は中止されています)。
それで、もう一度市役所に相談しました。
「日本で婚姻届けを出すには、婚姻要件具備証明書が必要です」
「それって、フィリピンで発行される独身証明書ですか」
「いえ、在日フィリピン大使館で発行されるものです」
調べると、「結婚具備証明書」は、必要書類を持って、二人で東京にあるフィリピン大使館に出向かないといけないらしい。
「今、コロナで、日本に来るためのビザの発給が停止されてるんですけど…」
「そう言われても…」
「年末に子どもができるんで、早く結婚させたいんですが…」
「えっ、娘さんは妊娠されているんですか? それじゃ急がなくちゃ。非嫡出子になったいますから」
「ひちゃくしゅつし?」
「はい、父親のいない子です」
「ああ、私生児ですね」
「あ、今はその言葉、使わないんですよ」
結局、親切な市役所の担当者の女性が法務局に掛け合ってくれ、コロナ禍でやむを得ないということで、別途提出できない理由を書面で提出すれば婚姻届けを受理してもらえることになりました。
こういうときにそなえ、新郎側の必要書類はフィリピンから持ち帰りましたが、肝心の婚姻届けには、本人の直筆書名が必要。それで、フィリピンでネット経由でダウンロードしてもらい(必ずA3判)、署名したうえで郵送してもらいました。フィリピンは郵便事情が悪く、所要期間1か月、紛失率30%と言われていたので気をもみましたが、予想よりずっと早く、2週間で到着しました。
英語で作成された書類のすべてに日本語訳をつけなければなりません。フィリピン発行の出生証明書の印刷状態が悪く、活字部分が読み取れないので、新郎に新しいものをとってもらおうとしたところ、向こうの係員は、「そこは重要でないので、読み取れなくても構わない」と謎の断言。食い下がると、きれいなものを出すには2週間かかる…。
結局、想像力を最大限に発揮して日本語訳を完成させました。
そして11月26日。婚姻届けはめでたく受理されました。
「やっぱり、日本の役所の仕事はスムーズだな」と感心していたら、こんな記事を娘が見つけました。
朝日新聞2020年11月28日付
国際結婚の婚姻届、約1年受理せず非嫡出子に 市が賠償
愛知県豊橋市は27日、市内在住の女性と南米国籍の男性が提出しようとした婚姻届を、証明書類の不備を理由に過って受理しなかったため、その後生まれた男児が戸籍上、非嫡出子(ひちゃくしゅつし)となったと発表した。不要な書類の提出を求めて、1年近く届け出を受け付けなかった。市側の全過失で苦痛を与えたとして、慰謝料50万円を支払う。
市役所にもいろいろあるようです。私の住む埼玉県飯能市は、担当者も親切だったし、仕事もてきぱきとしていましたが、これはラッキーだったのかもしれません。
こうして、由緒なき犬鍋家の家系に、外国人の血が混じることになりました。まさにグローバル時代にふさわしいといえましょう。
コロナは世界的に第三波が到来し、フィリピンからの来日は依然として困難です。赤ちゃんに会えるのはいつの日か。
婚姻届けが受理された今、次なる関門は、配偶者ビザの取得です。
娘の戦いはこれからも続きます。
昨年末に2度目の語学留学で、フィリピンのバギオに行っていた娘は、留学中にコロナ禍に見舞われ、出入国禁止、ロックダウンとなり、日本への帰国ができなくなりました。
同棲中の彼氏と、一日中アパートの一室に籠っていた必然の結果として、妊娠。私たち夫婦は、本人や向こうのご両親とも会ったことがあり、結婚は暗黙の了解事項だったので、結婚手続きを進めることに。
日本の市役所に相談したところ、まずはフィリピンで結婚し、その証明書を日本の役所に提出すればよいとのことだったので、フィリピンで婚姻届けを出すことにしました。
ところが、これがなかなかややこしい。
国際結婚なので、二人で在フィリピン日本大使館に出向いて、パスポート、戸籍謄本、出生証明書などを提出し、「結婚許可証?」のような書類を発行してもらい、それをフィリピンの役所に届ける必要があるのだそうです。
しかし、娘はバギオという片田舎に住んでおり、日本大使館はマニラにある。バギオからマニラへは山道を含む6時間のドライブが必要です。お腹の中の赤ちゃんへの影響を考えると、安定期になるのを待たなければならない。
また、マニラはロックダウンされており、マニラ市に24時間以上滞在した者は、バギオに帰ってから14日間隔離になる。必要書類は、申請の翌日発行なので、この規定に引っかかる可能性が高い。
もう一つ、フィリピン特有の制度があって、婚姻届け提出時に、「家族計画セミナー修了証」を出さないといけない。毎週2回開催されているそうですが、娘が8月初めに申し込もうとしたときには、「8月、9月は満席。10月にならないと空きがない」といwれたそうです。そのとき娘は、再開されていた日比間の航空券をすでに購入済みで、それが9月。
結局、この「家族計画セミナー」に出られなかったことが、フィリピンで結婚手続きを断念する決定的な理由になったのでした。
娘は、フィリピンで結婚できないまま、一人で帰国(フィリピン人に対するビザの発給は中止されています)。
それで、もう一度市役所に相談しました。
「日本で婚姻届けを出すには、婚姻要件具備証明書が必要です」
「それって、フィリピンで発行される独身証明書ですか」
「いえ、在日フィリピン大使館で発行されるものです」
調べると、「結婚具備証明書」は、必要書類を持って、二人で東京にあるフィリピン大使館に出向かないといけないらしい。
「今、コロナで、日本に来るためのビザの発給が停止されてるんですけど…」
「そう言われても…」
「年末に子どもができるんで、早く結婚させたいんですが…」
「えっ、娘さんは妊娠されているんですか? それじゃ急がなくちゃ。非嫡出子になったいますから」
「ひちゃくしゅつし?」
「はい、父親のいない子です」
「ああ、私生児ですね」
「あ、今はその言葉、使わないんですよ」
結局、親切な市役所の担当者の女性が法務局に掛け合ってくれ、コロナ禍でやむを得ないということで、別途提出できない理由を書面で提出すれば婚姻届けを受理してもらえることになりました。
こういうときにそなえ、新郎側の必要書類はフィリピンから持ち帰りましたが、肝心の婚姻届けには、本人の直筆書名が必要。それで、フィリピンでネット経由でダウンロードしてもらい(必ずA3判)、署名したうえで郵送してもらいました。フィリピンは郵便事情が悪く、所要期間1か月、紛失率30%と言われていたので気をもみましたが、予想よりずっと早く、2週間で到着しました。
英語で作成された書類のすべてに日本語訳をつけなければなりません。フィリピン発行の出生証明書の印刷状態が悪く、活字部分が読み取れないので、新郎に新しいものをとってもらおうとしたところ、向こうの係員は、「そこは重要でないので、読み取れなくても構わない」と謎の断言。食い下がると、きれいなものを出すには2週間かかる…。
結局、想像力を最大限に発揮して日本語訳を完成させました。
そして11月26日。婚姻届けはめでたく受理されました。
「やっぱり、日本の役所の仕事はスムーズだな」と感心していたら、こんな記事を娘が見つけました。
朝日新聞2020年11月28日付
国際結婚の婚姻届、約1年受理せず非嫡出子に 市が賠償
愛知県豊橋市は27日、市内在住の女性と南米国籍の男性が提出しようとした婚姻届を、証明書類の不備を理由に過って受理しなかったため、その後生まれた男児が戸籍上、非嫡出子(ひちゃくしゅつし)となったと発表した。不要な書類の提出を求めて、1年近く届け出を受け付けなかった。市側の全過失で苦痛を与えたとして、慰謝料50万円を支払う。
市役所にもいろいろあるようです。私の住む埼玉県飯能市は、担当者も親切だったし、仕事もてきぱきとしていましたが、これはラッキーだったのかもしれません。
こうして、由緒なき犬鍋家の家系に、外国人の血が混じることになりました。まさにグローバル時代にふさわしいといえましょう。
コロナは世界的に第三波が到来し、フィリピンからの来日は依然として困難です。赤ちゃんに会えるのはいつの日か。
婚姻届けが受理された今、次なる関門は、配偶者ビザの取得です。
娘の戦いはこれからも続きます。
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